早いもので、2006年も残りわずか数日となりました。毎年この時期になると思うのですが、今年は特に時間が経つのが早かったような気がします。それだけいろいろとあったということなのでしょうけど。
んで、今年一年を振り返る報道の企画モノというのが今月に入ってからいろいろとありますね。下の記事は聯合ニュースが2006年の主要国の動きをまとめた記事の日本編です。それではどうぞ。
≪2006国際≫⑧“強い国家”志向、保守化した日本
改憲推進など国家主義の深化-国際的孤立の憂慮も
【東京=聯合ニュース】シン・ジホン特派員=11月9日、東京の日本外国特派員協会。 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)のソ・チュンオン国際局長が日本に駐在する外国人記者との会見を開いた。
「総連系の学校に通う子供達が、チマ・チョゴリを着て通えないほど“イジメ”が横行しています」
ソ局長は北朝鮮の核実験以降、日本社会で“朝鮮総連バッシング ”が再燃している状況を憂慮する心情を訴えた。 さらに、“実名”を隠す子供まで出ていると彼は証言した。
彼の証言通り、日本社会はまるで北朝鮮の核実験を待っていたかのように各分野で“朝鮮総連バッシング”に出ている。 北朝鮮の代わりに、親北団体である朝鮮総連に対して八つ当たりしているのだ。
10月上旬、朝鮮総連系の学校である栃木県朝鮮初中級学校には「子供達の安全を考えれば休校しろ」という脅迫電話がかかってきた。 山口県朝鮮高等学校の校庭には大量の楽器と紙類が捨てられ、北海道朝鮮初・中級学校には10件の脅迫電話がかかってきた。
日本の警察は、総連関連の一斉捜査を進めている*。 今月5日には総連傘下の兵庫県商工会の元幹部(36)に対して税理士法違反の容疑で逮捕状が出された一方、この商工会の事務所なども家宅捜索された。
これに先立ち、関連団体所属のある女性がリンガー液をはじめとした医薬品を搬出しようとした事実を摘発、先月27日、朝鮮総連東京本部を家宅捜索した。 続いて29日には朝鮮総連系の人物が経営する人材派遣会社を労働者派遣法違反の容疑で電撃的に家宅捜索するなど、朝鮮総連系の企業や個人に対する圧迫を強めた。
このような日本全般の“朝鮮総連バッシング”は、“小泉政権”を経て“安倍政権”以降、さらに急激に保守化し、いわゆる“国家主義”が噴出している社会の雰囲気と無関係ではないと指摘されている。
敗戦後、タブーのように扱われていた教育基本法改正が進めれらたことは“国家主義”重視の代表的事例としてあげられる。
改正を目前にした教育基本法は、敗戦の産物として“個人の尊厳”という価値を全面に打ち立てた日本教育の憲法と呼ばれてきた。 平和憲法と共に日本の平和主義を支えた両輪とされた。 しかし、安倍政権は“愛国心”や“伝統”、“公共”など、個人よりも集団の価値を重視する方向にこの法律を変えようとしている。
敗戦まで日本の教育を支配していた“臣民の忠孝”を国体の精神として規定し、国家・軍国主義の精神的基盤を強化した明治天皇の“教育勅語”を教育基本法が否定し、民主意識を全面的に反映したことを勘案すれば、この法律の改正は歴史時計の針をもどす“反動”として憂慮される側面が大きい。
朝日新聞は社説で「愛国心が法律で定められれば教室では国家を愛せと画一的に教えることになるのではないか」「現行教育基本法の前文は“われらは”で始まる。 戦前の天皇の教育勅語に代わって、国民が教育のあり方について意思を示す宣言でもあるからだ」と改正案により学校教育がややもすれば戦前に回帰する可能性があると指摘した。
日本弁護士連合会も教育内容に権力の介入が強まりかねないとして改正案に反対するという立場を表明した。
実際に教育基本法が改正され、それによって学校教育法や学習指導要領が次々に変えられれば、教育現場で君が代(国歌)斉唱や日の丸(国旗)掲揚時の起立を強要するなど過去の軍国主義の基盤になった教育形態が一般化する可能性があることを、良心的な市民勢力は憂慮している。
これと共に安倍政権が命運をかけて推進している作業は、平和主義を規定した憲法の改定だ。
すでに改憲のための手続法である国民投票法は事実上、最大野党である民主党の合意の下で国会通過を目前にしている。 安倍晋三首相は教育基本法と共に憲法を改正することで、自らの著書で鮮明にしたいわゆる“美しい国”に日本が跳躍できるという判断だ。
安倍首相が打ち立てた“美しい国”は“強い国家”を意味する。 アメリカとの軍事同盟の下、改憲によって自衛隊を正式な軍隊に変えて海外での交戦を意味する“集団的自衛権”を可能にすることなど、敗戦の束縛から脱し、軍事・外交的に強い国に生まれ変わるという構想だ。
このために安倍政権は国民の“国家意識”を刺激する必要を強く感じているとの指摘がある。 教育基本法の改正はそのようなイデオロギー的要求から始まったということが大勢の観測だ。 安倍政権が北朝鮮の核実験以降、対北制裁で独走するなど過剰な反応をしたことも国民に危機感をもたらし、“強い国家”のための法的・制度的措置を順当に行う戦略だと見られている。
しかし、六カ国協議の再開など北朝鮮の核問題をめぐる対話の局面が広がり、日本の“強い国家”志向はむしろ日本の孤立化を促す可能性もあるとの分析もある。
和田春樹東京大学名誉教授は最近、ウリ党の議員と会った席で「拉致問題を看板にした安倍政権の対北強硬対応が自らの首を絞める状況を作った」とし、「一方的な対北強硬対応が続けば韓国・中国との外交関係が難しくなり、アメリカの対北政策の変化にも対応できない状況になりかねない」と指摘した。
*このニュースに関しては
先日のエントリーでもとりあげましたが、OhmyNews(日本語版)にも関連記事がありました。
【動画】公安警察と大手メディアを断固批判する総連
もう1度「報道」について考えてみた