eSIM
「eSIM」とは・「eSIM」の意味
eSIMとは楽天モバイルなどが採用しているスマホの端末に予め埋め込まれている本体一体型のSIMのことを指し、本体から抜き出すことなくデータの書き換えなどが行え、キャリアの乗り換えやプランの変更、海外渡航時のインターネットの切り替えも素早く行えるのだ。eSIMの「e」は「embedded」の頭文字で、組み込みという意味がある。すなわちeSIMは組み込みSIMということになり、スマホに組み込めるSIMとなる。欧米などの海外では普及が進んでいる技術でもあり、2024年には約3割のスマホがeSIM対応になると予測されている。一方日本国内でのeSIMの発売は2017年で、ドコモが発売したアップルウォッチなどで採用された。日本ではまだ馴染みが薄い技術だが、2021年には総務省が「eSIMサービスの促進に関するガイドライン」を発表している。SIMロック解除の義務化と共に、eSIMの普及にも力を入れているのだ。
eSIMはSIMの次世代規格として誕生したものだ。そもそもSIMにはスマホを契約している人の情報やキャリアの情報、電話番号など通信に必要なデータが書き込まれている。通信会社側はこのデータをSIMを通して管理をし、インターネットなどが使えるようにしている。SIMが挿入されていないと通信することは出来ず、インターネットの利用や通話などが出来ない仕組みだ。そのSIMを本体と一体にしたのが、eSIMである。従来のSIMと同じようにチップの形をしているところは同じたが、一度差し込んでしまうと抜き差しすることは不可能だ。サイズ的にはSIMカードの中でも一番小さいナノSIMの半分ほどで、かなりコンパクトにまとめられている。
eSIMには2種類あり、M2Mモデルとコンシューマモデルがある。M2Mはキャリア側が直接eSIMのデータの追加や削除をするのだ。データの管理はリモートで行えるのが特徴である。コンシューマモデルは何の情報も入っておらず、出荷している時点でもデータは空である。スマホが手元に届いたときに持ち主などが専用のアプリを使い、データのセットをすると通信が出来るようになるシステムだ。基本的に日本国内で利用されているのは、コンシューマモデルとなる。
eSIMを利用するメリットとして、利用者自らスマホの情報を書き換えられることが挙げられる。eSIMは専用のアプリなどを使えば誰でも情報を加えることが可能だ。従来のSIMではキャリア変更をしたいときには店舗にスマホを持ち込み、SIMの書き換えなどをする。情報の上書きをすることは不可能なため、専用の端末を使って新たな情報を流し込む作業も必要となるのだ。この作業を必要としないeSIMは好きなタイミングで申し込むことができ、契約したいキャリアにすぐ切り替えられる。解約や新規契約の手続きも簡素化されて、スピーディーなキャリア変更が叶うのだ。回線の切り替えも手軽にでき、海外旅行の際には現地のキャリアとの契約もスムーズに進められる。現地のキャリアと契約をしたら自ら情報を追加して、通信が出来るように準備するだけだ。簡単に誰でも情報が書き換えられると聞くとセキュリティー面での不安も出てくるが、日本国内で製造されているeSIMは安全性はきちんと確保されている。国際的な団体が求める規定をきちんとクリアし、セキュリティー面での問題が起こらないように配慮されているのだ。
安い料金で運用出来ることもメリットの一つだ。eSIMはデータの書き換えなどの作業がないことから運営に必要なコストや設備の削減ができ、安い料金でのプランの提供を実現している。SIMカードの発送や事務処理も大幅にカットすることが出来ることも、安さの秘訣だ。また一部の端末を除いてeSIM対応の機種であればデュアルSIMにも使える。異なるプランやキャリアの組み合わせを自由にでき、組み合わせ次第ではより安く運用することも夢ではない。
データを破損してしまっても復元するのが簡単なのも、eSIMの良いところだ。スマホ本体に埋め込まれていることで傷が入ってしまったり割ってしまう心配はなく、間違えてデータを削除してしまっても大きな問題は発生しない。キャリアに申し出れば素早く再発行して貰うことができ、情報を再インストールするだけですぐに復活するのだ。SIMカードが届くのを待つこともなく、通信ができない空白時間が生まれない。
デメリットとして挙げられるのは、対応機種が少ないことである。日本国内で販売されているeSIM対応機種はごく僅かで、選べる範囲はかなり限定的だ。自分が気に入った機種でも、eSIMに対応していないというケースも少なくない。ただ有名なキャリアも徐々にeSIMのシステムを採用し、対応機種の販売も増え始めている。格安SIMを扱うキャリアも対応機種の販売に注力するようになり、対応機種の販売も増加傾向にあるのだ。申し込みのときにインターネットやスマホの知識が必要になるのも、デメリットかもしれない。オンラインでの申し込みやスマホの操作がスムーズに出来なければ、手続きに戸惑うことがある。自分で手続きをするため、知識がないと困ってしまうのだ。だがインターネットで検索をすれば詳しいやり方の解説が掲載されており、手順通りにこなせば問題はない。契約したいキャリア側に問い合わせをすれば、疑問点は解決されるのでそこまで心配する必要はないだろう。
このeSIMと親和性が高いとして知られているのが、世界中で人気のiphoneだ。iphoneは2018年9月に発売されたiphone XR以降の機種のほとんどがeSIMに対応していて、eSIMが使える代表的な機種となっている。対応機種ならば従来型のSIMと組み合わせて、デュアルSIMとして活用出来る点も魅力だ。iphoneでeSIMを利用したいときには、まずキャリアに契約したい旨を伝える。公式サイトなどで申し込みを受け付けているケースが多く、必要事項を入力すれば数十分で手続きは完了だ。手続きをすればサイト内で設定用のQRコードが表示され、それをiphoneで読み込む。読み込んだらモバイル通信のプランのインストールをし、通信プランの追加を選択して終わりだ。
一部の機種でeSIMに対応しているのが、Androidである。Androidの場合は電話番号の設定からスタートだ。設定画面を表示したら、「ネットワークとインターネット」を押す。モバイルネットワークをタップして、「SIMカードをお持ちでない場合」を選択する。QRコードを読み込み、eSIMのインストールを開始する。使いたい電話番号を選択したら設定は終了である。データ通信の設定は「モバイルネットワーク」画面で追加したeSIMをタップし、「モバイルデータ」と「ローミング」を有効にしておく。その下にある詳細設定からAPNなどの設定を済ませ、保存すれば通信が開始されるのだ。iphoneとAndroidどちらもこれらの設定をするためにはQRコードを表示するためのパソコンやスマホが必要で、Wi-Fiなどの通信環境を整えることも必要不可欠である。
eSIMのプランを選ぶときには、利用料金の比較をするようにする。契約するキャリアによって基本料金が異なることから、きちんと比較検討をすることが大事だ。似たようなサービスで迷ったら出来るだけ安い料金で運用出来る方を選び、経済的な負担が少なくなる方を選択するのも賢い方法である。キャッシュバックのサービスや期間限定のキャンペーンなどに惑わされずに、長く使ってもお得なキャリアやプランを選ぶことが重要だ。速度の速さもチェックすると、後悔がない。事業者側が速度を大々的に発表することは少ない。正確な数値は分からなくても利用者の口コミなどを確認して、平均通信速度を調べるのだ。安定した速度が出せればストレスを溜めずに、心地よくスマホを使える。
イー‐シム【eSIM】
eSIM
別名:エンベデッドSIM
【英】Embedded SIM, Embedded Subscriber Identity Module
eSIMとは、M2M(Machine to Machine)の通信で使用するためのSIMカードのことである。機会や車両に組み込んで端末間(人間による操作を必要としない)データのやり取りを行うために用いられる。
一般的なSIMカードとeSIMの大きな違いは、eSIMがリモート操作による契約事業者情報の書き換えに対応している点である。SIMカードを差し替えることなく事業者の情報を書き換えることが可能になることで、機器の取り扱いが容易になる。最初に組み込むeSIMは1種類で済むため、機器製造にあたっては部品の共通化が図られる。
2013年末に携帯電話の業界団体であるGSMAがeSIMはの仕様を公開した。NTTドコモは2014年6月に海外通信事業者の電話番号の書き込みにも対応するeSIMの販売を開始している。
参照リンク
M2M機器向けeSIMの提供を開始 - (NTTドコモ 報道発表資料 2014年6月27日)
The GSMA Embedded SIM Specification – A New SIM for M2M - (GSMA)
eSIM
eSIM
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 08:18 UTC 版)
eSIM (Embedded-SIM) は、SIMカードに相当する機能を端末に内蔵し、SIMカードに書き込まれる情報を遠隔でダウンロードすることができる規格である。2016年に登場した。物理的なカードの受け渡しが不要となるため携帯電話回線の利用開始を迅速に行えるというメリットがあり、またカードの着脱が不要となるため端末にカードスロットを設ける必要がなく、更なる小型化や自由度の高い端末デザインが可能である。 通常は極小サイズのチップとして端末内に表面実装され、電気的なインターフェースは従来のカード型のSIMと同一である。M2M(機器間通信)機器向けのフォームファクタという意味でMFF2とも呼ばれる。ただし、GSMA RSPバーション2ではチップ形状だけでなくカード型のものも定義されており、規格上はEmbedded(組み込まれた)の原義から外れる実装もありうる。 遠隔ダウンロード型のSIMとしては2014年にAppleがApple SIMという独自のサービスとして先行して実現していたが、初期のApple SIMは端末に従来型のSIMカードを挿入する必要があった。eSIM規格に正式対応した最初の端末は2016年に登場したサムスンのGear S2となった。その後、アップルも2017年頃からはApple SIMも埋込み型になり、2018年発売の端末からはeSIM規格にも対応した。
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