以前、歴史教科書問題の記事で触れられていた韓国の
ニューライトですが、李明博政権になってからミョ~にブイブイいわしちゃってます。
韓国では8月15日は1945年に日帝の支配から解放された“光復節”とされていましたが、今年はそれよりも大韓民国政府が1948年に樹立した“建国”の日だという側面が強調されました。その“建国”キャンペーンを大々的に行ってきたのはニューライト系の人々。しかも政府からの資金援助を大いに受けています。
そいや、8月上旬に太極旗があふれかえった“建国60周年”TVコマーシャルとか見て辟易しちゃったな。でもそれがオリンピック中継の合間なんかに流れたりすると、感激しちゃう韓国人が多かったりするんだろうな。実際、オリンピック期間中になぜか李明博政権の支持率が上がっちゃったし。
これが“光復63周年”キャンペーンとかで、抗日独立運動やそれに対する日帝の弾圧なんかが強調されていたら「日帝の末裔ですみませ~ん」とかって正座して謝ってしまうのでしょうが
(←嘘。)、“建国、建国”ばかりを言われると、「あれ?独立運動は?臨時政府は?」と思ってしまいます。
しかも“建国”っつーても、米軍政下での傀儡政権だったクセに。
こんなんですから、韓国内では独立運動家やその子孫で構成する市民団体、歴史学者などが反発をしています。それに関するこちらの記事をご覧ください。どうぞ。
憲法を変えて‘建国’を
ニューライト系の推進委員会と重複する記念事業委員会の面々-政府の支援を受け、準備予算だけでも279億ウォン
▣文/パク・スジン記者
▣写真/リュ・ウジョン記者
「大韓民国建国60年記念事業委員会(以下、記念委員会)を国民の合意もなく設置し、運営することは違法である」。
8月7日午前11時、大韓民国臨時政府記念事業会と平和統一市民連帯など55の市民団体が、憲法裁判所の前に集まった。これらの団体はイ・ジョンゴル民主党議員など75人の国会議員と共に「政府が8月15日を光復よりも建国が強調されるように‘建国60周年記念行事’を露骨に準備している」、「建国60年記念事業委員会の建国60年記念行事を即刻中断すべき」と主張した。これらの団体は、記念委員会が推進している事業が国民投票権など国民の基本権を侵害しておいるとして、憲法裁判所に憲法訴願を提出した。憲法裁判所がこれに対する決定を下すまで最短でも180日がかかるため、即刻進行中の事業を中止するための‘事業中止仮処分申請’も同時に提出した。
△8月7日、憲法裁判所前で55の市民団体の会員たちが集まり、「建国記念事業は違憲」だとして「建国60年記念事業委員会のあらゆる活動を中断せよ」と要求する記者会見を開いた。
これはそれで、それはこれの展示会
これらの団体が違憲だと主張する理由は、大別して3つある。まず「3・1独立運動の際に設立された大韓民国臨時政府の正統性を継承」している憲法前文に反するという点だ。第二に、「朝鮮半島とその付属島嶼を領土とする」憲法領土条項宣言に反して韓国単独樹立政府を認めることによって北朝鮮を排除することは、憲法改定事項である。そして第三は、「‘建国記念事業’を推進するには憲法改正要件(国会在籍議員の3分の2の賛成と国民投票)に従わなければならない」という点だ。
記念委員会は5月20日に発足した。記念委員会はニューライト系列の学者が集まり、昨年11月に作った民間団体‘建国60年記念事業推進委員会’(以下、推進委員会)の変種だ。まず一部の委員が重複している。推進委員会の共同推進委員長であるイ・インホKAIST(韓国科学技術院)主席教授とカン・ヨンフン元国務総理は記念委員会の顧問として参加し、ソン・ウォルジョン総務院長とイ・チョルスン憲政会会長などは両方の顧問を務めている。推進委員会の主要事業は、記念委員会に引き継がれた。キム・ヨンホ推進委員会執行委員長(誠信女子大政治外交学科教授)は、「建国記念館建立運動を進めたが、実際資金がなく難しい」と話した。この困難は記念委員会が予算13億ウォンを配当して建国記念館建立を推進するのはもちろん、韓国現代史の展示だけのために現代史博物館建立まで主要事業に定めて解消された。
記念委員会の行事は過剰だという指摘がある。代表的なものは展示事業だ。記念委員会が介入して進めている建国60周年関連の展示だけでも5種類ある。韓国学中央研究院が主催して記念院会が後援する‘大韓民国建国60年記念/外国教科書の韓国イメージ企画展示’(8月1~12日)、国家記録院が主催する‘大韓民国建国60年記念/国家記録特別展’(8月5~31日)、国立民俗博物館が主管する‘その苦難と栄光の瞬間’(7月29日~9月15日)は現在進められている展示だ。それ以外にも‘韓国現代写真60年1948-2008年’が8月15日に始まる。国史編纂委員会は当初から大々的に建国記念歴史館を建立し、‘建国’を主題にした展示を常設する作業を準備している。京畿道果川(カチョン)にある国史編纂委員会の資料館2階を改造し、2008年までの建国関連資料を展示する。
「‘作り出した歴史’を画一的に展示」
このすべての展示の主題は‘建国’であり、展示順序は時代順だ。抗日運動期間は当然抜けている。国立民俗博物館は1945~48年の建国時期に国家を象徴する資料とや衣食住の生活資料、大衆文化資料などを展示している。歴史を‘光復・建国・戦争’などの建国時期と、‘経済・発展・節約’などの産業化・民主化時期に区分している。国家記録院もやはり建国時期、産業化時期、民主化時期などに区分し、関連記録物を展示している。国史編纂委員会で建国記念館建立事業を準備中のある研究員は、「ソウルはもちろん光州、京畿道城南など地域別にも‘建国’を主題にした同じような展示があふれている」、「みんな1950年代は戦争と被害、1960~70年代は開発と産業化、1980年代は民主化、2000年代は復興期と区分し、国家発展の脈絡から展示をしている」と語った。彼は「今似たような展示があまりにも多く、果たして建立記念館を差別化した展示館とすることができるのか不安だ」ともらした。
彼は韓国学研究院で大韓民国60年を記念した企画展示である‘外国教科書の韓国イメージ企画展示’も「他の建国60周年展示と違う点はほとんどなかった」と語った。コンセプトは‘教科書’だったが、教科書に登場する李承晩(イ・スンマン)大統領の顔から始まり、韓国初の宇宙飛行士イ・ソヨン氏の顔で終わっていた。この研究者は「以前はみんな‘光復、光復’だったが、今はみんな‘建国、建国’だ」、「歴史というものが政権によって違う解釈をされるということを実感した」と付け加えた。
チョン・ヘグ聖公会大学教授(韓国現代史)も、「政府が産業化、近代化を浮上させるために政府から予算を受け取った政府周辺の団体を動員し、‘作り出した歴史’を画一的に展示している」とし、「‘建国’を1948年とすることで1948年以前の歴史を頭から否定する歴史解釈に対して学会や国民一般の共感も形成せず、権力を利用して広報する方式」だと批判した。
国家主導の‘歴史作り’は、広報予算だけ見てもわかる。建国60周年キャンペーン広告予算は、記念委員会と文化観光部の2つの機関に分配されている。記念委員会は60年を記念するキャンペーンを8月の1カ月間行う。9月からは文化観光部の広報支援局で未来ビジョンに関するキャンペーンの予定だ。記念委員会の1カ月の予算は10億ウォン、文化観光部広報支援局での予算は13億ウォンで、合計23億ウォンが‘建国60周年’の広報に使われる。当初、5月に記念委員会が発行した資料によると広告予算は2億5000万ウォンと策定されていたが、2カ月後の広告予算は20億ウォン代と約10倍にも増えていた。国家の支援で放送、新聞などのメディアを通じて‘建国’を積極的に広報しているため、‘歴史作り’をしているとの批判を受けかねない。
広告予算2億5000万ウォンが2カ月の間に20億ウォンに
イ・ジョンゴル民主党の議員は「記念委員会の全体的な予算運用の内訳などを提出するように要請したが、まだ資料を受け取っていない」とし、「東北アジア歴史財団の1年の予算が100億ウォンなのに、国家的合意もない建国60周年行事を準備するだけの予算が279億ウォン」だとし、「予算の浪費だという話を聞きたくないのなら、行事の準備にどれだけの費用を使っているのかを明確にしなければならない」と語った。
(『ハンギョレ21』 2008年08月14日 第723号)