PRIDE GP

goldhead2005-08-31

 はい、私のような貧乏人には、スカパーですとか、そういった有料放送など見られるわけもなく、大人しく昨日の地上波を待っていたわけです。しかし、人間というのもおかしな生き物で、必要なことを忘れてしまうのに、忘れたいことを忘れることができない。これってなんて厄介な性質なんでしょう。結果を知って視るというのも、ちょっと興が削がれてしまうのも致し方ないところですので。
 いや、しかしプライドのミドル級、これ以上のことがあろうかという世代交代でしたね。立て役者である桜庭和志を破り、絶対王者ヴァンダレイ・シウバを破った若いヒカルド・アローナを、さらに若いマウリシオ・ショーグンが破って優勝ですからね。いや、正直前回(id:goldhead:20050627#p1)も、桜庭とアローナを見比べて、桜庭に勝てるのかどうかなんて思ってしまったものですが、これからは、ショーグンやアローナ、オーフレイムみたいな、しなやかな長躯の持ち主、それでいて凶暴な獣のような彼らがこの世界を席巻していくのでしょうかね。
 一方で上の壁の厚さを感じたのがヘビー級のタイトルマッチでしたか。ひょっとしたら永遠にお流れになるんじゃないかとも思われた、エメリヤーエンコ・ヒョードルとミルコ・クロコップの一戦。何やらテレビでは無冠の帝王という称号がお似合いになってきたミルコ贔屓という感じで、生来あまのじゃくの私などは思わずヒョードルを応援してしまいましたが、そもそも私は圧倒的な強さが見たいので、ある意味どちらも好きなタイプなんですよね。しかし、ヒョードルの「氷の拳」に対して「炎のハイキック」って、ミルコもどちらかといえばアイスマンタイプだと思うんですがね。で、この試合にはしびれました。大ノゲイラ先生みたいな技から技への絶え間ない連続というのも魅力ですが、この試合みたいに、お互いが抜き身の刀で対峙するような、そういう緊張感もいいものです。やがて、ヒョードルが明らかに優勢になって、ミルコは「負け顔」になってしまいました。この「負け顔」ってのは、かつて私の弟が誰かの試合を見ていて放った言葉でして、苦戦しているとか、傷を負ったという以上に、負けを悟ったといったら選手に叱られるかもしれませんが、何か宿命的な表情を表すような言葉と思い、今でも心の中で「ああ、負け顔になってる」とか思うものです。この試合の結果も果たしてヒョードルが文句なしの判定勝ち。ミルコには、アンディ・フグの例もあると思って「氷のハイキック」に磨きをかけてもらいたいものです。ハリトーノフとか、いろいろ強そうなのがいますけれど。