外相の岡田克也さんが、7月29日収録・30日放送のCS番組「国会トークフロントライン」に出演しました。
TBS元アナウンサーで元政治部記者の川戸恵子さんが司会で、400回記念として、現役外務大臣の出演をお願いしたとのこと。岡田さんは野党時代から、この番組によく出ていて、他の番組に比べて話しやすそうにしています。私は参議院議員会館で川戸さんにお会いした時に、「岡田さんは川戸さんの番組だと、いつも話しやすそうにしていますね」と聞いたら、「理由は分からないんですけど、そうみたいですね」とのことでした。ただ、与党になり、外務大臣になったことから、今回の岡田さんさんは慎重でした。
さて、この番組で、川戸さんは岡田さんに、ねじれ国会について、特定の政党名は挙げずに連立の可能性を聞きました。
これについて、岡田さんは、連立の可能性を否定せず、新しい連立の可能性があることを示唆しました。
岡田さんの発言は「選挙が終わったばかりですから、数あわせで済む話ではありません。野党の方もそのように考えていると思います」としたうえで、
「(これからねじれ国会の状況下で)国会をやっていく中で、ある程度の信頼感のあるパートナーとして組めるところ(政党)ができてくれば、
連立を組むということはあるかもしれません。
ただし、選挙が終わってすぐ(連立)というのは、(党の支持者らにとって)分かりにくい。
少し時間がかかる と思います」と述べました。
ところで、参院選公示日の6月24日に発売された岡田克也さんの2冊目の著書「岡田語り。」というブログ本のなかで、新規に語り下ろした部分があります。この本の最後の一文ということになりますが、「日本の政治のこれから」と題した一文に次のような重要な考え方を示しています。299頁です。
(『岡田語り。』299頁から引用はじめ、色づけ部分は当ブログの自主判断)
私が目指してきた政権交代がしっかりと行われる政治というのは、必ずしも単独政権である必要はありません。常に単独政権であり、主要政党は2つしかないということは、(中略)柔軟性を欠くわけです。二大政党が自己革新を怠れば、常に第三政党がそれに取って代わるという仕組みを用意しておく必要があります。それには、小選挙区300、比例100くらいの制度にすれば必ず第三党が存在する(中略)完全小選挙区制は、やはり問題があるということを改めて感じた次第です。
基本的にはきちんと政権交代ができる大きな2つの政党が競い合うということであり、それにプラスしていつでも取って代わる勢力が出てくるし、時には連立政権があるという柔軟さが必要だと思っています。(中略)
民主党も自民党も、現状では期待はずれで、低レベルの競争に甘んじています。お互いがより良い政治を目指して競い合っていくという、本当の民主主義を作り出したいというのが私の切なる希望です。
もう1、2回政権交代が行われる中で、徐々にその体制ができあがっていくと思います。これからあと10年近く必要かもしれません。政治家としては、できればそこまで見届けたいと思っています。
(引用おわり)
というわけで、「第3党」「第3極」の必要性に触れています。またそのためには、衆院に比例代表を残すことが必要だとしています。初当選以来の岡田ウォッチャーである私としても、岡田さんが野党時代(政権交代前)にこのような発言をした記憶はなく、政権交代後に、実際に政権を担いながら、考え方を修正したものだと思われます。
この収録日と同じ、7月29日の民主党両院議員総会で、1年生議員の藤田憲彦さんが連立に関して発言しました。代表(総理)の菅直人さんと藤田憲彦さんは、東京都連代表-東京4区総支部長という関係で第45回衆院選で当選しました。藤田さんは、菅首相と近いとみられます。
[画像]藤田憲彦さん、民主党両院議員総会(2010年7月29日)ネット中継からキャプチャ。
藤田さんは、「安易な連立理論が、政策の合意無しに数あわせのように行われたら、マニフェストが骨抜きになります。我々(民主党)は、これだけは主張を曲げないんだという強い姿勢を示して欲しい」として、
「その政策に合わせて、合致して、応援して、合意してくれるというところ(政党)としか組まない」という姿勢(パラダイム)を持った上でないと、「民主党に投票してくれた人に失礼になってしまう」と強調しました。
東京4区は、公明党立党者で創価学会名誉会長の池田大作さんの出生地であり、創価学会内では「聖地」とも呼ばれています。地方議会では公明党が全国有数の強さを示していますが、とはいえ、衆院小選挙区では、公明党公認候補が立候補したことはありますが、勝ったことはありません。
公募新人の落下傘候補ながら初出馬で東京4区を勝ち上がった藤田さんの「発言の意図」は分かりませんが、その「現状認識と民主党に求められる姿勢への主張」は正しいと思います。
民主党政策調査会は、09マニフェストの中で「曲げられる部分」と「曲げられない部分」を仕分けるべきでしょう。
しかし、それにとどまってはいけません。
公明党のマニフェストや議員立法などについても、「受け容れられる部分」と「受け容れられない部分」を仕分けるべきではないでしょうか。各委員会の理事が現場で肌で感じる部分があるでしょうから、これを政調部門会議に吸い上げる。それを政調役員会が全体のマニフェストと調整し、党役員会が最終的に党の方針を決定し、国会対策委員会が理事に指示するということができればいいと思います。
政調部門会議の座長は、衆参常任委員会の筆頭理事らが務めますから、政府と党の一元化だけでなく、国会と党の一元化を図る。
そして、時間をかけて、来年の通常国会の2月の衆院予算通過~4月の統一地方選~後半国会での個別法案の審査のプロセスで、徐々に民主党と公明党の信頼感を作っていき、閣外協力の要請、連立樹立の要請、そして、最終的には総務省への政治団体登録を通した政党連合へと、じっくり時間をかけながら、話し合っていってほしいと、私は思います。
その中で、民主党議員を個別に支持している、立正佼成会、天理教、浄土真宗などとの意見交換もていねいにしっかりとやっていく必要があるのは言うまでもありませんが、とにもかくにも、話してみないことには、国政が前に進めません。
そのプロセスの国民への公開は不可欠。衆参の議院運営委員会や、各委員会の理事会のネット中継などに、衆参とも踏み出して欲しいです。