除雪機の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 07:44 UTC 版)
ブルーム制御用のコントローラーは、走行用とは別に車内に1基設置されている。車内中央に搭載したブルーム駆動用電動機の出力を前後いずれかのブルームユニットに伝達するかをドグクラッチで選択し、ローラーチェーンで伝達して進行方向側の先頭部に搭載したブラシを回転させ、走行しながら軌道に圧接して排雪する。ブダペスト市電の除雪車のように、車体前後に独立したブルーム駆動用の電動機を搭載するケースもある。いずれにしても運転手とブルームを操作する係員が2人一組で乗務する。 海外の「snow sweeper」ではブラシ部分に竹ぼうきなどに用いられる竹の枝の先端部分を用いたが、札幌電気軌道では台所用品のささらをヒントにブラシの部分に竹ひご状に細く割った竹を束ねたものを利用する方法を考案し、調達を容易にすると同時に耐久性を向上させた。 札幌のケースでは、1束のサイズは長さ28.5 cm、直径3.5 cmの円柱形となっている。束は先端で3 mm 角の150本に別れ、さらに根元側は太さ1.2 mm の針金で3箇所を束ねられている。この束をナラ材で作られた長さ2.4 m 幅6.5 cm の木製の台に50本、1列に並べて取り付け、さらにこの台を回転軸の周りに放射状に8列取り付けてある。回転軸はそれぞれの進行方向右側が前に突き出た斜め向きになっており、車輪と逆方向に回転し、回転軸は路面や雪の状況と、ササラ先端部の摩耗などに応じて上下に動かすことができる。ササラの耐用距離は700から800 km となっている。 札幌ではササラの材料は長らく山口県福栄村(現萩市)産の孟宗竹が使われてきたが、供給元の業者の廃業後は全国各地から調達している。スチールワイヤーやナイロンなど他の素材が試験的に用いられたこともあるが、十分な除雪効果があり、かつアスファルト路面を傷つけない点などから現在でも竹が使われている。 海外の例では、ヘルシンキ・トラム、リガ市電などで合成樹脂製ブラシに代替されているケースが散見される。 ササラを路面に圧着した時の車体の浮き上がりを防止するために、札幌では車体内部に、函館ではデッキ部分に廃用になった車輪を死重として積載している。
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