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昨年10月、衆議院議員選挙があった。女性の当選者は73人。マスコミはいっせいに、過去最多と報道した。その、日本最高の女性衆議院議員率は15.7%だった。


日本、衆院の女性15.7%は世界第140位_c0166264_21422125.jpg

世界の女性議員率の順位を公開しているIPUによると、2025年2月現在、日本の15.7%は、世界第141位である。2024年までは、160位以下だった(日本の衆院にあたる第一院の調査)。


衆院選の真っ最中に、国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)が、「あらゆる意思決定機関の男女比を5050にせよ」という勧告を出した。これに日本が到達するのは、今のような選挙制度では100年かかっても無理だろう。どんな選挙制度がいいのか。答えは出ている。



日本の女性議員率、世界141位_c0166264_21173700.jpeg
 Monthly ranking of women in national parliaments | IPU Parline: global data on national parliaments




# by bekokuma321 | 2025-03-03 21:20 | 日本

国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、202410月、日本にさまざまな改善をせまった。CEDAWは、女性の世界憲法といわれる「女性差別撤廃条約」を、締約国がどの程度守っているかを審査して、次につなげるための勧告をする国連の組織だ。


先日、外務省が、そのCEDAWに資金を拠出しないことにした、などというニュースに接した。驚きあきれ怒った。怒りのエネルギーを使って、あらためて日本への勧告を読むと、日本をよくするための、正鵠を射た、具体策が並んでいた。日本政府がすべきことをCEDAWが”してあげた”のであり、外務省は、お礼に拠出金を倍増してもいいくらいではないか。


国連勧告「候補者男女均等法を改正し、罰則を設けよ」_c0166264_22264729.png
▲2003年のCEDAW会議。アイヌ女性が初めて差別を国際社会に訴えた


勧告は多岐にわたっている。たとえば、女性差別撤廃条約の「暫定的特別措置」という項目において、国会議員立候補に必要な供託金300万円を減額せよ、という指摘がある。実際、衆参とも選挙区で300万円、比例区で600万円を用意しなければならない。経済的に貧しい女性にとって実に酷な話だ。女性候補の供託金を減額したら、多少は立候補する女性が増えるかもしれない。


これ以外に、「政治的・公的分野への男女の平等な参加」という項目がある。公開された英文から、その分野の和訳を下に掲げる。女性差別撤廃には、ありとあらゆる分野での措置が必要だとはいえ、決定する場に女性が多数進出することが、最重要だと考えるからだ。


以下の中で、特によくぞ言ってくれたと思ったのは、「候補者男女均等法に罰則規定を設けること」。全国フェミニスト議員連盟など女性運動団体も、かねてから主張してきた。現在の候補者男女均等法は、単なる理念法で、守らなくても痛くもかゆくもない。また、女性議員を50%にせよとの勧告は、いまの小選挙区制では100年たっても絶対無理。勧告に近づけるには、比例代表制中心の制度にすべきだ。



国連の女性差別撤廃委員会から日本への勧告

政治的・公的分野への男女の平等な参加


35. 委員会は、女性の政治的・公的分野への参加を促進し奨励するために、国、地方自治体、民間企業が行っている意識啓発活動に留意する。しかしながら、委員会は、以下の点について懸念を表明する。


(a) 政治的・公的分野、特に国会や大臣レベル、地方自治体、司法、外交、学界における決定の場において女性の代表は依然として少ないこと


(b) 国政選挙における女性候補者の具体的な目標設定に対する一部の政党の反対、およびジェンダーの固定観念が、特に家庭生活と政治キャリアの両立することを妨げ続けていること


(c) 政治分野における候補者男女均等法は、クオータ制(割り当て制)や、遵守しない場合の罰則を定めておらず、自主性にまかせていること


(d) 5 次男女共同参画基本計画で定められた、指導的地位に占める女性の割合を2020 年初めまで30% に上げるとする目標は男女平等には程遠い、しかもいまだに達成されていない


(e) 障がいのある女性や、アイヌ、部落、在日コリアン女性などの少数民族やその他の少数派の女性が、自分たちの生活に影響する意思決定システムにおいて十分に代表されていない


36. 委員会は、女性が決定過程に平等かつ包括的に代表を送ることに関する一般勧告第40号(2024年)および持続可能な開発目標の目標5.5(政治、経済、公的分野における決定のあらゆるレベルにおいて、女性の完全かつ効果的な参加とリーダーシップの平等な機会の確保すること)を想起し、締約国に対し、次のことを勧告する。


(a) 条約第4条(1)および委員会の一般勧告第25号に従い、法による割当制など、暫定的な特別措置を導入することによって、女性が、選出・任命を問わず役職に、完全にかつ平等につけるようスピードアップすること


(b)政党や一般市民を対象として、的を絞って効果的な意識向上および啓発運動を実施して、ジェンダーによる固定観念を指摘し、かつ、女性の代表が平等に包括的に政治的・公的分野の決定過程に参画することの重要性について認識を高めること


(c) 政治分野における候補者男女均等法を改正し、遵守を促す動機づけ、ならびに遵守しなかった場合の罰則規定を設けること


(d) 立法府、省庁、地方自治体(市長を含む)レベル、司法、外交官、学界における女性の代表割合について、第 5 次男女共同参画基本計画にある30% の目標を、第 6 次男女共同参画基本計画では 50%対50% に引き上げること


(e) アイヌ、部落、在日コリアン女性など少数民族女性や少数派女性が、彼女たちの生活に影響を与えることになる決定過程へ代表を送れるよう、暫定的特別措置を含む具体的措置を講じること



【写真:アイヌ女性への差別を国連で訴えた多原良子さん。アイヌ女性としては史上初のことで、アイヌ女性の複合的差別がCEDAW勧告に載るきっかけとなった。2003年の女性差別撤廃委員会における市民団体の声を聞く会にて】


CEDAW/C/JPN/CO/9

2104th Meeting, 89th Session, Committee on the Elimination of Discrimination against Women (CEDAW) | UN Web TV

CEDAW 日本に強い勧告 選択的夫婦別姓導入や女性議員増など特に強調 | 週刊金曜日オンライン

国連勧告「意思決定機関を男女50対50にせよ」 : FEM-NEWS

反差別国際運動(IMADR) | あらゆる差別と人種主義の撤廃を目指す国際人権NGO

報告「多原良子:アイヌ女性への複合差別と政治参画」by 渡辺順子 : FEM-NEWS


# by bekokuma321 | 2025-02-28 22:54 | 日本

デンマーク「うちの売り物は男女平等と高福祉」(叫ぶ芸術)_c0166264_20553249.jpg



昨年秋から今年のお正月ごろ、私の頭は、北欧デンマークでいっぱいだった。


デンマークのドキュメンタリ映画「ダナーの家」をヌエックで上映したり、デンマーク大使館職員からデンマークの子どもの権利を聞くイベントを企画したり・・・・もう一度デンマークに行ってみたい、と夢見ごごちだった。そんな私の耳に、なんと、あのトランプ大統領が、「デンマーク領の島グリーンランドを欲しい」とだだをこねているとのニュースがはいった。仰天した。


そんなわけで、2025年2月号の「叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女たち」は、デンマークについて書いた。題して「うちの売り物は男女平等と高福祉」。トランプ大統領のおねだりにただちに反論したデンマーク首相ーー2人の子どものシングルマザーーーの言葉から思いついた。


ポスターは、一度見たら目に焼き付いて離れない、魅力的な1枚。政治風刺画家メッテ・ドレイヤの作品だという。


30年以上も前、「男性よ家事育児をもっとしよう」という政策を打ち出したデンマーク政府がつくった。


詳しくは、「i 女のしんぶん」をどうぞ。できましたら、購読して女性解放をめざす女性の新聞を応援してください。





# by bekokuma321 | 2025-02-27 21:34 | 北欧

221日、楽しく比例制をめざす会のオンライン会合があった。ゲストは、法政大学教員の土山希美枝さん。


司会の金子加代飯塚市議が、「議員や議会のあるべき姿を描く際、土山希実枝さんの講義から貴重な示唆を受けた」と、土山さんを紹介した。


土山さんは、大半の市民は、地方議会と議員について、「何をしているのかわからない」と考えていることを、統計から伝えた。こうした、不信や不満など市民からの厳しい目が地方議会に注がれている現実へのひとつの処方箋として、議会基本条例の制定の説明をした。


速報「土山希美枝:地方議会への不信と期待」 を聞いて_c0166264_12070713.jpg


土山さんは、自治体の目的は、市民が必要とする政策や制度を整えることだと言った。また、市民の生活は、国や自治体政府によってだけでなく、企業分野や市民社会分野によって支えられていることを強調した。


よって、情報公開などによる議会の透明性向上や、議会報告会開催などによる市民との対話が必須であり、それを制度として担保するのが議会基本条例だと語った。


ご存じのように、議会基本条例は、2000年以降多くの自治体で制定を見て、2010年ごろにはブームにさえなった。目的は、会議の公開や、議員賛否の公開、住民への議会報告会や意見交換会の開催などによって、議会を開かれたものにし、市民に近づけることである。また議会を市民のニーズを政策化して制度づくりの場にするには、一問一答方式の導入、議案賛否に至るまでの議員同士の話し合いの確保などが、あげられてきた。


土山さんは、議員が議題への賛否をいったん決めても、議員同士の意見交換で賛否に変化がもたらされうることがないといけない、と語った。それには、党派を超えた「ほっとけない争点」を見出すことが大事だ、と力説した。


一方、参加者からは、女性差別撤廃条約選択議定書に反対するような議員が選ばれていることに愕然とすると発言があった。現職議員からは、議会基本条例の趣旨に沿って、市民との議会報告会をよびかけても参加数がきわめて少ない、という情けない現実が示された。別の議員からは、政治倫理審査会にかけられ言論統制のようなことをされている、との驚くべき発言があった。なかには、女性模擬議会や参考人招致もあり、市民とも話し合いがもたれているとのめずらしい議会の紹介もあった。


ノルウェー在住の参加者は、日本では、子どもは先生など目上の人の期待に沿う意見を述べ、反論を「もめる」ととらえる傾向があるが、ノルウェーでは一人一人みな自由に異なる意見を言いあって当たり前という前提がある、と述べた。


土山さんも、議員だけでなく、そもそも日本人一般の自由な話し合い・議論のなさがあると、語った。その“長いものにまかれろ”的心情を助長するような制度が、日本の小選挙区中心の選挙ではないか、と主催したGPRは考えている。


次回は418日(金)、ゲストは自由学園最高学部教員の酒本絵梨子さん。テーマ「遊び、スポーツ、民主主義」。北欧デンマーク留学で得た経験と研究から、遊びやスポーツを通して、いかに民主主義が養われているかを、話していただく。


三井 マリ子(楽しく比例制を考える会 GPR)


【写真は当日の録画より。司会の金子加代さん(左)、ゲストの土山希美枝さん】


# by bekokuma321 | 2025-02-25 19:12 | 日本

ドイツ総選挙が始まった

ドイツの連邦議会議員選挙が行われている。


報道を見ると、連立政権は、現在の中道左派の社会民主党SPD中心から、中道右派のキリスト教民主党CDU中心に変わりそうだ。


極右といわれる「ドイツのための選択肢AfD」の党首はアリス・ワイデル。極左といわれる「左党」の党首はハイディ・ライヒネック。2人とも女性で、人気がある。アリスは、スリランカ人女性とのレズビアンであることを公言していて、ハイディは、腕にローザ・ルクセンブルグのタトゥーをしているという。


このところの世論調査では極右・極左とも支持率を伸ばしている。とりわけ強硬な移民排斥策を掲げるAfD20%を超す。左派党は全く人気がなく消えかかっていたが、息を吹き返し、18歳以下では21%という調査結果もある。人気の高かった緑の党は、一時の勢いがないようだ。


ドイツ総選挙が始まった_c0166264_00000349.jpg


ところで選挙制度だが、ドイツの選挙は小選挙区比例代表併用制と呼ばれる。日本の衆院の選挙制度と似ているようだが、実際は異なる。


有権者が2票持っている点は同じだ。1票は、ドイツ全土299選挙区のうち、自分の選挙区から1人選ぶものだ。日本の衆院の小選挙制と同じで、最も多く票をとった候補者が当選者となる。


なんといっても重要なのは、もう1票の方だ。こちらは、支持する政党を選ぶ。票は、各政党の獲得票の割合に比例して、政党ごとの議席数が何人かが決まる。純粋の比例代表制だ。比例代表制で決まった各党の議席は、小選挙区当選者から順に埋まっていき、残りは政党候補者リストから、となる。


そう、ドイツ選挙の基本のキは、民意を反映する比例代表制選挙であり、ここが日本と決定的に違う。だから日本のように、4割の支持しかないのに議席の8割をかっさらって、一強政治を生むことはない。その結果、いつも、いくつかの政党による連立政権となる。


写真は、ドキュメンタリー映画『不屈の女たち』(2021)のポスター。女性蔑視・差別に立ち向かって議会に挑んでいった女性たちの記録映画だ。古めかしい演壇に真っ赤なバッグ。女性の議会進出を表している。そしてドイツを象徴する鷲は、右を向いて笑っているーーなんだか不気味だ。



ドイツで男女賃金格差7%は違法の判決 : FEM-NEWS

「女たちのヨーロッパ」の時代到来 : FEM-NEWS


# by bekokuma321 | 2025-02-24 00:27 | ヨーロッパ