積雪量とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 業界用語 > 天気予報用語 > 積雪量の意味・解説 

積雪

(積雪量 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 23:24 UTC 版)

海氷の上に積もった雪。積雪の表面は雪質や風などにより様々な表情を見せる。
雪に覆われた東京・新宿の街。
融解しつつあるシャーベット状の積雪。
新雪には足跡・脚跡がくっきりと残りやすい。

積雪(せきせつ)とは、地面に積もったのこと。気象用語としては、雪または(あられ)が地面の半分以上を覆った状態をいう。

概要

基本的に積雪は雪がとけるまで減ることはないが、昇華に吹き飛ばされることによって減ることがある。発表値はあくまでも積雪計設置地点での値であるため、同じ地域でもところによっては吹き溜まりなどで、発表されている積雪量以上に積もっている場合がある。

「積雪0cm」と「積雪なし」では状態が異なる。気象庁の定義によれば、「積雪0cm」は観測点周囲の地面を半分以上雪や霰が覆った状態のこと。「積雪なし」は雪や霰が全くないか、観測点周囲の地面の半分までは雪や霰が覆っていない状態のことを指す。

積雪の深さを積雪量あるいは積雪深といい、ニュース天気予報で流れる「積雪〜cm」というのは積雪計設置地点の積雪記録である。ある期間内における積雪の最大値を最深積雪(さいしんせきせつ)という。これらは降雪量とは異なるものであるので注意を要する。単位面積当たりの積雪量や積雪深の重量は積雪重量積雪荷重と呼び「kg/m2」や「kN/m2」で表され、積雪重量計などで計測される。建築基準法施行令86条ほかには積雪荷重に関する定めがある。

なお、気象庁の定義では、固形の降水が積もったものが積雪であるが、夏季においてが積もった場合は積雪とは呼ばない。

積雪地でもより寒冷な地域では、積雪の融解が遅かったりほとんど解けなかったりして、積雪の蓄積が進む。日本では気象庁が「積雪が30日間以上継続した状態」を長期積雪あるいは根雪と定義している。更に寒冷な地域では、根雪の期間が長くなって夏を超え、1年以上継続することがある。特に極地や高山ではこの状態が長年継続し、万年雪やそれが圧縮されてできる氷河を形成する。

積雪とはあくまでも積もった雪(名詞であり動詞ではない)のことであり、一部で使用されている「積雪する」という表現は誤用である。

積雪の分類

日本雪氷学会では、雪質によって積雪を次の9種類に分類している[1]

  • 新雪 - 降雪時の結晶の形がほぼ完全に残っているもの。
  • こしまり雪 - 樹枝形などの結晶が若干残る程度で、ほとんど丸みを帯びた氷の粒。小締まり雪。
  • しまり雪 - 圧縮や焼結により丸みを帯びた氷の粒。粒子同士が網目状の組織で緩やかにつながっている。締まり雪。
  • ざらめ雪 - 水の作用により粗大化した氷の粒。内部・表面に水を含むものと再凍結したものがある。粗目雪。
  • こしもざらめ雪 - 新雪が融解・霜の付着などによって、平らな形状となった小さな氷の粒。小霜粗目雪。
  • しもざらめ雪 - 新雪を核として成長した霜が肥大化し、骸晶状の氷の粒と化したもの。霜粗目雪。
  • 氷板 - 板状・層状の氷。
  • 表面霜 - 積雪層の表面に発達する霜。
  • クラスト - 積雪層表面にできる再凍結によってできた固い層。

積雪の記録

世界

日本

主要都市における積雪の平年値

統計のある主要都市(北海道・東北・東京)における積雪の平年値[5]
(1991 - 2020年、気象庁、観測地点は2021年時点)
都市 (初雪) 積雪初日 根雪初日 根雪終日 積雪終日 (終雪) 備考
積雪/根雪の初日から終日までの期間
▷11/1
4/30◁
積雪の深さ年間最大値
稚内 10月19日 11月12日 12月3日 4月2日 4月12日 5月10日 観測が行われている地点では最も初雪が早い。
 
152日/121日
 
72cm
旭川 10月19日 11月4日 11月24日 4月7日 4月14日 5月1日 観測が行われている地点では最も根雪初日が早く、根雪終日が遅い。
 
162日/135日
 
89cm
網走 10月30日 11月17日 12月8日 4月1日 4月18日 5月11日 観測が行われている地点では最も積雪終日・終雪が遅い。
 
153日/115日
 
63cm
札幌 11月1日 11月12日 12月6日 4月2日 4月7日 4月19日 -
 
147日/118日
 
97cm
青森 11月8日 11月19日 12月14日 3月23日 4月1日 4月15日 都道府県庁所在地では最も年最深積雪が多い。
 
134日/100日
 
101cm
山形 肘折 無人のため観測していない。 日本海側山間部。観測が行われている地点では最も年最深積雪が多い。
321cm
仙台 11月26日 12月21日 なし なし 3月13日 4月7日 -
 
83日
 
 
16cm
東京 1月3日 なし なし なし なし 3月9日 -
積雪を記録しない年もある(2007年など)
 
6cm

積雪・根雪(長期積雪)は1cm以上。

最深積雪の平年値と極値

気象台における最深積雪の平年値と極値
(平年値は1991 - 2020年、気象庁)
気象台 平年値 極値(記録日)
稚内 72cm 199cm(1970年2月9日)
旭川 89cm 138cm(1987年3月4日)
札幌 97cm 169cm(1939年2月13日)
網走 63cm 143cm(2004年2月23日)
釧路 34cm 123cm(1939年3月9日)
室蘭 26cm 68cm(1958年2月13日)
函館 45cm 91cm(2012年2月27日)
青森 101cm 209cm(1945年2月21日)
秋田 37cm 117cm(1974年2月10日)
盛岡 36cm 81cm(1938年2月19日)
仙台 16cm 41cm(1936年2月9日)
山形 51cm 113cm(1981年1月8日)
福島 26cm 80cm(1936年2月9日)
水戸 7cm 32cm(1945年2月26日)
宇都宮 9cm 32cm(2014年2月15日)
前橋 11cm 73cm(2014年2月15日)
熊谷 9cm 62cm(2014年2月15日)
東京 6cm 46cm(1883年2月8日)
銚子 0cm 17cm(1936年3月2日)
横浜 7cm 45cm(1945年2月26日)
長野 33cm 80cm(1946年12月11日)
甲府 15cm 114cm(2014年2月15日)
静岡 0cm 10cm(1945年2月25日)
名古屋 8cm 49cm(1945年12月19日)
岐阜 15cm 58cm(1936年2月1日)
4cm 26cm(1951年2月14日)
新潟 32cm 120cm(1961年1月18日)
富山 51cm 208cm(1940年1月30日)
金沢 32cm 181cm(1963年1月27日)
福井 48cm 213cm(1963年1月31日)
彦根 26cm 93cm(1918年1月9日)
京都 7cm 41cm(1954年1月26日)
大阪 1cm 18cm(1907年2月11日)
神戸 1cm 17cm(1945年2月25日)
奈良 3cm 21cm(1990年2月1日)
和歌山 1cm 40cm(1883年2月8日)
岡山 1cm 26cm(1945年2月25日)
広島 5cm 31cm(1893年1月5日)
松江 20cm 100cm(1971年2月4日)
鳥取 37cm 129cm(1947年2月22日)
徳島 1cm 42cm(1907年2月11日)
高松 1cm 19cm(1984年1月31日)
松山 0cm 34cm(1907年2月11日)
高知 1cm 14cm(2022年12月23日)
下関 2cm 39cm(1900年1月26日)
福岡 2cm 30cm(1917年12月30日)
大分 1cm 15cm(1997年1月22日)
長崎 3cm 17cm(2016年1月24日)
佐賀 3cm 21cm(1959年1月17日)
熊本 1cm 13cm(1945年2月7日)
宮崎 0cm 3cm(1945年1月24日)
鹿児島 3cm 29cm(1959年1月17日)
沖縄県は積雪を未観測

アルジェリア

2016年12月19日サハラ砂漠に位置するアルジェリアの町・アインセフラの砂丘で積雪が観測された[6]。サハラ砂漠での降雪は1979年2月18日にも観測されているが、その時の雪は30分で溶けており、1日近く残った積雪は2016年12月の降雪が観測史上初となる[6]。なお、2016年12月のアルジェリアとモロッコ国境付近での積雪はランドサット7号の画像解析でも確認されている[6]

積雪の効果

積雪は、生物の分野では、生物の分布に大きな影響を与えることが知られている。ある程度以上、温度が下がる時期がある地域においては、寒冷期の最低気温とその生物の耐寒性がその分布要因として大きな意味を持つ。ところが、積雪は多くの空気を含むため、雪の中は外気ほどは温度が下がらない場合があるのである。たとえば日本海側は冬季の積雪が多いため、低木以下の高さにおいては、より温暖な地域の生物が意外なほどに北まで分布する。ユキツバキはその例によく挙げられる。

脚注

出典

  1. ^ 積雪分類の用語集”. 日本雪氷学会北海道支部. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年2月6日閲覧。
  2. ^ a b c d e 気象庁監修『気象年鑑』 2007年以前の版における日本の気象要素別順位表、及び世界と日本の気象記録
  3. ^ 気象庁 観測史上1~10の値(年間を通じての値)月最深積雪(cm)
  4. ^ a b 18時間で積雪256センチ、新記録か イタリア CNN、2015年3月11日
  5. ^ 過去の気象データ検索」気象庁、(随時更新)、2021年9月10日閲覧
  6. ^ a b c サハラ砂漠に雪が降る! ウェザーニューズ、2017年2月9日

関連項目

外部リンク


積雪量

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 15:25 UTC 版)

上越市」の記事における「積雪量」の解説

市内一部を除くほぼ全域特別豪雪地帯指定されている。年毎の差が大きいものの、多雪年の最深積雪全国でもトップクラス多く2m超えることもある。高田測候所当時の名称)では1945年昭和20年2月26日に、377cmの最深積雪記録したほか、100cm以上の降雪量記録複数など、日本有数豪雪記録を持つ。高田での積雪量は1986年昭和61年2月6日に324cmを記録して以降最深でも1mに満たないシーズン多くなっていたが、2012年平成24年2月10日には26年ぶりに2m越え、222cmを観測した2021年令和3年1月11日には249cmを観測し平成期以降では2度目積雪2m超えとなった市内全域では積雪量に大きな差があり、高田などの内陸部安塚などの山間部多く直江津大潟などの沿岸部比較少ない。 高田高田特別地域気象観測所)の気候1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月最高気温記録 °C (°F)19.4 (66.9) 21.9 (71.4) 25.8 (78.4) 32.3 (90.1) 33.1 (91.6) 36.4 (97.5) 38.9 (102) 40.3 (104.5) 39.3 (102.7) 34.1 (93.4) 28.1 (82.6) 23.7 (74.7) 40.3 (104.5) 平均最高気温 °C (°F)6.0 (42.8) 6.7 (44.1) 10.9 (51.6) 17.6 (63.7) 22.7 (72.9) 25.8 (78.4) 29.6 (85.3) 31.3 (88.3) 27.1 (80.8) 21.5 (70.7) 15.5 (59.9) 9.3 (48.7) 18.7 (65.7) 日平均気温 °C (°F)2.5 (36.5) 2.7 (36.9) 5.8 (42.4) 11.7 (53.1) 17.0 (62.6) 20.9 (69.6) 25.0 (77) 26.4 (79.5) 22.3 (72.1) 16.4 (61.5) 10.5 (50.9) 5.3 (41.5) 13.9 (57) 平均最低気温 °C (°F)−0.4 (31.3) −0.8 (30.6) 1.4 (34.5) 6.1 (43) 11.6 (52.9) 16.7 (62.1) 21.5 (70.7) 22.6 (72.7) 18.4 (65.1) 12.1 (53.8) 6.1 (43) 1.8 (35.2) 9.8 (49.6) 最低気温記録 °C (°F)−10.7 (12.7) −13.2 (8.2) −10.3 (13.5) −6.5 (20.3) −0.4 (31.3) 6.4 (43.5) 11.6 (52.9) 13.0 (55.4) 8.3 (46.9) 1.2 (34.2) −2.5 (27.5) −7.8 (18) −13.2 (8.2) 降水量 mminch)429.6 (16.913) 263.3 (10.366) 194.7 (7.665) 105.3 (4.146) 87.0 (3.425) 136.5 (5.374) 206.8 (8.142) 184.5 (7.264) 205.8 (8.102) 213.9 (8.421) 334.2 (13.157) 475.5 (18.72) 2,837.1 (111.697) 降雪量 cminch171 (67.3) 139 (54.7) 46 (18.1) 2 (0.8) - - - - - - 0 (0) 67 (26.4) 413 (162.6) 平均降水日数 (≥0.5 mm)26.3 21.5 20.3 13.8 11.7 12.6 14.8 12.5 15.3 16.1 19.9 24.5 209.3 平均降雪日数 (≥0 cm)25.2 21.1 13.7 1.8 0 0 0 0 0 0 1.6 16.6 81.3 % 湿度79 76 72 67 71 78 81 78 79 78 78 78 76 平均月間日照時間62.4 83.2 128.7 177.6 201.8 153.6 148.4 189.6 136.7 131.8 104.1 73.0 1,591.8 出典気象庁 (平均値1991年-2020年極値1922年-現在)気象庁

※この「積雪量」の解説は、「上越市」の解説の一部です。
「積雪量」を含む「上越市」の記事については、「上越市」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「積雪量」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「積雪量」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

','','','','','','','','','','','','','','','','','',''];function getDictCodeItems(a){return dictCodeList[a]};

すべての辞書の索引

「積雪量」の関連用語

1
100% |||||

2
100% |||||

3
累年平均積雪積算値 デジタル大辞泉
54% |||||








積雪量のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable(){return sideRankTable};

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



積雪量のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
気象庁気象庁
©2025 Japan Meteorological Agency. All rights reserved.
なお、「気象庁 予報用語」には、気象庁の「気象庁が天気予報等で用いる予報用語」に掲載されている2009年11月現在の情報から引用しております。
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの積雪 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの上越市 (改訂履歴)、長岡市 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS