韓国の国会で今日、メディア法が通過してしまいました。
そのときの模様はこんな感じ(↓)でした。
なんで野党がこんなに激しく反対してるかっつーと、簡単に言えばあれですわ。それでなくても新聞界は朝・中・東(朝鮮・中央・東亜日報)が独占してて、李明博政権にとって都合のいいことばっかり垂れ流しているのに、この改悪によって、その大手新聞社やら財閥系の大企業やらがテレビ局まで所有できるようになってしまうんですね。
これで韓国のテレビも日本のように、どこも似たり寄ったりの無難で無害な報道ばかりになってしまうということのようです。うう、これでは日本のように保守政権が何十年も安穏として政権の座に座り続けるような国になってしまう・・・。
あっ、韓国って一院制だから、このままいっちゃのか。やっぱり国民の代表である国会議員や院をむやみに減らすのはヤヴァいみたい。
こちらは同志社大学の浅野健一教授が、韓国のメディア法改正がいかに危険かをハンギョレ新聞のインタビューで説明しているものです。どうぞ。
「日本の新聞・放送兼営の弊害-『オウム言論』の量産」
「新自由主義的規制緩和で強者のみ生き残り
世論の多様性が消え、権力批判は困難に
韓国政府、『言論独占』の胸算用-法の通過を阻止すべき」
与党による放送改編、このような理由で反対①
メディア関係法の処理をめぐって再び与野が対立している。昨年末と2月に続き、3回目だ。ハンナラ党は、新聞社と大企業の地上波進出許容を土台とした放送法改正案の6月国会処理に固執している。民主党は新聞の地上波・報道専門チャンネル進出禁止などの内容を含んだ案を提示し、与党の一方処理を阻止すると公言している。メディア法の最大の争点である新聞・放送兼営の拡大がもたらす問題点などを3回に渡って検討する。
日本の言論学者、浅野教授
「韓国でこのような法律が国会を通過すれば、日本のようになってしまう。韓国も日本のように政権交代が難しくなり、民主主義も20~30年後退するだろう」
ジャーナリスト出身の日本の著名な言論学者である浅野健一(60)同志社大教授は、韓国で新聞と放送の兼営拡大を土台とした法制定の動きに対して強い憂慮を隠さなかった。彼は今月10日の『ハンギョレ』とのインタビューで、「世界で前例のない日本モデルにならおうということは、非常に危険なこと」だと批判した。
-韓国の政府・与党は、新聞と放送の交差所有によって世論の多様性を確保し、雇用を創出できると主張している。
「それは嘘だ。日本だけを見ても『朝日新聞』と『テレビ朝日』、『読売新聞』と『日本テレビ』などがお互いに株式を保有しており、同じ主張を繰り返している。『テレビ朝日』を見ても『朝日新聞』の記者が出てしゃべり散らしている。多様性がまったくない。放送局の社長も、系列の新聞社から天下りするのが一般的だ。28の『テレビ朝日』系列局のうち、20局程度が『朝日新聞』出身だ。新聞と放送の兼営統合もさらに強化されている趨勢だ。結局、メディアの規模が大きくなればなるほど、権力批判が難しくなる」
-規制緩和レベルで新聞の放送進出を許容するべきだという主張もあるが。
「根拠のない規制があったのならば緩和しなければならないが、良い規制であるならなくす理由がないのではないか。新自由主義的な規制緩和では、強い者しか生き残れない。しかし、ジャーナリズムの場合、強い者だけが生き残っては困る。日本のビール産業でさえ、「キリン」や「アサヒ」だけがあるのではなく、「サントリー」のような小さな会社が生き残れるように政府が独占を規制していないが。新聞がテレビに進出する理由はまったくない。自動車を作る会社がビール会社を兼営する理由がないのは当然ではないのか」
-韓国政府・与党の意図は、何なのか?
「目的は明らかにメディアの独占化を進めることだ。世論の多様性をなくし、政府にとってやっかいな新聞社やテレビ局をなくすためのものだ。日本のモデルがいいというのは、植民地根性だと言ってやりたい。韓国政府・野党が推進している放送法改正案の国会通過を絶対に許容してはならないと思う。韓国政府・与党が放送局進出の規制はなくすことが改革だと主張することは、アメリカ式市場原理主義に根拠を置いている。ところが、市場原理主義はすべて破綻したのではないのか。世界最大の自動車会社であるGMが、国有化された状況だ。資本主義というものは健全で、公正なシステムが必要だが、アメリカのジョージ・ブッシュ前大統領と日本の小泉元首相がすべて破壊してしまった」
-日本は現在、新聞と放送の交差所有を認めている。その背景は何なのか?
「田中角栄(元首相)が1957年に郵政相に就任し、新聞社に放送局設立を認可した。そうすれば新聞社が政府に歯向かえないようになる。地方の放送局まですべて新聞社に与えた。それが田中角栄の政治的基盤になった。マスコミの社長をすべて自分の見方にしたのだ」
-日本の放送界の状況はどうなっているのか?
「日本の放送は何によって競争するのか、ジャーナリズム精神のようなものが欠如している。車の免許も持っていない人が高速道路を走っているようなのが日本メディアの状況だ。日本のテレビは病んでいる状態だ。日本の現代社会の弊害だ。単純で感情的だ。メディアというのは冷徹に未来と歴史を洞察し、国民が知るべき重大な情報を伝達し、権力を監視して人々に希望を与えるのが任務なのではないか。ところがすべて反対の方向に行っている」
-韓国の政府・与党はアメリカなどの先進国の大部分が交差所有を認めていると主張しているが。
「そんなことはない。イギリスも禁止している。ルパート・マードック個人が放送局の株式を持っているのであり、彼が所有している新聞社が放送局を兼営しているのではない。日本の例は世界に他の事例がない」
-アメリカ連邦通信委員会が2003年度に新聞・放送の交差所有を認める決定をしたが、議会で拒否された背景は何なのか?
「アメリカの国会議員は言論の自由がどれほど重大なものなのか、よく知っていた。韓国の国会もこの点を認識しなければならない。韓国で法律が通過すれば危険なことになる。歴史の汚点を残すことになると確信している。李明博政府は様々な過ちを犯したが、この法律が国会を通過すれば、韓国の国民に致命的な過ちを起こすことになるだろう」
■浅野教授は
『共同通信』のインドネシア・ジャカルタ特派員出身の浅野健一教授は、1994年から同志社大学に在職している。『靖国参拝から参戦へ極右化する日本とメディア』など20冊以上の単独著書を出した。このうち、日本メディアの犯罪報道の慣行を批判した『犯罪報道の犯罪』は、20万冊以上売れた。
東京/文章・写真=キム・ドヒョン特派員
『ハンギョレ』2009年07月13日