山村部の農民も「暫定税率いらんじゃろ」
2008年 01月 30日
友人に、広島県北部の山間部で農業をしている人がいます。
彼は、いつも私に「稲刈り(田植え)を手伝いに来い」といってくれるくらいの間柄です。ただ、別にイデオロギーがある人ではありません。本当に「ごく普通の兼業農家」です。彼の住む集落は80軒程度です。
その彼が、「道路、これ以上いらんじゃろ」と言い出したのです。
おそらく、彼は都会人から見れば、「典型的な地方の人」だとおもいます。その彼が、「村人でも、道路がこれ以上必要だなんていう人は、見んけどねえ」というのです。
与党が、ガソリン税の暫定税率を維持するため、「裏技」として、まず、2ヶ月だけ延長する「つなぎ法案」を議員立法で出しています。
福田総理は「俺のせいじゃないよ。再議決しても俺は問責の対象にならない。議員が勝手にやったこと。」と逃げようという、「批判逃れのせこい技」です。
そうまでして、「地方への配慮」をしているつもりなのでしょう。
地方六団体は確かに暫定税率の維持を主張する政府案を支持している。
しかし、私は、南部の都市部、彼は北部の山間部に住んでいますが、ともに疑問に思っています。
彼はこういう。「道路工事の警備員いるじゃん。あれを派遣する会社を議員の配偶者がやっているんよ。議員の事務所と同じ。」
私は、その議員の地元を彼の車に乗せてもらったことがあります。
「おお。あそこですな。なぜか車が通らないような道路がいきなりできていましたね。」
お互い、そこのことを思い出しました。議員本人が儲けたら露骨なので、配偶者が儲けるという按配です。
「でもね、その会社は議員の事務所と同じ場所。電話が別のが一本あるだけ。」
地元の住民のほうが、大都会の人より却ってそうした「腐った実態」はよく知っている。そして、彼はこうもいいました。
「一方で、政治家は、公立病院が赤字だと行革じゃなんじゃいって、閉鎖じゃ民間委託じゃという。」
「そうですね。」
私も何人かの「改革派」ぶっている議員の顔が浮かびました。
「そんなところ、民間委託したってできるわけなかろう。そもそも儲からないけどやらないといけない仕事なんじゃけえ。」
「そのとおりですよね。行政は儲からない仕事だからこそやらないといけない。それを税金でどう効率的にやるかの問題だと思います。」
「そうじゃ。病院だって公共事業じゃ。」
この会話から、地方議員がいくら「財源が必要」と声高に叫んでも、地元住民は信用してくれないことがわかります。
議員は、「このままだと、病院や保育園も財源がなくなってしわ寄せが来る」と脅す。
しかし、税率を維持させたところで、庶民のことなど考えてくれないことは変わりない。そう多くの「田舎の人」(都会から見た)も気づいているのです。
「あいつ、もう落とさんといけんな」と彼はいいました。その「落とさんといけない」議員さんはもちろん自民党です。
「別にわれわれが、維持してくれといったわけでもないのに、議員が勝手に維持するとかいう決議を出しているのは消しからんですよね。」
「そうじゃのう。うちの町でもそんなことは一言も事前には町民の意見を聞くとかなかったぞ。」
と住民無視にも怒りの声。
彼は、もちろん、環境問題を無視しているわけではない。
「一方で、都会にもいらんじゃろ、道路は。車は環境に悪い。」
「そりゃそうです。広島市なんて、アストラムライン(新交通システム)を安くしたり、JRと接続をよくしたりする。一方でアストラムラインの下の車には、ロンドンみたいに、『渋滞税』を掛けりゃいいんです。
アストラムラインはがらがらで、下を走る道路は渋滞なんてばかばかしいですよ。公共交通に人を誘導し、渋滞が解消されれば、本当に必要な車のスピードは上がり、却って経済にもいいと思いますよ。」
と私も普段からの持論を述べると、
「そのとおりじゃと思うよ。日本は遅れとるのう。」
と彼は嘆きました。
福田総理の「高いガソリン税は地球環境によい」という理屈は、日本の自民党体制を前提とすればなりたたない。そう「田舎の人」には完全に見透かされているのです。
「まあ、とにかく、2ヶ月なんてせこいですよね。その後は10年も延長するんでしょ。論外ですよ。むろんね、ノルウエーなんて、ガソリンは200円もする。確かに高いんです。でも、医療や福祉は充実しているからいいんですよ。所得も高いし。」
「そうそう。景気を良くしてくれないと。とにかく、もうこれ以上道路はいらん。」
新規道路整備では、もう「田舎の普通の人」は潤わない。それより、医療や福祉の充実、所得の引き上げなどがニーズだと強く感じました。
民主党の「ガソリン税引き下げ」については賛成が多いのも大変、わかります。ただ、やはり、きちんと経済対策をしてほしい。そういう要望が強いことも強く感じました。
国民のほうが意識としては進んでいて、むしろ福田さんら政治家の「えらい人」が世界からも遅れ、国民意識からも遅れているのではないでしょうか?
記事へのご意見・ご感想はこちらへどうぞ!
なるほど!と思ったら下をクリックお願いします!
人気blogランキングへ
彼は、いつも私に「稲刈り(田植え)を手伝いに来い」といってくれるくらいの間柄です。ただ、別にイデオロギーがある人ではありません。本当に「ごく普通の兼業農家」です。彼の住む集落は80軒程度です。
その彼が、「道路、これ以上いらんじゃろ」と言い出したのです。
おそらく、彼は都会人から見れば、「典型的な地方の人」だとおもいます。その彼が、「村人でも、道路がこれ以上必要だなんていう人は、見んけどねえ」というのです。
与党が、ガソリン税の暫定税率を維持するため、「裏技」として、まず、2ヶ月だけ延長する「つなぎ法案」を議員立法で出しています。
福田総理は「俺のせいじゃないよ。再議決しても俺は問責の対象にならない。議員が勝手にやったこと。」と逃げようという、「批判逃れのせこい技」です。
そうまでして、「地方への配慮」をしているつもりなのでしょう。
地方六団体は確かに暫定税率の維持を主張する政府案を支持している。
しかし、私は、南部の都市部、彼は北部の山間部に住んでいますが、ともに疑問に思っています。
彼はこういう。「道路工事の警備員いるじゃん。あれを派遣する会社を議員の配偶者がやっているんよ。議員の事務所と同じ。」
私は、その議員の地元を彼の車に乗せてもらったことがあります。
「おお。あそこですな。なぜか車が通らないような道路がいきなりできていましたね。」
お互い、そこのことを思い出しました。議員本人が儲けたら露骨なので、配偶者が儲けるという按配です。
「でもね、その会社は議員の事務所と同じ場所。電話が別のが一本あるだけ。」
地元の住民のほうが、大都会の人より却ってそうした「腐った実態」はよく知っている。そして、彼はこうもいいました。
「一方で、政治家は、公立病院が赤字だと行革じゃなんじゃいって、閉鎖じゃ民間委託じゃという。」
「そうですね。」
私も何人かの「改革派」ぶっている議員の顔が浮かびました。
「そんなところ、民間委託したってできるわけなかろう。そもそも儲からないけどやらないといけない仕事なんじゃけえ。」
「そのとおりですよね。行政は儲からない仕事だからこそやらないといけない。それを税金でどう効率的にやるかの問題だと思います。」
「そうじゃ。病院だって公共事業じゃ。」
この会話から、地方議員がいくら「財源が必要」と声高に叫んでも、地元住民は信用してくれないことがわかります。
議員は、「このままだと、病院や保育園も財源がなくなってしわ寄せが来る」と脅す。
しかし、税率を維持させたところで、庶民のことなど考えてくれないことは変わりない。そう多くの「田舎の人」(都会から見た)も気づいているのです。
「あいつ、もう落とさんといけんな」と彼はいいました。その「落とさんといけない」議員さんはもちろん自民党です。
「別にわれわれが、維持してくれといったわけでもないのに、議員が勝手に維持するとかいう決議を出しているのは消しからんですよね。」
「そうじゃのう。うちの町でもそんなことは一言も事前には町民の意見を聞くとかなかったぞ。」
と住民無視にも怒りの声。
彼は、もちろん、環境問題を無視しているわけではない。
「一方で、都会にもいらんじゃろ、道路は。車は環境に悪い。」
「そりゃそうです。広島市なんて、アストラムライン(新交通システム)を安くしたり、JRと接続をよくしたりする。一方でアストラムラインの下の車には、ロンドンみたいに、『渋滞税』を掛けりゃいいんです。
アストラムラインはがらがらで、下を走る道路は渋滞なんてばかばかしいですよ。公共交通に人を誘導し、渋滞が解消されれば、本当に必要な車のスピードは上がり、却って経済にもいいと思いますよ。」
と私も普段からの持論を述べると、
「そのとおりじゃと思うよ。日本は遅れとるのう。」
と彼は嘆きました。
福田総理の「高いガソリン税は地球環境によい」という理屈は、日本の自民党体制を前提とすればなりたたない。そう「田舎の人」には完全に見透かされているのです。
「まあ、とにかく、2ヶ月なんてせこいですよね。その後は10年も延長するんでしょ。論外ですよ。むろんね、ノルウエーなんて、ガソリンは200円もする。確かに高いんです。でも、医療や福祉は充実しているからいいんですよ。所得も高いし。」
「そうそう。景気を良くしてくれないと。とにかく、もうこれ以上道路はいらん。」
新規道路整備では、もう「田舎の普通の人」は潤わない。それより、医療や福祉の充実、所得の引き上げなどがニーズだと強く感じました。
民主党の「ガソリン税引き下げ」については賛成が多いのも大変、わかります。ただ、やはり、きちんと経済対策をしてほしい。そういう要望が強いことも強く感じました。
国民のほうが意識としては進んでいて、むしろ福田さんら政治家の「えらい人」が世界からも遅れ、国民意識からも遅れているのではないでしょうか?
記事へのご意見・ご感想はこちらへどうぞ!
なるほど!と思ったら下をクリックお願いします!
人気blogランキングへ
Tracked
from 平和への結集第2ブログ
at 2008-01-30 15:12
タイトル : 今なぜ野党連合を訴えることが必要か?
すでに野党連合と政権交代を訴える2008「平和への結集」アピールを公表し、賛同をお願いしています。民主党との協力関係をめぐっては、従来から意見の違いが先鋭に現れていました。 以下の河内さん、東本さんの意見はこの問題を考える上での一つの有効な「回答」になって..... more
すでに野党連合と政権交代を訴える2008「平和への結集」アピールを公表し、賛同をお願いしています。民主党との協力関係をめぐっては、従来から意見の違いが先鋭に現れていました。 以下の河内さん、東本さんの意見はこの問題を考える上での一つの有効な「回答」になって..... more
Tracked
from 「猫の教室」 平和のため..
at 2008-01-30 18:23
タイトル : 土建腐敗政治の実態を暴け
今日のエントリーの前に、前の2つのエントリーに寄せられたコメントについて、少しお答えしておきたい。 私が、大阪府知事選挙の結果の分析が不十分というご指摘があったが、それは全くその通りである。言い訳になるが、先週はパソコンの故障とそのバックアップ、新パソコ..... more
今日のエントリーの前に、前の2つのエントリーに寄せられたコメントについて、少しお答えしておきたい。 私が、大阪府知事選挙の結果の分析が不十分というご指摘があったが、それは全くその通りである。言い訳になるが、先週はパソコンの故障とそのバックアップ、新パソコ..... more
by hiroseto2004
| 2008-01-30 12:48
| 環境・街づくり
|
Trackback(2)