2024-11-29

[]藤子・F・不二雄手塚治虫の『うまさ』の違い

藤子・F・不二雄は何が凄いってまず短編が凄い。鋭いアイデアと綺麗な起承転結

さらにすごいのは、その構成力で映画一本分のストーリーも作れること。

大長編ドラえもんのような単行本シリーズコンスタントに続けられる漫画家はそうそういない。

 

しかし、そんな藤子・F・不二雄にも苦手なものがあるな、と『エスパー魔美』を読んでいて思った。

エスパー魔美』は藤子・F・不二雄には珍しい、普通ヤングアダルト向け少年漫画構成をしている。

まり基本的短編エピソード連続でありながら、それでいてちゃん時間軸が繋がっていて、以前に登場したキャラクターが別の役割で再登場したりする。

これが、あんまり面白くない。最初に設定した役どころからキャラクターの発展があまりなく、結局同じような話を繰り返すだけになりがちだ。

 

思うに藤子・F・不二雄は、起承転結最初から見据えた設定、構成を練るのはうまいが、「ライブ感」で描いたものにあとから肉付けして、別の形に再料理するのはあまり得意ではないのだろう。

この点で好対照なのが手塚治虫で、手塚は二時間映画のような手頃な長さの長編構成するのは絶望的に下手である

しかしながら連載漫画定番であるストーリーをその場その場で膨らませながらキャラクターを発展させて行くことにかけては現代少年漫画の祖としてたぐいまれなる力を持っている。

両者ともに長編漫画の名手といわれながら、その得意分野は微妙に違うものだなと思った次第。

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