宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]種子法廃止法案が衆院通過、介護保険法改正案が審議入り、財務相「カードローンエスカレート」認める、最高裁事務総局が研修所廃止へ検討

2017年03月28日 18時42分41秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 安倍晋三首相の先週木曜日の動静によると、証人喚問の間に誰とも会っていないので、テレビを見ていたと思われます。その後、金曜日に参議院第一委員室、月曜日も9時から参第一委員室、参分館、参本会議、きょうは9時から参第一委員室、衆議院本会議、参第一委員室と、ご苦労なことだなという印象です。当面のテレビ入りはきょうで終わり。

【衆議院本会議 平成29年2017年3月28日(火)】

 小泉農政改革4法案のうち、2法案が衆を通過しました。

 「農業機械化促進法廃止及び農研機構法改正案」(193閣法22号)。自公民維4党から出された、施行後の農研機構の仕事は農機具に限るとした修正案を可決しました。共産党反対、自民党、公明党、民進党、日本維新の会が賛成。

●種子法廃止法案、衆通過

 「主要農作物種子法廃止法案」(193閣法23号)は共反対、自公民維賛成多数で可決し、参に送付されました。

 2法案とも、施行は、来年2018年の4月1日(日)になります。きのう、議員会館内の院内集会で、種子法が廃止されると県庁製からモンサント製になり値段も10倍になる、という趣旨のご講演があったようですが、いくらなんでも大袈裟です。農政をめぐっては与党・自民党の食管議連があることないこと言って百姓をだましてきましたが、TPP反対からの余波を得た野党系の市民団体もそろそろいい加減にしておけ、というのが私の心境です。

●介護保険法改正案が審議入り、2016年体制ではじめて、政府案と民進党対案がならんで代表質問

 本会議に戻って、「地域包括ケアシステムのための介護保険法改正案」(193閣法15号)と「介護保険法改正案の民進党対案」(193衆法7号及び衆法8号)が同時に審議入りしました。昨夏、自民党衆参単独過半数2016年体制が発足してから、政府案と対案の同時審議入りはこれが初めて。塩崎厚労相と初鹿明博さんの趣旨説明と、それに対する、自民党、民進党などの代表質問がありました。

 1956年から1989年までの「1956年体制」でも、厚労省関連の法案は、与野党案が同時に審議入りするケースは頻繁にみられました。田辺誠・野党第一党国会対策委員長らが主導した国会戦術で、その後、日本初のネクスト総理となり、細川内閣を一兵卒で支えました。

【参議院決算委員会 平成29年2017年3月28日(火)】

 平成27年度決算の審議ですが、きょうは「全般質疑」だそうで、これがスタート、まだまだロングラン審議になります。毎回くどいですが、二大政党にとっては、昨夏初当選組の練習台という位置づけでしょう。

 きょうはテレビ入りで、常連の又市征治委員らが気を吐きました。

●安倍首相「学校法人への土地無償譲渡は25件ある」

 安倍首相は、学校法人加計学園に対して市及び県が特区を利用して無償で土地を譲渡したことについて、「学校法人に対する無償譲渡は過去に25件ある」と語りました。総理のこの答弁は先週来「適正である」との趣旨で何度か繰り返されていますが、私は私学である学校法人への土地無償譲渡はあってはならないことだと考えます。

●大門さん銀行カードローンを問題視、パネルは拒まれながら、金融相「エスカレートする方向にある」と認める

 共産党の大門実紀史さんは「森友問題は格差と貧困の拡大の中、国民が不公平感を感じているから大きな問題になった」としました。大門さんは異次元の金融緩和と低金利で増えている、銀行が無担保で、利息制限法の範囲内で貸し付けている「カードローン」を問題視。スコアリング(取引実績にもとづく審査)やサービサー(債権回収)は銀行本体ではないとし「大銀行が自分の手を汚さぬサラ金だ」と述べました。麻生太郎金融相は「エスカレートしている方向にある」と認めました。大門さんはパネルで、銀行名と女優さんの写真が入った物を出そうとしましたが、理事会で拒まれました。これは地方にお住いの方はまったく分からないのが当然ですが、政権再交代と異次元の金融緩和で、東京・山手線内は、永作博美さんらの女優の笑顔をあしらった、3大メガバンク、外資の新生銀行、地銀の千葉銀行などのカードローンの中吊り広告でいっぱいです。金利は「数%から18%で300万円以内」となっていますが、大門さんによると、やはり上限金利が多いようです。私は、2007年付の当ブログで、自民党第2次与党期において、東京秋葉原の有名量販店の脇に、無担保個人高利貸しの簡易審査機があり半ズボン姿の小学生と母とおぼしく2人組が、入っている写真を示し、自民党をなじりました。その後、政権交代で、このような簡易審査機(信用クレジットの自販機)は見事になくなりました。政権再交代で、また高利貸しが元気になり、今はインターネットがありますから、審査機はさほど見かけませんが、新生銀行などは路面店であるATMを設置するなど、めざとい人には街が一変してしまっています。無担保融資というと、実は大企業も無担保で運転資金を借りられますが、銀行に頼まれて年利1%未満で借りて預金している一方で、貧しい人は年利18%で借りていれば、格差が拡大するのは当然です。自己責任では済みません。いったい、世界の欧米先進国、あるいは、アジア発展途上国で、このような広告がむき出しになっている国がほかにあるでしょうか。あったら、教えてほしいものです。人口密集とインターネットでも、日本の閉鎖性はむしろ悪くなっているのではないでしょうか。

●決算委が指摘し検査院が調べた「稼働率1%の宿泊施設」、最高裁事務総局「見直す」と明言

 決算委に戻って、社民党の又市政治さんは、「2011年の決算委で指摘し、措置要求もしてもらったが、役所ごとの研修所(宿泊施設)の稼働状況でについて、会計検査院がまとめてくれた」としました。既に報道されている、高等裁判所の「法総研分室」の中に、1%しか泊まっていない施設があることについて、最高裁事務総局経理局長は「見直しの検討を始めた」と明言、又市さんは「しっかりやってください」とはっぱをかけました。

 質疑の後に、委員派遣の報告がありました。

【参議院厚生労働委員会 平成29年2017年3月28日(火)】

 「雇用保険法改正案」(193閣法3号)の参考人質疑がありました。

【参議院財政金融委員会 平成29年2017年3月28日(火)】

 「関税定率法改正案」(193閣法12号)の趣旨説明がありました。おそらく31日(金)に上奏し、即日公布。天皇陛下は31日夕方は御所に待機していただくということになりそうです。

【衆議院環境委員会 平成29年2017年3月28日(火)】

 「遺伝子組み換え生物に関するカルタヘナ条約国内実施のための、いわゆるカルタヘナ法の改正案」(193閣法32号)が趣旨説明されて審議入りしました。質疑は31日(金)にスタート。

このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。

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