黄金頭さんのイベントは刃傷沙汰でなく人情沙汰やで

しばらく前から、この日記でも、Xでも「こいつ宣伝ばっかりしているな」と思われていたかもしれない。

 

goldhead.hatenablog.com

 

東京は小田急線沿線梅ヶ丘駅徒歩三分、書肆書斎さんでポストカードを売ることになったのだ。「ぱる」さん(https://x.com/paruchi11)のお誘いだ。「ぱる」さんにはかつて同人誌や湯呑みなどのグッズを作ってもらったことがある。ありがたい話だ。

 

お誘いに乗ったので、自分もなにか作るかと思った。思って、ポストカードなどよいのではないかと提案されたので、慌てて三種類作った。何枚刷るか。3人来てくれるのか、5人来てくれるのか。それでも、売り切れていたら、来た人は悲しいと指摘され、30部刷った。作り過ぎのような気もするが、まあ、プリントパックは安い。しかも、紙だってヴァンヌーボを選べる(というか、紙のことも「ぱる」さんにご指南いただいた)。ただ、いま、自宅でDTP作業ができないので、会社の休み時間でさっと作ってしまった。もうちょっとつめられたと思う。あと、名刺も作った。「今どきはQRコード入れるか?」とか思っていたら、メールアドレスを入れ忘れるという失態。

これもデザインが甘いというか、もっと、かっこよくできたと思うがまあいい。なによりよかったのは「黄金頭」にルビをふることができたことだろう。「おうごんとう」これである。これはおれの中での読み方で、「ごーるどへっどだしどうでもいいか」と思っていたところ。J-SPORTS オンデマンドのハマスタ主催のカープ戦にX投稿しても、DJ(この組み合わせではDJケチャップさんが面白い配信をする)には「おうごんあたまさん」と呼ばれていた。というわけで、「ゴールドヘッドさん」でも「ゴルへさん」でもいいけれど、漢字はオフィシャルに「おうごんとう」ということになった。なにせ印刷されているので。

 

まあいい、それよりも12/8(日)のことだ。それより一週間、あるいは二週間にわたって、おれは朝起きられなかった。双極性障害(躁うつ病)の抑うつのモードに入っていたからだ。だからといって、会社は休めてもイベントは休めない。その結果おれは、非常に早い時間にアラームをたくさん仕掛けるという方法で起きた。無理やり起きて、シャワーを浴びて、目を覚ますことにした。そしておれは小田急線の梅ヶ丘駅に向かった。おれにとっての小田急線は江の島あたりを走っているものであって、そのあたりはとんとしらない。経路検索すると新宿とかに出る方法のほかに、京浜東北線で川崎まで行って、そこから南武線で登戸というルートが出てきた。東京の駅で乗り換えなんてわけがわからないので、おれはそのルートで梅ヶ丘を目指した。南武線は東京競馬場に行くルートなので知らないわけでもない。その南武線でおれは東スポを控えめにひろげて、香港のG1を四つ買った。東京開催はないので、競馬をしているのはおれ一人だった。香港のレースは一つも当たらなかった。

 

梅ヶ丘駅で「ぱる」さんと落ち合って、書肆書斎さんを目指した。目指したといっても、徒歩三分くらいだ。近すぎて通り過ぎたくらいだった。雑居ビルみたいなものかと思っていたら、普通のマンションみたいだった。この立て看板を出さなければ気づかれないかもしれない。

 

ドアは開けっ放しにして、入りやすいようにした。入りやすいようにしたところで、人は来るのか?

 

……と、思ったら、早くも一人来てくださった。つづけて来てくださった。差し入れということで、ミスドをいただいた。それからも、たまに途切れることありつつも、なんというか「完全に暇が続く」なんてことはなく、読者の皆さまに来ていただいた。くわしく来店者数を数えてなかったのは失敗だったが、ポストカードの残弾(「居酒屋で覚醒剤を売るな」がちょうど30部。印刷に出したやつは「余部」というおまけみたいなのがついてくるので)から数えると、おおよそ25人の人に来ていただいた。これは、けっこうすごいことなのでは?

 

来ていただいた方もさまざまだった。10年以上ブログを読んでいるという人もいれば、ここ1年くらいという人もいた。スペースでの音声配信を聴いてくれている人も何人もいた。差し入れもいただいた。アードベッグや焼酎やビールや「大瀬良大地がノーヒットノーランをしたときのデイリースポーツ」もいただいた。少ししか言葉を交わせない人もいたし、けっこう話し込んだ人もいた。文フリで自分の文章を載せていただいた前島賢さんともお話できた。シオランで検索してここを知った人が3人もいたし、ブコウスキーでここにたどり着いた人もいた。いろんな人がいて、身の上話などになったりもした。ドキュメント72時間みたいだなとかちょっと思った。72時間もいなかったけれど。

 

それになんだ、サインもした。人間、生きていて、人に頼まれてサインすることってありますか? あったなあ。4回くらい書いた。おれは「黄金頭」の「黄」の字が嫌いなので、アルファベットでgoldheadと書いた。先頭が大文字の「G」と小文字の「g」のパターンがあった。さすがにサインの練習なんてしていないので……。

 

あと、一緒に写真を撮ったのが3回くらいあった。こっちは、ただの45歳おっさんブロガーやで。でも、できるだけ笑顔を作ってスマホに向かった。

 

……いや、笑顔を作る必要はなかったか。いろんな人に「日記読んでます」と言われると、それはさすがにうれしい。そして、照れる。来てくれた人には心からありがとうと思った。

 

 

 

というわけで、おれはたくさんの初めて会う人と会った。おれの日常というのは、初めての人と会うということが「ない」ので、新鮮だった。それと同時に、おれは非常に人見知りなので(会った人がどう感じたかはわからない)、さすがに疲れた。疲れたので、月曜日は朝起きられないかもしれない。それは仕方ない。会社員としてそれでいいのか。

 

というわけで、黄金頭さんとして実物がはじめて人前に立つ、接客(?)するというイベント(「ぱる」さんがご用意してくれたものですが)は、おれのなかで成功に終わったといえる。ブログやXの向こうには、生きている人がいるんだな、と思った。直接声が聴けて、ああ日記書いてきてよかったな、と思った。そして、いろいろな読者の方がいて、SNSのアカウントをお持ちだったり、そういうのは一切やっていなくて、読むのが専門という人もいた。いろんな読者がいて、こういう場所にわざわざ来ていただける人もいて、おれはなんといっていいかわからない。ただただ、今はありがたく思っていて、なにしろ人見知りなのでなにやら興奮もおさまらない。

 

帰り、打ち上げ的なもので、「小説を書け、書くだけだ」と詰められたが、そのあたりはまたいつか。

 

お越しいただいて、本当にありがとうございました。多くの人が自分の健康をきづかってくれて、できるだけ元気でやりたいと思います。そうもいかない日も多いのですが、読者がいるというのは心強く思います。最近のネットというと、注目を集めるために炎上してみせたり、果てしないSNSの論争だったり、なにかとギスギスしていますが、こんなに人情あふれる空間も生み出せると思うと希望が持てました。また、いつかこういう機会があればと思います。それでは。