どう思いますか? WiLL2025年11月号 元プロボクサー 細川バレンタイン ■善意の仮面被った危険な政策 石破政権が2025年8月、主催したアフリカ開発会議(TICAD)と並行して開かれた会合で、国際協力機構(JICA)は、国内4都市をアフリカ諸国のホームタウンに認定しました。 政府は 「移民政策」 である旨を否定していますが、この構想は善意の仮面を被った危険な政策であると言わざるを得ません。 JICA(国際協力機構)がアフリカ諸国のホームタウンとなる認定書を交付したのは、以下の4つの自治体です。 ・千葉県木更津市(ナイジェリア) ・山形県長井市(タンザニア) ・新潟県三条市(ガーナ) ・愛媛県今治市(モザンビーク) 発表された途端、ホームタウン認定が、アフリカからの大量移民導入の拠点になりかねないという懸念の声が噴出しました。 構想が表に出た途端、ナイジェリア政府は公式HPで 「日本政府がナイジェリア人に向けて特別なビザを発行する」 と発表し、 「日本の木更津市が、ナイジェリアからの大量の移民受け入れの拠点になる」 とまで言及。 僕は日本人とナイジェリア人のハーフで、ナイジェリアで暮らしていたこともあるからこそ、声を上げたい。 ナイジェリア人は西アフリカの国々の人たちですら関係を持つのを渋るぐらい、評判が悪い人々なのです。 ナイジェリア人に対しては、特別にビザのハードルを上げる必要があると言わざるを得ません。 ■200人の女子生徒が消える それ以上に深刻なのは治安です。 都市部を中心に強盗や誘拐が多発しており2024年にはテロ関連死者が565人に上っている。 北東部の3州に至っては日本外務省の警告基準はレベル4(退避勧告:最も危険)に。 北東部ではイスラム過激派 「ボコ・ハラム」 などによるテロが頻発しています。 国内の情勢が不安定で、いつ暴動が起きてもおかしくない、人が殺されても原因が分からない・・・。 そのようなことが、日常茶飯事の国なのです。 ボコ・ハラムによる誘拐事件も頻発しています。 200人もの女子生徒が誘拐される事件はあり得ない。 しかも、ナイジェリアでは治安の悪化に伴い、正確な犯罪件数や検挙件数を知ることはできません。 イスラム過激派テロ組織によるキリスト教徒の人々を虐殺する行為は、ナイジェリアの抱える深刻な治安問題です。 インターソサイエティという団体が発表した統計によると2025年1月1日~8月10日までの220日間に7087人のキリスト教徒が殺害された。 1日平均で数えると32人に上る。 この間には7899人のキリスト教徒が拉致されており2009年以降ナイジェリアで惨殺されたキリスト教徒の数は12万5000人に上っています。 政府も腐敗しきっており人々の感覚も変化しています。 日本で誘拐事件が起きれば犯人が悪いとされるでしょう。 しかしナイジェリアの場合は違います。 危険なエリアに行った人間の方が悪いと言われてしまう。 これが国内で日常茶飯事に行われれば常識がズレていくのは当然です。 ナイジェリアは盗みでも殺される国なのに対し日本では捕まってもすぐに解放される。 日本に来て生活が苦しくなれば安易に犯罪に手を染めるようになるのは容易に想像できるでしょう。 ■生きたまま燃やされる子供 ナイジェリアにおける衝撃的なエピソードで言えば”タイヤネックレス”が真っ先に思い浮かびます。 僕が15歳か16歳の頃、弟と市場に行く機会がありました。 僕よりも小さな子供でしょうがトマトを盗んだのです。 そうすると市場にいた人々の大半が 「盗みがあったぞ!」 と犯人の子供を追い掛け回す。 その子を捕まえた途端彼らは容赦なくボコボコに殴りました。 その子供は殴り倒されて動けない状態になってしまった。 最後にその子の首にタイヤをボンボンと被せて動けない状態にした上で灯油を撒いて焼いたのです。 その子は 「ワーッ」 と泣き叫んでいましたが僕は気持ち悪くなって家に帰りました。 父に事の顛末を話すと返って来たのは意外な言葉でした。 「でもそうするしかないんだ」 父の言葉は何を意味していたのか。 何も制裁を加えなければ日常茶飯事に盗みや暴力が起こる。 商品を売る側も生きていくのが精一杯。 盗む側も同様だからこそ悲惨な事態が起きている。 父はそのことを伝えたかったのかもしれません。 生きたままの人間が燃やされる。 逃げようとして、もがき苦しむ。 周囲の人は見ているだけでありあの時と似た臭いを嗅いだだけで人が焼かれる光景が蘇って来ることもあります。 挙句の果てには高速道路に手足が落ちていることまである。 そんな事態に直面しても何も思わなくなってくる。 そのように感覚がズレて麻痺していくことに僕は怖くなったことを今でも鮮明に覚えています。