人気ブログランキング | 話題のタグを見る

David Lee Rothと劈掛門(Pekkwar)となにか

David Lee Rothと劈掛門(Pekkwar)となにか_b0060239_17353595.jpg
 2008年 06月 07日に「Van HalenのPVで学ぶ北派中国武術基礎腿法」というエントリを上げた。詳しくはリンクを張ってあるのでクリックして読んでいただければ幸いです。
 この古いエントリについては、ラジオか何かで、おそらく中国武術に絡めて話題にしていた大槻ケンヂ氏に、ファンが知らせたことで彼のnoteに取り上げられ、一時期、ちょくちょくアクセスがあった。
David Lee Rothと劈掛門(Pekkwar)となにか_b0060239_15490880.jpg
 今回わざわざエントリで焼き直しみたいなことをやっているのは、これをアップしたときのエキサイトブログの仕様が、かなり前からだが、変わってしまって、youtube動画が1本しか挙げられなくなってしまったためだ。従って補足、追記修正して再びアップしようとすると、現在の仕様的にエラーが出て拒絶されてしまう。過去の数本貼り付けているエントリが表示されなくなったりはしてないのだが、先のエントリは二本のyoutube動画を載せているので、永遠に修正、再アップができなくなってしまったのだ。修正するには、動画を1本だけにするしか無いということだ。
 これはVan Halenの2つのヒット曲の中で、当時のボーカルのDavid Lee Rothが中国武術の本格的な演舞を演じているのを見て、彼のパフォーマンスのもとになった、武術修行についてのテキストを、アメリカの中国武術雑誌であるKung Fu Tai Chi Magazineのフォーラムから見つけたことによる。

 今でこそYoutubeでもなんでもヒットチャートのPopsでもロックでもクラシックでも、そのPVやライブをかなりのレアものでも、検索して好き勝手に視聴できる状況があるが、著作、権利関係もあって当時はビデオやレーザーディスクなど限られたソフトか、アメリカでの放映録画など、一般の人間が見るのはかなり至難の業だった。だからリアルタイムの話ではない。MTVがアメリカのケーブルテレビで放映されるようになったのが1981年で、洋楽のカリスマ、小林克也氏の「ベストヒットUSA」の最初の放映シーズンが1981年 ~ 1989年(暫くブランクがあって2003年から復活、放映されて現在に至る。)。件の動画は、そちらの方からのものだと思うし、私が目にしたのもそれだと思う。
 この曲がヒットしたかなり後ではあったが、友人が連れて行ってくれたプールバーか何かで視聴した記憶がある。で、あ、デイブ・リー・ロスが中国武術やってる!って記憶に残ったわけだ。

1984

ヴァン・ヘイレン/ワーナーミュージック・ジャパン

★★★★★

 今検索しても、これくらいしかヒットしない。確かにKung Fu Tai Chiのフォーラムであることは確かだが、これ以上はわからない。
 ちなみにKung Fu Tai Chi Magazine(一般的に Kung Fu Magazine としても知られている) は、武道と格闘技 (主に中国武術) をカバーする米国の雑誌で、1992 年から創刊されてる。当初、季刊誌だったのが 1996 年に隔月刊に、2000 年には月刊誌となり、2001年に再び隔月刊誌となった。このあたりは社会の中国武術熱と連動しているのだと思う。日本の同じジャンルの武術雑誌のことをなんとなく思い出す。
 米社会でも雑誌はどれも商業的に苦戦することになり 2009 年以降、 YouTube アカウントを開始し、中国武術の全範囲とデモンストレーションをカバーするビデオの投稿を行っている。
 以前のエントリには、出典を書いてなかったが、以下はそこのフォーラムに乗っているDavid Lee Rothのコメント。当時見つけたものは、これだったかどうか忘れたが、ドキュメントは完全に一致している。そして今はこれしか見つからない。
David Lee Rothと「劈掛門(Pekkwar)」
"I started working on my sword routine months and months ago. It's something that people spend years working on, it's part of the Northern Chinese kung fu style called Pekkwar. It's a very aggressive martial art.”
「テキサスのおじさんが東北弁でUFOの話をしていました」、ではなくて、短いので、英文でうわってなる人は適当にアプリで翻訳してください。

 それで、当該エントリをアップしたときになかった動画(8年前にアップ)を発見したので、載せようと思った。David Lee Rotuが本格的に劈掛門(Pekkwar)を練習、演舞している動画で、先に紹介した通り、Kung Fu Tai Chiのアカウントだ。Rotuの中国武術の稽古が、PVで垣間見せたレベルのものを凌駕していて、本格的なものであったのがわかる。

 ところで「八極に劈掛を参ずれば 神鬼も怕れる 劈掛に八極を参ずれば 英雄嘆くも及ぶ莫し」という言葉が、武術コミックや武術雑誌で紹介されたことがあって、八極拳とともに武術雑誌でこの言葉も取りあえげたりされるようになった。まあこの言葉については過剰に受け止めた日本の中国武術マニアを見ていて、老師の一人が、「そんなん何でも八極加えたらすげーみたいな話にしたら、武術の学びや理解として問題があるから注意しなさいよ」って戒めたくらいだったから、当時、良くない影響もあったのだと思う。ゲームのウェポンや課金みたいに考えたらだめなのである。

 劈掛拳はその独特の歩法と肩関節の高い自由度により振り回される掌打、拳撃は一般の打突系の武術に比べ、想定外のロングレンジからの攻撃をも可能とし、変化に富み、超接近戦を得意とする(決して遠間を苦手とするわけではない)八極拳と組み合わされて死角なしの完全体となるという話だ。因みに翻子拳などもそうだけれど、振り子のように振る腕が拳撃=ストレートパンチにもなる理由は、多分、拳撃の理路を理解していないと無理だと思う。理想的なものは、垂らした腕にナイフを持ち、腕を曲げず90度振り上げるように打ち込める。切り上げにならない打突となり、質的にもとても速い。
 実際には、それに「双拳の密なるは雨の如く、脆快なること一挂鞭の如し」の翻子拳の融合体として完成されている。八極拳は、強力な門派が中国各地にあるが、その名家、通備門武術のお家芸となっている。

 一つ重要な点として、先のエントリのロスが使っている腿法(蹴り技)は長拳系の基礎腿法であり、おそらく中国武術のベーシックとして学んだ技であるという部分だ。ここに貼った動画は、劈掛拳そのもので、PVに出てくる腿法とは、別のものである。
 中国武術を学べるような道場は、クラスが複数に分かれ、複数の門派を教えるところは普通にあるだろうし、長拳は基礎トレーニングやベーシックとして普通に学ぶことも多い。彼の受けたプログラムがそうなっていたとしても不思議ではない。通備門にももちろん強力な腿法=蹴り技はあるが、これもまた今ではインスタやyoutubeで数ダース目にすることができるのにちょっと軽い目眩を覚えるけど、アプリケーションとしては戳脚という技の体系であり、およそ長拳系のそれでは絶対に目にすることができない技とその運用である。

 伝統拳も今はすごいことになっている。自分の頃は練習も闇夜にまみれて人に見せないこと、が鉄則であった。秘匿主義では門派の人的資源も伝承も潰えるし、欧米格闘技の強さのパフォーマンスにボコボコにされる明後日の中国武術の達人(あんた誰?)の動画による風評被害から守る必要も出てくる。白兵戦に使えるコアテクは、中国政府の管理下にもあり、公開せずにある程度分かりやすい情報を出していくのはもはや普通の路線になった。


 ってことまで書いておきたかった。長くなってしまった。動画、貼りたくても2つ以上、貼れないからまた次だなって思っている。

 実は、ここまでが枕話であり、本当に書きたかったことは、Rothが空中を飛び行っている擺脚だが、およそ実戦の技とは遠いと思われていた擺脚と類似する空手の技が今は、試合でも主要ウェポンの一つになっていることと、本来の中国武術的な擺脚の用法と、なぜ日中どちらでも伝統武術において、本の最近まで回し蹴りが一般化しなかったのか、という話につなげようと思っていたのだけれど、本日はここまでにしとうございます。
 バートン版の『千夜一夜物語』(日本語訳)では、シェヘラザードはどう、話を終わらせていたか、急に気になったけど、実家に戻れば全巻があるが、忘れた。

David Lee Rothと劈掛門(Pekkwar)となにか_b0060239_18104288.jpg
 私が庭で稽古するときに、チコがパトロールから戻ってきたり、彼が忙しくないときには、時々こんな感じで、私を眺めていた。もうそういう光景は失われてしまったのだが、彼の白い胸の毛とその匂いはいまだに忘れることはない。生成AIの猫は、香りまでの再現は、今のところ多分無理で、脳をハッキングしてなんとかするしかないだろう。

名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by complex_cat | 2024-09-28 18:14 | Cat Kick Dragon Fist | Trackback | Comments(0)

Necology(=猫+Ecology) and Nature Photo Essay, Camera classic, Martial arts & etc. 本サイトはhttp://complexcat.exblog.jp/です。画像はクリックすると大きくなります


by complex_cat
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31