2013-05-18

無職でもうまい飯を食べる方法

先日8年間勤めた会社を辞めて無職になった。

時間があるのをいいことに起きるのは正午近く。朝めしは前の日に買ったパンをもそもそ食べる。一日中寝巻ですごしたりもした。

そんな暮らしも飽きてきたので、田舎に帰ることにした。犬もいるしな。犬はかわいいよな。

実家は両親だけでちいさな洋食屋をやっているのだ。

両親はもうふたりして還暦を過ぎている。体を壊しては元も子もないので、最近ではディナーを予約制にして、ランチタイムだけ営業している。

店では自家製の野菜を出していて、畑と庭の手入れというのがなかなか重労働らしく、ふたりとも腰だの肩だのが痛いといつも言っている。

そんなところに帰ってきてみろ、母はぼくにぽいっとエプロンを渡すなり、友達と遊びに行ってしまった。

シェフ料理を作って自分サービスするなんて非効率すぎる。ぼくはしぶしぶ店を手伝うことにした。

うちの店は、あまりはやっていないのだが、ランチタイムはなかなか忙しい。

スープを出してハンバーグを出して、食後にコーヒーを出す。そしたら次の客が来るのだ。世間の昼休みは60分しかない。それなのに飯を食いにいって、料理が出されるのが遅かったらもう2度とそんな店に行かないだろう。ぼくはぼんやり社会人時代を思い出した。あんまり外食しなかったけどな。

ランチタイムはぼく自身も腹がぺこぺこだ。でも自分たちはいっさい食事はできない。それでもうまそうなにおいのハンバーグだのオムライスだのを次々客に出さねばならないのだ。

ああ、全国の飲食店のみなさま、おつかれさまです。

15時になって、やっと我々の食事である。もうこの頃になるとへろへろだ。

まかないはシェフ(っつっても親父だ)が作ってくれる。オムライスだ。

ぼくは5秒で皿を空にした。

みんな 全国の無職のみんな。

うまい飯を食いたかったら働くんだ。

都会の一流レストランに行かなくてもうまい飯を食うことができる。

なんでそんなにうまかったのかって、うちのシェフの腕が特別いいとかそういうことじゃない。わかるよな。

外に仕事に行けないんだったら家の裏の草むしりでもなんでもいい。親に困ってることがないか聞いてみろ。ばあちゃん畑仕事で腰が痛いんじゃないか。手伝ってやったら喜ぶぞ。

どんな仕事にも労働の喜びがあるはずだ。

働いて、それから飯にしよう。

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