外交の面で中国に何歩も遅れをとっているくせに、なぁ~にが今さら“アジア・ゲートウェイ”じゃ~、という気がしてしまう安倍内閣ですが、首相官邸のホームページには
こんなのがありました。
ここでも「美しい国」かよ!ぺっぺっぺ。
ってなワケで、12月5日のハンギョレ新聞に載っていた李鍾元教授のコラムです。どうぞ。
東アジアの連帯外交と韓・中・日/李鍾元
東アジア地域の大枠をつくる外交の季節がやってきた。毎年、この時期になるとASEAN首脳会談を中心にした一連の行事がその舞台となる。1998年からはASEANに韓・中・日を加えたASEAN+3の首脳会談が開かれるようになり、昨年からは東アジア首脳会談が例年の行事として加わった。史上初めて開かれた東アジア首脳会談は、ASEAN+3にインド、オーストラリア、ニュージーランドを含む16カ国で発足した。インドやオセアニアまで“東アジア”に含めることは、常識的な地理概念に反している。これは“東アジア共同体”の範囲自体が熾烈な国際政治的争点であり、未だに流動的な状況であることを端的に表している。狭義の東アジアであるASEAN+3と、拡大東アジアとしてのASEAN+3+3という二つの枠が競争しているのだ。
まだ経済的地域統合を構想する段階だが、各国の外交戦が徐々に本格化している。東アジア共同体構想に機先を制したのは中国だ。これに日本とアメリカが反撃を試みている状況だ。国内の構造改革に縛られ、靖国問題で足元を捕まれた日本と、イラク侵攻や“テロとの戦争”に没頭しているアメリカが東アジアを放置している間に、中国は外交的存在感と影響力を急速に拡大した。2004年からASEAN+3を対象にした東アジア自由貿易協定構想を提唱し、マレーシアと連携しながら東アジア首脳会談を主導的に推進したのも中国だった。東アジア自由貿易協定構想は、今年の8月に経済閣僚会議で基本骨格が承認され、2007年の交渉開始、2011年の妥結を目標にしている。
中国の攻勢に一歩遅れた日本は、今年に入って東アジア首脳会談16カ国を枠とした“拡大東アジア自由貿易協定”構想、“東アジア版経済協力開発機構”構想などを相次いで打ち出した。外交に特別な関心を持たなかった小泉政権に不安を感じた官僚や財界の合作によるものだ。これまで守勢に立たされていた日本は、昨年の東アジア首脳会談の参加範囲をインドやオーストラリアまで拡大することで、中国の攻勢に一応のはどめをかけるのに成功した。安倍首相は小泉政権との差別化という動機も背景にしながら、東アジア経済外交を政権の中心政策の一つとして標榜している。“アジア・ゲートウェイ”構想を打ち出し、主に社会・経済的分野でのアジア各国との関係拡大や、アジア地域統合の主導的役割を強調している。今月中旬に開かれる第2回東アジア首脳会談でも存在感を示すために“安倍ドクトリン”を提唱しようとする動きもある。熾烈な日中間のかけ引きが本格化すると見られる。
先月、ハノイで開かれたアジア太平洋経済協力閣僚会議(APEC)首脳会談で、アメリカのブッシュ大統領が突然APEC加盟国を包括するアジア太平洋自由貿易協定(FTAAP)構想を提唱し、耳目を集めた。ロシアまで含まれているこの構想がすぐに実現する可能性は低いが、その背景にはアメリカが排除された状態の中国と日本の角逐に対する危機感があるとの分析も出ている。韓国では北朝鮮の核問題に関する言及に焦点が絞られていたが、APEC会談直前の10月16日、ブッシュ大統領のシンガポール演説も東アジア経済と安全保障分野でアメリカが積極的役割を担うことを鮮明にしていた。北朝鮮の核問題に対する本格的な提案、6カ国協議の東アジア安保常設機構化構想などもこれと軌を同じくしている。北朝鮮の核問題解決とも直結する動きである。
核問題解決のためにも、広くは東アジア地域枠形成においても、韓-中-日関係は論理的・実態的な中心軸になるしかない。歴史の摩擦や右傾化など、さまざまな問題があるが、韓-中-日の枠を本格的に推進する時だ。
李鍾元/立教大学教授・国際政治