例の祝電の件について(ほんの数人だけれども)韓国人の知り合いに話してみましたが、安倍の知名度がまだ韓国では低いせいか、それともたまたまその数人が日本政治に関心のない人ばかりだったからか、反応がほとんどありません。「へー」とか「ふーん」で終わってしまいます。
(一部の?)日本人にはとても反応の多いネタなんだけどなぁ…。まぁ、これは私の近くにいる“ごくごく一部の”韓国人の反応なので、一般化して「韓国では…」なんて語れませんが、韓国と日本とでは当然ながら統一協会に対する視点が違うようです。
で、今日は『
現代宗教』という韓国の月刊誌の記事がそのヒントになりそうなので翻訳してみました。この雑誌のHPの見出しには「正しい信仰と健康な暮らしのための現代宗教」と書かれていて、どうやらカルト宗教に関する記事も多いようです。ちなみにこのHP内で「統一協会」で検索すると99件、「合同結婚式」で検索すると8件ヒットしました。
それでは、どうぞ。
日本における統一協会問題、そしてそれへの対策活動(2005-12-02)
最近の日韓関係は竹島問題や靖国神社参拝問題などにより、政治的な面では敏感な事柄がないわけではないが、いわゆる「ヨン様」ブームに代表される韓流の人気により、民間外交はより活発化している。昨年、日本の大衆誌『週刊現代』は、ベ・ヨンジュンの統一協会入信説を報道した。この現象は、ベ・ヨンジュンの人気に代表される韓流を妬むといった脈絡で解釈することができる。韓流人気を否定するためにベ・ヨンジュンの統一協会関連説を記事にしたということは、日本で統一協会が持っている否定的なイメージの一断面を伝えているようだ。このように
、韓流によって今まで韓国のイメージは肯定的に日本に伝えられるようになったが、韓国から輸出された「統一協会」は、日本社会においては未だに韓国に対するイメージの否定的な要素になっていることを否定できない。
日本で韓国に関連するキリスト教異端カルトおよび問題性のある宗教団体を論じるとき、世界基督教統一神霊協会(以下、統一協会)を除外することはできない。統一協会と日本の関係は、統一協会の教祖、文鮮明が22歳だった1941年、早稲田大学付属高校に留学したことから始まった。その後、文鮮明帰国後の1954年から統一協会は公的に創設され、本格的な活動を始めることになった。そして1958年8月、文鮮明はチェ・ボンチュンを宣教師として日本に派遣した。1958年当時は日韓の国交が正常化していなかったため、「密入国という方法を選ばざるを得なかった」と日本統一協会は説明している。1964年、日本の宗教法人として認可を受け、久保木修己が会長に就任し、国際勝共連合の日本支部会長職も兼任した。1967年7月7日、『朝日新聞』は学生信者たちの家出問題を報道し、統一協会が日本で社会問題を引き起こした。その後、霊感商法などによって問題はさらに大きくなり、統一協会に対する反対運動および訴訟運動が組織的に展開された。
霊感商法に対する統一協会の関与が継続的に被害者やマスコミから指摘された。統一協会はキリスト教を自称しながらも、霊石愛好会や天地正教という仏教色の強いダミー団体までも作っていたことが報道された。また、マインド・コントロールや洗脳を行っているという批判が大きく報道された。さらに日本の「全国霊感商法対策弁護士連絡会」により、80年代末頃からのいわゆる「霊感商法」に対する教団の関与が確認され、2000年以後は裁判でも統一協会の違法性を指摘する判決が徐々に出ている。毎年、霊感商法の被害者が多数出ているなか、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の集計によれば、1987年から2004年までの18年間で合計25,213件、合計額91,545,532,210円(915億4553万2210円←思わず何度も桁を確認してしまいました)の被害相談があったという。この金額はまだ全体被害の氷山の一角に過ぎないと言われている。統一協会には、世の中のすべての財産は本来メシアである文鮮明が使用するために存在するという万物復帰の教義があり、さらに日本はイブの国家として世界の統一協会組織を資金的、人的に支援する義務があると信者たちは教えられているという実情がある。
日本国内での統一協会の布教方法には驚愕するばかりだ。例として、都市部にある自己啓発のビデオ・センターをあげることができる(当初からビデオ・センターが統一協会との関係を言及することはなく、信者たちはビデオ・センターに通っていることに関して口外することは禁止されている)。ビデオ・センターには図書館などにあるような個人視聴のビデオ器機があり、週2回程度センターに通うことが義務付けされる。そこではテレビ放送の録画、映画などを見させられる。その後、20-30分程度のビデオ講義を受けることになるが、そこでは主に「純潔教育」を行っている。ところが、純潔教育というよりもマインド・コントロールの基礎が行われているという指摘もある。そのような場所で食事を無料提供したり、話をしたりして、来訪者との親近感を深めようとしているが、これは一説によれば「センターに来なければならない」という意識を植え付け、センターに通い続けるように心理的に圧迫するためだと言われている。そして演習施設などで行われる合宿形式の修練会に参加させ、そこで初めて「統一協会」や文鮮明の名前を明らかにする。また、修練会の期間中はスタッフや参加者同士の対話を除いては外部との連絡や情報交換は不可能で、監禁ともいえる状態だ。統一協会が初めから教団や教祖の名前を知らせないことは、統一協会という存在が日本では社会的な悪評を受けていることを自覚しているからであり、最初から教団名を知らせて布教することは困難だと判断しているからである。
表面化した霊感商法は一時期の気勢がそがれはしたが、最近は「手相占い」を装って渋谷、新宿などの街で無作為に通行人に声をかけて手相を見ながら心の交流を試みる方法をとっている。これは信者が通行人の手相を見て占うのだが、相手の運勢を見ながら救われるためには水晶玉などの霊的で神秘的な効果がある商品を買うしかないと脅迫する。手相を見る前には商品の契約に関する情報を一切漏らさず、商品売買の交渉をするときには場所を喫茶店などに移す。商品は水晶玉、数珠などが普通だが、印鑑や壺などもある。この時点では「統一協会」の名前は一切明かされない。そして購入後、ようやく統一協会の信者になったと見なして、段階的に布教方法の順序を踏んで布教をしていく。ただし、最近日本のマスコミなどの報道により「手相占い」と統一協会の関連性が疑われているため、活動は消極的に行われている。また、「世界平和のための婦人連合」や「国連NGO世界平和女性連合」という女性団体の活動により女性への浸透を図っており、統一協会の伝道手段として大きな貢献をしているのが現実だ。
一方、日本では「統一協会=合同結婚式」という図式は大衆化されている。合同結婚式に参加した日本人女性は数万人であり、教団に献金された金額は2兆円を超えると言われている。被害者家族が弁護士に被害を訴える相談件数は1987年から1997年までの11年間で18,841件に達する。統一協会は92年8月、95年8月、97年からは毎年頻繁に合同結婚式をしている。日本人参加者は参加するときに一人当たり140万円の献金と30万円の経費を払うように指示される。2000年から2004年まで4億組(第1次から第5次)の男女が参加したと宣伝しているが、信憑性のない主張であり、むしろ実際の参加者は減っているというのが「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の分析だ。しかし、統一協会にとって参加者の献金は貴重な収入源であり、合同結婚式の豪華なイベントは統一協会の勢力誇示の機会であり続けるであろう。一方、日本の最高裁判所は1996年4月25日、合同結婚式に参加し、入籍した後に脱退した日本人女性と日本人男性信者の結婚は有効な結婚だと認定できないとの判決を下した。入籍後、脱退した信者による婚姻無効の確認を訴える裁判は、現在まで約50件がその主張通り認められた。この判決は最高裁判所の決定として確定している。韓国人男性と結婚し、韓国人の妻として韓国で生活している日本人女性信者は約6000人(←この人数はもっと多いという推測[産経新聞 2005/09/09 社会面 「在韓日本人10年で倍増 半数統一教会関係者か」 黒田勝弘]もありますが、とりあえずこの記事では6000人)にもなる。そのうち、相当数が夫の虐待や無理解に苦しみ、信仰と現実の壁に突き当たっている。しかし、「信仰」でがんじがらめにされたうえに、お金もないため、日本に帰ることもできない。
このような統一協会の活動に対して日本キリスト教界では「統一協会問題キリスト教連絡会」を組織し、積極的な活動をしている。「統一協会問題キリスト教連絡会」は日本基督教団、カトリック中央協議会、日本聖公会、日本福音ルーテル教会、日本バプテスト連盟、在日大韓基督教会など超宗派で構成されている。しかし、日本で統一協会問題を論じようとしたとき、キリスト教信者が総人口比の1%に過ぎない現実を見ればキリスト教だけの対応では限界があることが見えてくる。日本社会での統一協会問題とは、教理をめぐる異端論争というよりは、金品搾取、家庭破壊などの反社会的、非倫理的な団体だと言う視点で見ている。
韓国と反統一協会運動の流れが違う点はそこである。従って、キリスト教界よりもさらに活発な運動をしているのは人権弁護士たちによる法廷闘争だ。そのうち、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」には目を見張るものがある。1987年5月に全国約300人の弁護士で結成されたこの団体は霊感商法の被害者救済と根絶のために活動している。現在も全国の被害者のために合計20億円の損害賠償請求をしており、当然、信者たちの家族とも協力している。それだけでなく、統一協会がキリスト教の一派だと自称している現実から、全国約200人の牧師およびキリスト教系の学者などの宗教家やボランティアが、信者や信者の家族からの相談を受けている。信者の脱退に関するカウンセリングを自己犠牲的な奉仕活動として行っている聖職者も日本全国にいる。信者の家族も2003年11月、「全国統一協会被害者家族の会」を設立し、電話相談、インターネットでの情報提供などの活動を始めた。
この他にも全国各地で小グループが反統一協会運動をしている。脱退信者の会もいくつかあるが、全国的な組織としては運営されていない。このような団体がお互いに協力し、マインド・コントロールの問題や破壊的な問題性宗教団体の危険性を日本社会に訴えてきた。オウム真理教による地下鉄サリン事件のときも、このような団体の活動があったため、充分ではないにしても一般社会の理解も深くなったと言える。しかし、日本では統一協会をはじめとした破壊的な宗教団体が次々と生まれている。これに対する日本社会、特に政治や行政、マスコミの対応は相当に鈍い。そのため、市民による自発的な活動が重要だと言える。筆者は(2005年)9月16日、17日両日にわたって行われた会に出席し、異端カルト対策および被害者援助活動に関して多くの教訓を得た。
え~、記事が中途半端なところで終わっていますが、WEB上で公開されているのはここまでで、あとは雑誌を読んでくれとのことです。今度、図書館に行ったときにでも目を通してみます。ネタになりそうなトコがあればまた後日。(あ、ところで、日本にしろ韓国にしろ、(正統な?)宗教関係のメディア以外でこの問題を扱ってるとこってほとんどないんですよね。)
それにしても、韓国人記者に書かれちゃいましたね。日本はカルトに対して「
政治や行政、マスコミの対応は相当に鈍い」んだそうです。
やっぱり、「私人としての立場で地元事務所から官房長官の肩書で祝電を送付した」とかいう意味不明な釈明に対して何のツッコミもされていませんからねェ。この記者さんが言うように、「市民による自発的な活動」を展開していくしかありませんね。
と、いうわけで、
あ、間違えた。