Libro

川田稔『昭和陸軍全史』

第1巻の途中までを出張の移動中に読んでそのままになっていたのですが,2日間で全3巻を読了しました。 本書の特質は,陸軍における戦略構想の変遷を内部抗争という視座から解き明かしているところ。永田鉄山を理論的指導者とする「一夕会」が満州事変の時…

石川孝織『釧路炭田 炭鉱(ヤマ)と鉄路と』

勤務校の図書館に要望して入れてもらった本を最初に借りてきました。著者は釧路市立博物館の学芸員であり,本書は北海道新聞に連載された記事をまとめたもの。石炭と鉄道が主役であった昭和20〜30年代の写真にていねいな解説が添えられている。実に興味深い…

リンダ・グラットン『ワーク・シフト』

リンダ・グラットン(Lynda Gratton)『ワーク・シフト:孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』を読了。 働き方の未来を形作る5つの要因〔第1部〕については特に異論はない。しかしながら,そこから導き出される働き方の3つの〈シフト〉〔第4…

さやわか著『僕たちのゲーム史』

釧路高専で毎年発行している「図書館だより」に教員推薦図書を挙げて欲しい――との依頼がありました。話を受けたのは昨年10月のことでしたので,刊行されたばかりのさやわか(@someru)さんの『僕たちのゲーム史』(2012年9月,星海社新書)でレビューを書き…

黒史郎『未完少女ラヴクラフト』

先日,寮の宿直があったときに持っていったのが黒史郎(くろ・しろう)の『未完少女ラヴクラフト』(ISBN:9784569679440)。あのラヴクラフトを擬少女化してみました,という設定だけで買い。頁の下部に用語解説を付しているという親切仕様なのでクトゥルフ…

岡崎琢磨『喫茶店タレーランの事件簿』

岡崎琢磨(おかざき・たくま)『喫茶店タレーランの事件簿:また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』を読了。買ったのは昨年10月だったのですが,その後ずっと仕事カバンの中に入れてあって,外出先で注文した料理が供されるのを待つ時間に読み進めたりして…

森博嗣『ジグβは神ですか』

残務もひとしきり片付いたので久しぶりの読書。森博嗣の『ジグβは神ですか』(ISBN:4061828568)を読む。 読後の爽快感は――無いねぇ(^^;

西尾維新『悲鳴伝』

昨日,ひと仕事が終わり(そして新たな課題ができたのですが,それはさておき)久しぶりに本屋さんへ買い出しに(とらやメイトが“本屋さん”の区分に入るかもさておき)。で,西尾維新の新刊『悲鳴伝』(ISBN:4061828290)が出ておりましたので,買ってきてそ…

杉井光『終わる世界のアルバム』

寒くなってきたので(暖房を節約するため)夜は早めに毛布にくるまって読書。表紙をみて,杉井光『終わる世界のアルバム』を読み始め,3晩で読了。 人が少しずつ消えていくたび,残された者達の記憶も書き替えられ,消えた人はいなかったものとして作り替え…

麻耶雄嵩『隻眼の少女』

先週末,図書館の司書さんが書店まで直接,買い出しに出かけておいででした。今回は何を買ってきたのかを見に行ったところ,新着図書の棚に並んでいたのが麻耶雄嵩(まや・ゆたか)『隻眼(せきがん)の少女』! 司書さん自身はあまりミステリーを読まない人…

時雨沢恵一 『キノの旅〈XV〉』

学校祭の後片付けを終えて学生を帰した後,ぺちぺちと書類づくり。 帰宅後,時雨沢恵一(しぐさわ・けいいち)『キノの旅〈XV〉』(ISBN:4048709623)を読む。シニカルが基本の本作の中にあって,フォトのエピソードにほっこり。 勤務校の図書館に対しては,「…

西尾維新『鬼物語』

先週末,最寄りの書店(5km先)まで出かけて買い求めた西尾維新(にしおいしん)の新刊『鬼物語』(ISBN:4062837811)。どうして余暇の時間がとれないのか不思議な生活状況が続く中,ちょっとずつ読み進めて先ほど読了。 題名&装画から忍の話かと思いきや,実…

西尾維新 『囮物語』

西尾維新(にしお・いしん)の新刊『囮物語(おとりものがたり)』(ISBN:4062837765)を読了。 『猫物語〈白〉』以降の第二部では,阿良々木君が語り手の立場から降り,ヒロイン達による一人称視点で物語が紡がれております。第一部では西尾維新の軽妙な語…

関川夏央『汽車旅放浪記』

大型連休は10連休でした。勤務校には遠方から来ている寮生が多いので,親元に帰省する便宜を図るべく休みを繋げているのだとか。 最初の2日は釧路に居てお仕事をし,次の3日は札幌の実家でお仕事していました。法律家は判決文とパソコンと通信環境があれば…

西尾維新『新本格魔法少女りすか』

先日,古本屋の棚を眺めていたところ西尾維新『新本格魔法少女りすか』が置いてあって,通読していないことを思い出しました。雑誌『ファウスト』に掲載されていた第1話だけは読んであったのですが,そのときは特段掻き立てられるものはありませんでした。…

麻耶雄嵩 『あいにくの雨で』

何か読み直さないと収まらない――ということで,麻耶雄嵩(まや・ゆたか)『あいにくの雨で』(ISBN:4061819070)を読む。思えば『翼ある闇』を読んだときには「ふざけんな」だったものが,今では新本格に救いを求めるときに手に取るものへと変わっている不思…

島田荘司 『暗闇坂の人喰いの木』

昨晩,就寝前に島田荘司(しまだ・そうじ)の〈御手洗潔〉シリーズ『暗闇坂の人喰いの木』を読んでおりました。初出は1990年ですが,手にしたのは1993年のノベルス版(ISBN:4061816624)。横浜にあった刑場「くらやみ坂」を舞台に,時を置いて起こった殺人事…

西尾維新 『零崎曲識の人間人間』

ここしばらく西尾維新を再読していました。だいぶ前に暑さで動く気力が萎えていたところ,たまたま手の届く場所に置いてあった『クビシメロマンチスト』を読み,それから順番に…… そうすると,当時は趣味に合わなかったらために手放したものも買い戻したくな…

森博嗣 『目薬αで殺菌します』

完結したらまとめて読むことにしよう――と思うに至り離れていた森博嗣のシリーズものですが,『目薬αで殺菌します』(ISBN:4061826123)が半額で買えたので読んでみた。 やはり初心を貫くべきでした。(現時点では,との留保を付しておきますが)面白いもので…

島田荘司 『斜め屋敷の犯罪』

立ち寄った古書店の105円で見つけたので,島田荘司『斜め屋敷の犯罪』1982年版(ISBN:4061810294)を購入。 財を成した人物がオホーツクを望む場所に建てた通称「斜め屋敷」。クリスマスの夜に客が招かれたが,雪の降る中で運転手の男が死んだ。次いで…… と…

支倉凍砂 『狼と香辛料XII』

繁忙期を抜けてだいぶ仕事量が減ってきたので本を読む。この3か月間というもの随分と慌ただしく,読んだものといえば『ニャル子さん』と『テケリさん』と『生徒会の八方』でした。しかも,読んでいる最中に眠りこけてしまう体たらく。一日のうちに読了した…

逢空万太 『這いよれ!ニャル子さん』

ここ数日,就寝前の読書で読んでいたのは逢空万太(あいそら・まんた)『這いよれ!ニャル子さん』の第1巻(ISBN:4797354143)。クトゥルフ神話は意識しつつも避けていた領域なのですが,先日,買い物に出かけたとき店頭で見かけたので試しに買ってみたので…

摩耶雄崇 『夏と冬の奏鳴曲』

花粉症の症状を抑えるために夜は強めの薬を服用しているので,趣味の本を読む時間が眠気に削られてます。新書1冊を読むのに2週間かかったり。 ここしばらくかけて読んでいたのは摩耶雄崇(まや・ゆたか)『夏と冬の奏鳴曲(ソナタ)』(1993年,ISBN:40618…

島田荘司 『占星術殺人事件』

古戸ヱリカ「私の知る限り、ミステリー史で、もっとも死者が出る連続殺人は、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』の10人です。日本ミステリー界では、多分、島田荘司の『占星術殺人事件』ではないかと。(中略)推理好きならクリスティは必読…

塩野七生 『最後の努力』

塩野七生(しおの・ななみ)『ローマ人の物語(35-37)最後の努力』を読了。本巻では,ディオクレティアヌス帝ならびにコンスタンティヌス帝を扱う。前の巻の内容を失念してしまっていたので『迷走する帝国』も再読。 北方の蛮族を退けた後,ディオクレティ…

綾辻行人 『Another』

先日から綾辻行人(あやつじ・ゆきと)『Another(アナザー)』(ISBN:4048740032)を読み始めていたのですが,ハードカバー製本680頁は寝転びながら読むには重すぎる。この手の作品は夜になってから読んだ方が面白いのだけれど,腕に負担がかかって読み続け…

森博嗣 『銀河不動産の超越』

推理小説を読みたい気分になって本棚を探す。最初は綾辻のハードカバーを手にしたのですが,重たさに手がしびれて途中で断念。森博嗣(もり・ひろし)『銀河不動産の超越』の新書版(ISBN:4061826700)を読む。 分かってはいたけれど,推理小説ではなくて「…

西尾維新 『難民探偵』

原稿の査読待ちで少し時間ができたので,西尾維新の新刊『難民探偵』(ISBN:4062159414)を読む。 〈序章〉で誘爆して誤爆。お仕事探しをしている人は不用意に読んでしまわないよう気をつけましょう(泣) さて,語り手の証子(しょうこ)は24歳。大学在学中…

架神恭介/辰巳一世 『完全教祖マニュアル』

買ってはみたものの興味関心とはまったく外れていて当初の目的には役に立たなかったのが架神恭介(かがみ・きょうすけ)+辰巳一世(たつみ・いっせい)『完全教祖マニュアル』(ISBN:448006513X)。 ですが,これは笑いを誘う本です。とことんバカをやって…

佐藤久光 『遍路と巡礼の社会学』

ここしばらく宗教学関係の書籍を集中的に読み込んでいます。最初のうちは大学図書館にある文献を漁っていたのですが,そもそも仏教とか神道に関する文献は平成に入ってからのものが少なくて困りました。仕方なく何冊か自費で買い込んだのですが,そのうちの…