2024-12

2022・1・23(日)沼尻竜典作曲・台本・指揮 歌劇「竹取物語」

       びわ湖ホール  2時

 前回このホールで観た時は舞台上演だったが、今回はセミ・ステージ形式上演。━━因みにこのオペラは、2014年1月18日に横浜で演奏会形式初演され、2015年2月6日にハノイで舞台初演されている。

 今回の上演は2回。かぐや姫のみダブルキャストで、今日は砂川涼子。
 以下はシングルキャストで、迎肇聡(翁)、森季子(媼)、松森治(帝)、谷口耕平(石作皇子)、市川敏雅(庫持皇子)、平欣史(阿倍御主人)、晴雅彦(大伴御行)、美代開太(石上麻呂足)、有本康人(大将)、八木寿子(月よりの使者)その他の人たち、びわ湖ホール声楽アンサンブル。オーケストラは日本センチュリー交響楽団。

 音楽を含む内容については前回(2015年8月9日)の項に書いたが、今回の舞台(演出補・中村敬一)ではむしろ、コミック調の前半(第3景まで)と、シリアス調の後半(第4,5景)とが対照を為す作品本来の構成が、いっそう明確になったという印象を得た。後半のかぐや姫の別れのシーンでは涙を流す人もいた、という話も、むべなるかな、と思う。

 歌手陣も、いい。大伴御行役の晴雅彦は、前回と同様に今回も客席を抱腹絶倒させ、その場面を攫っていたし、その他の「求婚者の公達たち」もコミカルに役割を果たしていた。竹取の翁と嫗も、さらに「農村っぽく」なった。
 砂川涼子のかぐや姫は、私には何となく舞台に沢口靖子がいるような錯覚を起こさせてしまったが、珍しく高音域にちょっと無理があったものの、可愛らしさで受けていた。帝役の松森治も力があり、最初のセリフの語尾の所で昔の皇族の口調を真似たところなど、巧かった。総じて、すこぶる楽しいオペラに感じられた。

 物語の最後には、背景に不死の山、すなわち富士山が出る。やはり美しい姿だ。くれぐれも噴火などしないでいてくれるよう祈りたい。
 それにしても、このような富士山、竹の林、神秘的な月━━いずれもわれわれ日本人が昔から愛してやまなかったものだ。こういう美しい日本を素材にした日本のオペラが、もっと多く産まれてもいいはずなのに。それも、この沼尻作品のように、日本の家庭に溶け込んでいるタイプの音楽を使って作られたとしても、何処に不都合なことがあろう?

コメント

22日の幸田かぐや姫を聴きました。美しく、楽しく、少しじんとするオペラでした。翁、媼のセリフ、歌ともよく通っていて、演技も素晴らしいと思いました。座付きのアンサンブルがあるためもあって、全体に丁寧な仕上げも好感でした。日本のオペラをさらに聴きたいと思います。

東条先生が、公演日限定販売の叶匠寿庵「竹取物語プリン」の前で、買おうかどうしようか悩まれている姿を見た知人女性は、「先生カワイイ♡」と胸キュン状態でした。
スポンサーまで巻き込んだ、びわ湖ホールの総力戦。再演を期待します。

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