政治

政治力と市場支配力

というNBER論文が上がっている(ungated(SSRN)版)。原題は「Political Power and Market Power」で、著者はBo Cowgill(コロンビア大)、Andrea Prat(同)、Tommaso Valletti(インペリアルカレッジロンドン)。 以下はその要旨。 Brandeis (1914) hypothe…

トランプ当選に対するクルーグマンとブランシャールの反応

X(ツイッター)上でクルーグマンとブランシャールがトランプ当選に以下のような反応を示している。 クルーグマン https://x.com/paulkrugman/status/1854002222805229896 If this goes the way it seems to be going, a plea: Hold the recriminations. The…

ヒトラーとドイツの石炭産業の実業家:王国への鍵の譲渡

というINET論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Hitler and the German Coal Industrialists: Passing the Keys to A Kingdom」で、著者はKarsten Heinz Schönbach*1。 以下はその要旨。 Ever since the publication of Henry Turner’s German Bi…

トランプが大統領選に勝利した場合の経済的含意に関する金融市場の見方

賭け市場でのトランプの勝利確率を他の経済変数とともにVAR分析に掛けたドイツ連邦銀行の2人の研究者による表題のVoxEU記事をMostly Economicsが紹介している。原題は「What financial markets say about the economic implications of a potential Trump el…

選挙人投票、大統領支持率、消費者信頼感はどのように経済指標に反応するのか?

というNBER論文をロバート・ゴードンが上げている。原題は「How Do Electoral Votes, Presidential Approval, and Consumer Sentiment Respond to Economic Indicators?」で、著者はRobert J. Gordon(ノースウエスタン大)。 以下はその要旨。 This paper s…

人口動態による米選挙予測の陥穽

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Pitfalls of Demographic Forecasts of US Elections」で、著者はRichard Calvo(UCバークレー)、Vincent Pons(ハーバード大)、Jesse M. Shapiro(同)。 以下は…

専制主義下での誤解と民主主義への要求

というNBER論文をアセモグルらが上げている(ungated版)。原題は「Misperceptions and Demand for Democracy under Authoritarianism」で、著者はDaron Acemoglu(MIT)、Cevat Giray Aksoy(キングス・カレッジ・ロンドン)、Ceren Baysan(トロント大)、…

中国:専制政治2.0

というNBER論文が上がっている。原題は「China: Autocracy 2.0」で、著者はDavid Y. Yang(ハーバード大)*1。 以下はその要旨。 Autocracy 2.0, exemplified by modern China, is economically robust, technologically advanced, globally engaged, and co…

世界覇権と法外な特権

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Global Hegemony and Exorbitant Privilege」で、著者はCarolin Pflueger(シカゴ大)、Pierre Yared(コロンビア大)。 以下はその要旨。 We present a dynamic two…

ドナルド・トランプの言葉

というNBER論文が上がっている。原題は「Donald Trump's words」で、著者はNikita Savin(UCLA)、Daniel Treisman(同)。 以下はその要旨。 Donald Trump’s campaign speeches have impressed some and outraged others. Yet relatively little is known a…

トランプ有利という潮目の変化をもたらした19の要因

をタイラー・コーエンが挙げている。以下はその概略。 トランプとそのチームは今や我々がソーシャルメディアの世界に住んでいることを理解していた。民主党のエスタブリッシュメントでそれを理解している人は一部に限られた。 「トランプ主義」の右派は、少…

プラスのアピールと誤った教訓

イアン・ブレマーが、トランプ暗殺未遂事件を受けて流したこちらとこちらの2つのビデオをツイッターで以下のように紹介している。 まず事件後に流したビデオの紹介ツイート。 7/14ビデオ紹介ツイート1 america’s dangerous cocktail: political extremism, d…

ブランシャール「We'll always have centrists」

ブランシャールが、前回エントリで紹介した連ツイで予告した中道派に関するスレッドを立てている(仏語版)。 1/9. Last tweet thread in the trilogy (FN, NFP, now Ensemble). Then, I intend to take a break. I am struck by the prevalence of the foll…

ブランシャール「仏左派連合の経済政策は国民連合より悪い」

18日エントリで紹介したツイートで国民連合の政策を批判したブランシャールが、返す刀で今度は左派連合「新人民戦線*1」の政策を批判している。 1/6. Tweet thread. Why do I think the economic program of the Nouveau Front Populaire is worse than that…

ブランシャールの現代フランス政治学

ブランシャールが経済関係のツイートの合間に、欧州議会選後に風雲急を告げる状況になった母国フランスの政治動向についてツイートしている。6/10 Macron's decision to dissolve the assembly and call new elections is smart and the right move. Either …

民主主義は経済にとって良い。企業はそれを守れるか?

というブルッキングス研究所の論考をMostly Economicsが紹介している。原題は「Democracy is good for the economy. Can business defend it?」で、著者は同研究所のVanessa Williamson。 以下はその冒頭。 Whether its genesis is slow and quiet or sudden…

ロシアの外貨準備を接収せよ

という論陣をブランシャールがツイッター上で張っている。I thought it was a bad idea to seize Russian reserves before the US congress had voted on the Ukraine package. It gave too easy a way to Congress to vote no and pass the buck. Now that …

宥和すべき時、罰すべき時:ヒトラー、プーチン、ハマス

というNBER論文が上がっている(H/T Mostly Economics;ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「When to Appease and When to Punish: Hitler, Putin, and Hamas」で、著者はDavid K. Levine(ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ)、Lee E. …

普通教育は信心深さ、選挙への参加、およびイスラム教政党に投票する傾向に影響するか? イスラム教国の教育改革における実証結果

クルド関係のNBER論文をもう一丁。2013年の表題の論文*1の原題は「Does Secular Education Impact Religiosity, Electoral Participation and the Propensity to Vote for Islamic Parties? Evidence from an Education Reform in a Muslim Country」で、著…

人工国家

前回エントリでクルド問題を取り上げたが、NBER論文でクルドを扱ったものは無いかと検索したところ、直接的なものではないがアレシナ、イースタリーらの2006年の表題の論文が引っ掛かった*1。原題は「Artificial States」で、著者はAlberto Alesina(ハーバ…

クルド人にとっての欧州連合のジレンマ:十分に信頼しないながらも加盟に高い支持

川口市や蕨市のクルド人問題が紛糾しているが、そもそも彼らの大半の出身国であるトルコにおいてクルド人の状況が改善する途は無いのか、と思ってぐぐったところ、2018年4月30日付けの表題の記事(原題は「The European Union Dilemma of the Kurds: High Su…

実際の選挙運動におけるポピュリズム感情への抵抗と情報

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Campaigning Against Populism Emotions and Information in Real Election Campaigns」で、著者はCesi Cruz(UCLA)、Julien Labonne(オックスフォード大)、Franc…

グローバルサウスあれこれ

篠田英朗氏の記事をはてぶしたのを契機にグローバルサウスについて少し調べてみたところ、篠田氏と同様、このグローバルサウスという概念に対し否定的な見解を示している西側の識者が幾人かいることが分かった。例えば、 ジョセフ・ナイによるProject Syndic…

国家の地形学

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者のページ)。原題は「The Topography of Nations」で、著者はTreb Allen(ダートマス大)。 以下はその要旨。 How does the interplay of geography and political-economic forces affect the …

これはハマスの罠なのか?・続き

前々回エントリで取り上げた「ハマスの罠」については、ツイッター(X)上でも多くの人が言及している。例えば細谷雄一氏は以下のように述べている。世界の左右を問わず、識者が、イスラエルが軽率に大規模侵攻を開始することが、戦略的にハマスの「罠」には…

これはハマスの罠なのか?

今回のハマスの蛮行は世界を震撼させたが、なぜそこまでの残虐行為を行ったかを考えると、イスラエルにガザ侵攻を余儀なくさせるためではないか、という仮説が一つ考えられる。そこで「Hamas trap」でぐぐってみると、同様の仮説を立てている記事に幾つか行…

不信、誤認、および誤解:不完全情報と紛争動学

というNBER論文をアセモグルらが上げている(ungated版)。原題は「Mistrust, Misperception, and Misunderstanding: Imperfect Information and Conflict Dynamics」で、著者はDaron Acemoglu(MIT)、Alexander Wolitzky(同)。 以下はその要旨。 Buildin…

レジーム変化の経済的帰結:概観

というNBER論文が上がっている。原題は「Economic Consequences of a Regime Change: Overview」で、著者はAssaf Razin(テルアビブ大)、Efraim Sadka(同)。 以下はその要旨。 Regime changes toward autocracy typically reshape the judicial framework…

ポピュリスト指導者と経済

というAER掲載予定論文をタイラー・コーエンが紹介している。原題は「Populist Leaders and the Economy」で、著者はキール世界経済研究所のManuel Funke、Moritz Schularick*1、Christoph Trebesch。 以下は2020年時点のWPの結論部。 Populism is bad econo…

ドミノ分離:米国についての実証結果

というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「Domino Secessions: Evidence from the U.S.」で、著者はJean Lacroix(パリ=サクレ大学)、Kris James Mitchener(サンタクララ大学)、Kim Oosterlinck(ブリュッ…