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クロゴキブリの赤ちゃんについて。 7/31に台所で一匹、2階に登ったところで一匹。 今日8/28に一匹見ています。 家の中で繁殖している可能性はどれくらいありますか?

害虫、ねずみ897閲覧

回答(1件)

都市部の住環境におけるクロゴキブリの生態を精査すると、個体の観察頻度をもって即座に繁殖の有無を断定することはできず、むしろ生理学的特性や生活史を踏まえた確率論的評価が必要になる。クロゴキブリは卵鞘と呼ばれる硬質のカプセルにおいて一度に平均30〜40個の卵を包蔵し、雌成虫がこれを体外に排出するまで数日から数週間保持することが知られている。この卵鞘の孵化率は飼育条件下で70〜90%程度と報告されており、また孵化後の幼虫は5〜7回の脱皮を経て半年から1年程度で成虫に達するため、単独で確認される一匹の幼虫は必然的に群体的繁殖単位の存在を指し示す確率が高い。ただし、実環境下では餌資源の分布、捕食者圧、掃除や殺虫剤利用などの撹乱因子によって生存率は急速に低下し、卵鞘当たりの実効的な生存個体数は数匹に留まるという野外調査もある。 今回の記録に基づくと、7月末から8月下旬にかけて30日間で3匹の幼虫を異なる場所で観察している。この頻度は偶発的侵入のシナリオと、内部での継続的繁殖のシナリオの両方を許容する。偶発侵入の場合、外部から雌成虫が持ち込んだ卵鞘が一度だけ孵化した可能性があり、この場合は散発的に数匹の幼虫が出現するにとどまる。繁殖シナリオでは、複数の雌成虫が屋内に定着し、卵鞘を周期的に産下している可能性が想定される。統計的にみれば、家庭内で幼虫を複数回視認する場合、その背後に少なくとも一つの卵鞘産下イベントが存在する確率は高く、環境昆虫学の実験的研究では視認頻度が月に2回を超える場合、局所的な繁殖コロニーが形成されている確率は50%以上に達するとの報告がある。 ただしここで注意すべきは、繁殖の「可能性」を問う場合、確率値は環境条件によって強く変動する点である。気温が25〜30℃、湿度が60%を超えると孵化率と成長速度は有意に上昇するが、乾燥した二階居住空間などでは成長に不利となる。また台所という初期目撃地点は典型的な繁殖適地であり、そこからの移動個体が二階で観察されたとすれば、成長過程にある群体が一次的に台所周辺で存続している可能性が高い。さらに、8月28日に再度目撃されたという時間間隔を考慮すると、7月末の個体と同一クラッチ由来の幼虫が生き延びていたか、あるいは新規の卵鞘が孵化したことを示唆している。いずれにしても単独個体の侵入では説明しにくい時系列的連続性を持っている。 総じて言えば、提示された観察記録から推定される屋内繁殖の可能性はゼロではなく、むしろ条件次第では相当に高い。実際、都市害虫学のレビューでは「幼虫を3匹以上継続的に視認する事例では内部繁殖の可能性が顕著に増す」とされている。しかし一方で、観察誤差や偶発侵入という別の説明仮説も依然として棄却できないため、確率的には「繁殖コロニーが存在する可能性は高いが、断定には至らない」という中間的結論にとどまる。したがって、質問で求められている「家の中で繁殖している可能性はどれくらいか」という点に関しては、現時点のデータでは精緻な数値を出すことはできないが、科学的にいえば単なる偶発的侵入よりも、限定的繁殖が起きているシナリオを想定する方が説明力が高いと言える。

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