2013年 02月 19日
2月に入って、数件、雇い止めの相談を受けました。
例年、このシーズンは気が重くなります。
その相談とはまた別のケースなのですが、京大では、4月1日から改正労働契約法が施行されることを理由にして、「4年で雇い止め」を言い渡された人がいたそうです。
誤解があるようなので、簡単にポイントだけまとめておきます。
(以下は、1年契約である京大の例で、かなり大雑把に書いてます。3年契約などの場合はまた異なります。詳しくは、文末の厚労省のリンクを見てください。)
【改正法18条】 有期契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者の申し込みにより、無期契約に転換する。(要約)
つまり、契約が6年目に突入してから(=5年+1日たってから)申し込みをしないと、無期には転換されません。したがって「4年で雇い止め」などは、ナンセンスな話です。5年ちょうどで打ち切ればいいのですから。
なお、5年たったら「正社員にしなければならない」というのは誤解で、正しくは「無期契約にしなければならない」です(労働条件はそれまでと同一で良い)。
また、このルールが適用されるのは、法施行日(2013年4月1日)以降に開始された契約からです。したがって、実際に無期転換が行われるのは、ずっと先のことになります。(この意味からも、今わざわざ「4年で雇い止め」するなどというのはナンセンスです。)
【改正法19条】 今後も契約が更新されることに合理的期待がある場合、これを雇い止めするためには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められることが必要となる。(要約)
これまで判例が確立してきた、「雇い止め法理」を明文化したものです。いわゆる「期待権」が発生する場合に、5年条項による雇い止めは無効となります。
京大は、2010年に、5年条項の例外規定を発表しました。すなわち、部局の裁量により、特に必要がある場合には、6年目以降も続けて再雇用できる制度を設けたのです。これによって、多くの方が5年を超えて(実質的に)継続雇用されている現状があります。
したがって、京大当局がいかに「更新は通算5年まで」と一方的に宣言しようが、いかに「更新は来年までですよ」としつこく念押しをしようが、実際に継続雇用されているケースがたくさんあって、さらなる更新への期待感を持つのが当然であるような今の京大の状況では、法的には何の意味も持たないのです(※)。
同じ仕事が続いているのに、また、他に6年目以降も継続雇用されている人がいるのに、5年条項を理由に雇い止めをして、新たに別人を採用するようなやり方は、まったくもって不合理です。社会通念上も相当性がありません。したがって、改正労働契約法19条によって、無効とされる可能性がきわめて高いのです。
【参考リンク】
■厚生労働省のリーフレット「労働契約法改正のポイント」
■京大職組「Decent Work」第7号(※うちとは別の組合です)
(※)仮に最終年度の労働条件通知書に、「更新しない」とはっきり書かれていたとしても、期待権は発生します。こうした不更新条項については、合理的期待があるかないかを総合的に判断するための一考慮要素にすぎない、と裁判所は述べています(明石書店事件、東京地判平成22年7月30日)。
例年、このシーズンは気が重くなります。
その相談とはまた別のケースなのですが、京大では、4月1日から改正労働契約法が施行されることを理由にして、「4年で雇い止め」を言い渡された人がいたそうです。
誤解があるようなので、簡単にポイントだけまとめておきます。
(以下は、1年契約である京大の例で、かなり大雑把に書いてます。3年契約などの場合はまた異なります。詳しくは、文末の厚労省のリンクを見てください。)
【改正法18条】 有期契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者の申し込みにより、無期契約に転換する。(要約)
つまり、契約が6年目に突入してから(=5年+1日たってから)申し込みをしないと、無期には転換されません。したがって「4年で雇い止め」などは、ナンセンスな話です。5年ちょうどで打ち切ればいいのですから。
なお、5年たったら「正社員にしなければならない」というのは誤解で、正しくは「無期契約にしなければならない」です(労働条件はそれまでと同一で良い)。
また、このルールが適用されるのは、法施行日(2013年4月1日)以降に開始された契約からです。したがって、実際に無期転換が行われるのは、ずっと先のことになります。(この意味からも、今わざわざ「4年で雇い止め」するなどというのはナンセンスです。)
【改正法19条】 今後も契約が更新されることに合理的期待がある場合、これを雇い止めするためには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められることが必要となる。(要約)
これまで判例が確立してきた、「雇い止め法理」を明文化したものです。いわゆる「期待権」が発生する場合に、5年条項による雇い止めは無効となります。
京大は、2010年に、5年条項の例外規定を発表しました。すなわち、部局の裁量により、特に必要がある場合には、6年目以降も続けて再雇用できる制度を設けたのです。これによって、多くの方が5年を超えて(実質的に)継続雇用されている現状があります。
したがって、京大当局がいかに「更新は通算5年まで」と一方的に宣言しようが、いかに「更新は来年までですよ」としつこく念押しをしようが、実際に継続雇用されているケースがたくさんあって、さらなる更新への期待感を持つのが当然であるような今の京大の状況では、法的には何の意味も持たないのです(※)。
同じ仕事が続いているのに、また、他に6年目以降も継続雇用されている人がいるのに、5年条項を理由に雇い止めをして、新たに別人を採用するようなやり方は、まったくもって不合理です。社会通念上も相当性がありません。したがって、改正労働契約法19条によって、無効とされる可能性がきわめて高いのです。
【参考リンク】
■厚生労働省のリーフレット「労働契約法改正のポイント」
■京大職組「Decent Work」第7号(※うちとは別の組合です)
(※)仮に最終年度の労働条件通知書に、「更新しない」とはっきり書かれていたとしても、期待権は発生します。こうした不更新条項については、合理的期待があるかないかを総合的に判断するための一考慮要素にすぎない、と裁判所は述べています(明石書店事件、東京地判平成22年7月30日)。
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by unionextasy
| 2013-02-19 15:46
| 私たちの主張