研究の成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/26 07:56 UTC 版)
幾つかの研究を行って、ゴットマンは、結婚や離婚における多くの人間関係のあり方や、その影響を明らかにして、自身の著書や、同僚が要約した本により報告した。以下は、そのうちの主なものである。 結婚生活の争いの中では、争いにより正常な思考ができなくなることがあるので、議論が白熱してきたら、20分間の冷却時間ないし身体リラックス時間を設けるようゴットマンはアドバイスしている。 「関係維持のための努力」の効果とは、関係維持のために人が行う最も小さい努力と、相手の反応の仕方のことである。例えば、幸福なカップルは、一緒にいる時に、より多くの「関係維持のための努力」を行い、「気持ちが近づく反応」を多く行い、最も破壊的な「気持ちが離れる反応」をほとんど行わない。ある本は、この状況を「関係の治癒」であるとしている。 ゴットマンは、「信頼」という概念を、「ウィンーウィンの関係(相互に利益を得る関係)を協力して作り上げる傾向であり、ロスーロスの関係(囚人のジレンマにおいて相互に不利益を被る状態のような関係)の連鎖から抜け出す能力」と定義している。 結婚後短期間に離婚に至る要因は、後年になって離婚に至る要因とは異なっている。早期の離婚は、「(黙示録の)4人の騎手」のようなひどい戦いが特徴的である。これに対して、後年になっての離婚は、夫婦関係の早期において、前向きの積極的な影響が少なかったことが特徴的である。 怒りは、夫婦関係にとって、決して悪いものではない。幸福なカップルも、不幸なカップルと同じくらいしばしば怒る。怒りや戦いの頻度よりも、怒りに対する反応の仕方やカップルがどの程度破壊的になるかということが、決定的な要因になる。ゴットマンは「怒りは、結婚の正常な機能の一部である」と述べている。 幸福なカップルのうち、69%のカップルは、10年後にも、同じ未解決の争いを抱えている。その状態でも幸福でいられるのは、その争いで戦いを勃発させずに、遠回しに迂回しているからである。 軽蔑と結婚 ゴットマンの理論によれば、4つの破壊的な感情的反応があり、それらがあれば離婚が予測されるとしている。それは、批判、防衛的対応、無反応、軽蔑である。その4つの内でも軽蔑が最も重要であるとゴットマンは述べている。 7つの原則 ゴットマンの「結婚がうまくいくための7つの原則」という本の中で、ゴットマンは、ワシントン州シアトルにある彼の研究施設での研究に基づいて、うまく行っている結婚生活で観察される行動や、結婚生活を脅かす行動について論じている。ゴットマンは、夫婦関係の良い部分を強化して、困難な時期にもその困難を乗り越えられるように、以下のような7つの原則を実践することを勧めている。 (1)愛の地図を強化すること。 ゴットマンの言う愛の地図とは、脳の中にあって、パートナーについての情報を記憶する場所のことである。愛の地図を強化するということは、パートナーを本当に知って、パートナーの夢、希望、興味などを知ることであり、それは、二人の関係を通じてパートナーの利益を実現するために必要不可欠なことである。 (2) 愛情を育て、多く賞賛すること。 これは、パートナーに対して肯定的な見方をして、尊重し、パートナーの個性の良さを把握しているということである。 (3)離れるのでなく、寄り添うこと。 パートナーの生活における短い一瞬一瞬について知って、自分をそれに適合させることは、人間関係に必要な結合力を維持するために重要である。 (4)パートナーからの影響を受け入れること 人間関係において自分の独自性を維持することは重要なことである。しかし、同じくらい重要なことは、パートナーに譲歩して受け入れることである。もし双方が、相手からの影響を受け入れるのなら、より深いレベルで、お互いを尊重しあうことができるようになる。 (5)解決可能な問題を解決すること 解決可能な問題を、双方が歩み寄って解決することは重要である。ゴットマンは、それは次の5つのステップにより可能になると考えている。穏やかに始めること、修復の試みを行ったり受け入れたりするようになること、自分自身をなだめたり相手をなだめたりすること、歩み寄って妥協すること、お互いの過ちを許すことの5つである。 (6)膠着状態を乗り越えること 重要な問題であるのに、両者の考えが根本的に異なっていて解決できない場合には、相互理解と深い部分でのコミュニケーションが必要となる。歩み寄りが不可能な場合でも、最低限の目標は、相手が自分の考えを主張することを把握することである。 (7)人生の意味を共有すること 共有する役割、象徴、儀式、伝統を通じて、パートナー同士を持続的に結びつけるように、価値体系を共有することが必要である。
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