2024-12

2024・12・19(木)樫本大進&ラファウ・ブレハッチ

        サントリーホール  7時

 「樫本大進プレミアム室内楽シリーズVol.3」と題された演奏会、この日はラファウ・ブレハッチとのデュオ・リサイタル。プログラムは、モーツァルトの「ソナタ ハ長調K.296」、ベートーヴェンの「ソナタ第7番ハ短調」、ドビュッシーの「ソナタ」、武満徹の「悲歌」、フランクの「ソナタ イ長調」。アンコールはベートーヴェンの「第7番」の第3楽章。

 久しぶりに耳にするストレートで、外連の皆無な、ひたすら率直に作品の核心に迫ろうとする演奏とでもいうか。1曲目の冒頭から、これほど気持のよい、爽やかなモーツァルトはしばらく聴いたことがなかったような気がする、と思えるほどの音楽が流れ出て来る。
 モーツァルトの音楽に無心に身を委ねて愉しんでいるようなブレハッチの演奏に、樫本が大人っぽく合わせて行っているような━━という感を受けたのは、このモーツァルトのソナタが、ピアノに主導権がある「ヴァイオリンのオブリガート付きピアノ・ソナタ」であるという性格からでもあろう。

 次のベートーヴェンの「7番」では、彼のソナタの中でもこの曲からヴァイオリンに主導権が移り始めるといった性格を感じさせる作品のゆえに、樫本の存在も際立って来る。そして━━両者が均衡の演奏を聴かせたドビュッシーとフランク。
 情熱的に燃え上がるといった傾向の演奏とは違うので、聴き終ってしっとりした満足感に包まれる、といった雰囲気。

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