引っ越した先のケーブルテレビではNHKが映らないのですが、新たに別のケーブルチャンネルを契約するのもメンドくさいのでそのままにしています。それで日本のニュースはほとんど見られないのですが、それでもまったく見たいとは思わない今日この頃。
さて、先日再開された六カ国協議ですが、日本のテレビは相変わらず
ラチラチラチラチラチなんでしょうかねぇ?日本のテレビが見られなくて幸いかも。
んじゃ、こちらは2月6日のハンギョレ新聞のコラムです。
“大きな外交”が必要な時/李鍾元
明日から北京で六カ国協議が続開される。今回は何か具体的な“進展”があるだろうとの期待が強い。しかし2003年8月の初会合以来、3年余りにわたって毎回、期待と失望を繰り返してきた経緯を考えれば楽観論をすんなり信じることはできないのも事実だ。
北朝鮮が六カ国協議で核議論の前提条件として主張してきた金融制裁に関して先週、北京で米朝実務者会談が開かれた。それに関する北朝鮮の公式反応はまだない。しかし日本で発行されている朝鮮総連の機関紙『朝鮮新報』が今月5日、初めてこれに関して言及した。「アメリカ側が問題解決の正しい方向を決め、核問題討議の突破口を開いたと判断すれば、朝鮮はこれに積極呼応する」「六カ国協議のすみやかな推進のためには金融制裁問題を障害物として浮上させてはならない」とした。金融制裁“解決”が六カ国協議の“前提条件”だと念を押す従来の態度とはまったく違う柔軟な表現が目についた。この新聞はまた、北朝鮮が寧辺核施設の閉鎖と査察受け入れの意思をアメリカにすでに伝えたという点も強調した。北朝鮮も今回の六カ国協議に積極的な姿勢で臨むことを示唆している。
核実験と国連安保理制裁により、衝突に向かって突っ走っていた北朝鮮の核危機が一旦交渉局面に転換したことは幸いだ。何よりアメリカのブッシュ政権の姿勢が変わったことが拍車をかけた。イラク戦争の失敗でネオコン勢力が大きく退潮し、北朝鮮の核実験以降はブッシュ政権の対北“譲歩”が目につく。これまで頑強に拒否してきた米朝二国間交渉を繰り返し開いている。まだその内容が詳しく伝わってはいないが、包括的な関係改善案に加え、これまであれほど批判してきたクリントン政権の段階的アプローチに回帰しているようだ。“余裕”さえ見える北朝鮮に対してアメリカが“最小限の成果”でもあげようと要求水準を下げる努力をしている模様だ。
2005年9月の金融制裁から昨年7月のミサイル発射に至るまでの両国の姿が逆転したという感じすらする。当時、北朝鮮は金融制裁の圧迫を隠さず、アメリカとの交渉を哀願するかのように請っていた。昨年4月、東京で民間六カ国協議が開かれた際、金桂冠(キム・ケガン)外務次官はヒル国務次官補との会同を期待し、東京まで来て中国大使館で確約もないまま待っていた。北朝鮮としては異例の弱さを表した姿に、アメリカの強硬派は金融制裁という手段の効用に満足しながらさらに手綱を引き締めていった。北朝鮮のミサイル発射と核実験はその延長線上に現れた。北朝鮮がミサイル発射と核実験を強行するために、自らの弱点をわざと見せつけることでアメリカの強硬政策を誘導したと考えるのは行き過ぎた陰謀論かもしれない。しかし一方の強硬政策が相手の強硬論を誘発するのは国際政治ではよくある構図だ。
今回うかがえる米朝両国の譲歩姿勢も、本格交渉のためのものだと信じたい。しかし米朝両国とも内部に強硬派が依然として存在する。彼らにすれば、交渉のそぶりを見せることも次の段階の強硬策に移る手段や時間稼ぎということもありうる。ネオコンの立場が顕著に弱まったのは事実だが、交渉を定期化することで対北圧迫を強化し、交渉決裂や緊張激化に誘導する条件は依然としてある。5日付『朝鮮新報』が「米朝二カ国が探索前に無駄な時間を過ごして膠着状態が続くことになれば問題解決の構図と枠が再び揺らぎかねない」「すかさず大きく踏み出すこと」を主張するのは妥当なことだ。
やっと形成された交渉局面の契機を活かし、朝鮮半島の脱冷戦の大きな枠を形成するにはより高いレベルの外交が同時に動かなければならない時期だ。
李鍾元/立教大学教授・国際政治