アスキー_(企業)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > アスキー_(企業)の意味・解説 

アスキー (企業)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/05 18:59 UTC 版)

アスキー (企業)
正式名称 アスキー
英文名称 ASCII
前身 株式会社アスキー
種類 角川アスキー総合研究所のブランド
設立日 1977年
テンプレートを表示
関連会社の統廃合図

アスキーASCII)は、かつて存在したコンピュータ関連の雑誌書籍を出版する日本出版社。現在はKADOKAWAグループに吸収され、株式会社角川アスキー総合研究所(かどかわアスキーそうごうけんきゅうじょ、KADOKAWA ASCII Research Laboratories, Inc.)の事業ブランドとなっている。

概要

1977年、コンピュータ雑誌『I/O(アイオー)』の編集者であった西和彦郡司明郎塚本慶一郎らが独立しアスキー出版(アスキーしゅっぱん)として設立。『月刊アスキー』などのコンピュータ雑誌を発行していた。1980年代には、アスキーはマイクロソフト極東代理店の地位にあった。

日本ソフトバンク(後のソフトバンクグループ)に対抗すべく、アスキーは1986年三井物産などの出資によりパソコンソフト等の卸売会社「ソフトウィング」を設立したが、同社は1994年カテナへ吸収合併された。

1991年には、半導体衛星通信といった新規分野への出資を積極的に行う西に対して、郡司と塚本が出版を主軸とした慎重経営を主張し、両者は決裂して郡司と塚本は退社した。翌年、塚本はインプレスを設立し、郡司はインプレスへ出資した。

また1996年には、『週刊ファミ通』や『ログイン』を発行する稼ぎ頭の第二編集統括本部を統括していた常務取締役の小島文隆、宮崎秀規、塩崎剛三、小笠原直樹の4役員が、西の経営方針との対立から退任し、ゲーム関連の雑誌や書籍を出版するアクセラを設立[1]。同調する従業員約60人がアクセラに移籍した。

相次ぐ内紛と、経営の多角化に失敗から財務が悪化して、1998年CSK[2]2001年には投資会社ユニゾン・キャピタルなどの経済的支援を受ける。再建後は創業当初の出版業のみに事業を縮小していた。

2002年、当時の子会社だったアストロアーツが商号を変更しアスキーとなる。その前の株式会社アスキーはメディアリーヴスと社名変更され、主にコンピュータ関連の出版事業を引き継いだ。

角川書店グループの角川グループホールディングスの傘下にあって、他のグループ会社と違い、関連会社のエンターブレインも含めて独自の営業部が存在し、注文受託も自ら行うのが特徴だった。メディアワークスとの合併後は独自の営業部は廃止され、販売も角川グループパブリッシングに委託される形となった。

2008年4月1日付で同じ角川グループ傘下のメディアワークスに吸収合併され、アスキー・メディアワークスとなった。

2010年10月1日にメディアリーヴスも子会社のエンターブレインに吸収合併されたことで、旧法人も消滅した。

沿革

株式会社アスキー(初代)

株式会社アスキー(2代目)

  • 1991年(平成3年)6月24日 - 株式会社アスキーの子会社として株式会社アストロアーツを設立。
  • 2002年(平成14年)11月18日 - 株式会社アストロアーツが株式会社メディアリーヴスから営業を引き継ぎ、商号を株式会社アスキー(2代目)に変更。
  • 2008年(平成20年)4月1日 - 株式会社メディアワークスを存続会社として株式会社アスキー(2代目)を吸収合併、社名が「アスキー・メディアワークス」となった。

株式会社アスキー・メディアワークス

株式会社KADOKAWA アスキー・メディアワークス

  • 2013年(平成25年)10月1日 - 株式会社KADOKAWAに吸収合併され「アスキー・メディアワークス」はブランドカンパニーの一つとなる。
  • 2014年(平成26年)12月 - アスキーブランドでIT技術書などを手がけてきたハイエンド書籍編集部を株式会社ドワンゴが継承し、ドワンゴとKADOKAWAの共同技術書出版レーベルとして「アスキードワンゴ」(ASCII DWANGO)を設立[3]
  • 2015年(平成27年)
    • 4月 - ブランドカンパニー制を廃止し、アスキー・メディアワークス事業局となる。
    • 同年内 - パソコン雑誌「週刊アスキー」が5月26日発売の2015年6月9日号(1030号)にて印刷版の刊行を停止し、ネット/デジタルに完全移行。
  • 2018年(平成30年)4月1日 - アスキー事業を株式会社角川アスキー総合研究所に移管。

株式会社角川アスキー総合研究所

株式会社角川アスキー総合研究所
KADOKAWA ASCII Research Laboratories, Inc.
種類 株式会社
本社所在地 日本
113-0024
東京都文京区西片1-17-8
KSビル 2F
設立 2000年(平成12年)2月24日
(株式会社角川デジックス)
業種 サービス業
事業内容 メディア&マーケティング事業
ビジネスソリューション事業
KADOKAWAグループのサポート事業
代表者 福田正(代表取締役会長)
加瀬典子(代表取締役社長)
資本金 8500万円
売上高 33億8400万円
(2021年3月期)[4]
営業利益 4億5700万円
(2021年3月期)[4]
経常利益 4億6000万円
(2021年3月期)[4]
純利益 3億7,766万1,000円
(2024年3月期)[5]
総資産 36億4,470万8,000円
(2024年3月期)[5]
従業員数 正社員・契約社員77名、アルバイト23名 (2021年3月期)[4]
主要株主 株式会社KADOKAWA
関係する人物 角川歴彦(元社長)
芳原世幸(元社長)
外部リンク https://www.lab-kadokawa.com/
テンプレートを表示
  • 2000年(平成12年)2月24日 - 株式会社角川デジックス(かどがわデジックス)を設立。
  • 2013年(平成25年)
    • 2月1日 - 株式会社アスキー・メディアワークスの一部門である角川アスキー総合研究所を分離し、株式会社角川アスキー総合研究所を設立[6]
    • 7月1日 - 株式会社角川デジックスが株式会社角川アスキー総合研究所を吸収合併し、株式会社角川アスキー総合研究所に商号変更。 
  • 2018年(平成30年)4月1日 - 株式会社KADOKAWAからアスキー・メディアワークス事業局のアスキー事業を譲受[7][4]
  • 2020年(令和2年)10月1日 - 株式会社KADOKAWA Game Linkageからマーケティング本部にかかわる一切の業務を譲受[8]
  • 2021年(令和3年)7月1日 - 株式会社KADOKAWAからビジネスプロデュース局(但し、アカウントビジネス部アカウント3課及び5課を除く)に係る事業を譲受[9][10]
  • 2023年(令和5年)7月1日 - 株式会社角川アップリンクからメディアコミュニケーション事業統括部が担当する事業を譲受[11]

アスキードワンゴ

2014年12月に設立されたドワンゴとKADOKAWAの共同技術書出版レーベル。アスキーブランドで出版されていた技術書の新装刊やドワンゴ社内の技術者とレーベル編集者との近い距離感とフットワークを活用した最新の技術書など、特色あるレーベルとなっている。発足以来、毎年数冊程度の新刊(含む新装刊)がある。

  • (再掲)2014年(平成26年)12月 - アスキーブランドでIT技術書などを手がけてきたハイエンド書籍編集部を株式会社ドワンゴが継承し、ドワンゴとKADOKAWAの共同技術書出版レーベルとして「アスキードワンゴ」(ASCII DWANGO)を設立[12]

メディア事業

  • ASCII.jp - ウェブメディア
  • 週刊アスキー - 電子版・ムック・ウェブメディア
  • 週刊アスキー秋葉原限定版 - フリーマガジン・電子版
  • アスキー - YouTubeチャンネル
  • MITテクノロジーレビュー - ウェブメディア
  • ラーメンウォーカー - ウェブメディア・ムック
  • ハイウェイウォーカー - フリーマガジン
  • わんにゃんウォーカー- フリーマガジン
  • エリアLOVEWalker - ウェブメディア
  • ASCII.jpデジタル用語辞典[13]
  • f-ism.net(Famitsu Intelligence Strategic Marketing Net)
  • ファミ通ゲーム白書

かつて発行していた雑誌・書籍

かつて運営していたインターネットメディア

その他事業

eコマース

  • アスキー ラピッド コマース サービス - アスキーが1997年7月18日にオープンした電子商店街[19]。アスキーストアの源流として、アスキー製品の販売も行われていた。サイト移転しアスキーストアに名称を変更。
  • アスキーストア - アスキーの書籍・雑誌バックナンバーをはじめ、マイクロソフト製品をはじめとするPCソフトウェア製品、OAグッズやデジモノ類の販売を行っていたECサイト2002年に運営会社のアスキーECはオン・ザ・エッヂによる営業権取得で同社の運営となったが[20]2005年までは独立したサイトで運営されていた。
  • digital ASCII Try & Buy Shop[21] - 雑誌のCD-ROMとネットを融合したシリアルコード販売サイト
  • アスキーストア(2代目) - 従来からの独立サイト上の運営から、ライブドアポータルサイト)内にある「ライブドアデパート(後の買う市)」のテナントとして移転開設された。アスキー365の開設に伴い、2006年(平成18年)には閉店されて現存しない。
  • アスキーストア(3代目) - 2005年10月にアスキー・メディアリーヴス(当時)が新たにアスキー365として開設したECサイト。2008年7月週アスストアに[22]、2011年5月にアスキーストアに名称変更。週刊アスキーの読者層をターゲットに、ワイシャツなどの衣類やデジモノ・玩具(ルービックキューブなど)・雑貨類の販売に特化している。週刊アスキーにレビュー記事が連載されている。

メールマガジン

  • A-Mail.yom[23]
  • ASCII24メールサービス[24]

パソコン通信

  • アスキーネット - インターネットのニュースやメールができる唯一のパソコン通信だったが、他のプロバイダの普及により淘汰され、1997年終了

インターネットサービスプロバイダ

  • アスキーインターネットエクスチェンジ(AIX) - 1998年1月で終了[25]
  • アスキーインターネットフリーウェイ(AIF) - ハイパーネットのシステムを利用した無料プロバイダの趨りだった。1997年12月終了

ダウンロードサービス

  • Download ASCII - 2004年シーサーに譲渡[26]。その後Seesaa ダウンロードに名称を変更。

eラーニング

  • NET-T[27] - アスキーと日立製作所が共同開発した教材をインターネット経由で受講するシステム

マルチメディア・インターネット関連ソフト

主なゲームソフト

2002年にゲーム開発・販売から撤退[28]。ゲーム周辺機器事業はサミーが継承した。「エンターブレイン」も参照。

過去のグループ企業

事業譲受会社

  • アストロアーツ - 2002年9月に株式会社アストロアーツの営業権を譲受。KADOKAWAを発売元として天文雑誌「星ナビ」を発行。
  • アスキーソリューションズ - 2002年5月に休眠会社ユニゾン・ストラテジック・アドバイザーズが、アスキーからネットメディア事業部(パッケージソフト販売)の営業権を譲受け発足。2006年ヘラクレスに上場したが、2008年に上場準備時点からの粉飾決算が発覚。5月に上場廃止となり、7月にエー・エス・アイ株式会社に商号変更し、民事再生法の適用を申請。8月にアセンディア(現:フューチャーインスペース)に事業譲渡し、アセンディアのエー・エス・アイカンパニーになった。

アスキー出身の人物

脚注

  1. ^ アスキー辞任の4役員ら、新会社「アクセラ」を設立”. pc.watch.impress.co.jp. 2022年12月27日閲覧。
  2. ^ アスキーに、CSKとセガ・エンタープライゼスが資本参加”. PC Watch (1997年12月25日). 2012年8月30日閲覧。
  3. ^ IT技術書出版ブランド「アスキードワンゴ (ASCII DWANGO)」立ち上げのお知らせ”. 株式会社ドワンゴ. 2018年5月9日閲覧。
  4. ^ a b c d e 吸収分割に関する事前開示書面(変更事項)”. 2021年7月31日閲覧。
  5. ^ a b 株式会社角川アスキー総合研究所 第25期決算公告
  6. ^ 角川グループの新会社 株式会社角川アスキー総合研究所 設立のお知らせ”. 株式会社角川アスキー総合研究所. 2018年5月9日閲覧。
  7. ^ KADOKAWA アスキー事業の移管について”. PR TIMES. 2018年5月9日閲覧。
  8. ^ 角川アスキー総合研究所、KADOKAWA Game Linkageとの吸収分割公告を官報に掲載 | オタク産業通信 :ゲーム、マンガ、アニメ、ノベルの業界ニュース”. otakuindustry.biz (2020年8月18日). 2021年7月31日閲覧。
  9. ^ 会社分割(簡易吸収分割)に係る分割契約締結に関するお知らせ”. 2021年3月29日閲覧。
  10. ^ KADOKAWAビジネスプロデュース局 事業移管のお知らせ”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2021年7月31日閲覧。
  11. ^ 令和5年5月29日付官報本紙第986号28頁
  12. ^ IT技術書出版ブランド「アスキードワンゴ (ASCII DWANGO)」立ち上げのお知らせ”. 株式会社ドワンゴ. 2018年5月9日閲覧。
  13. ^ ASCII. “アスキー、デジタル用語辞典のサービスを開始”. ASCII.jp. 2020年1月29日閲覧。
  14. ^ アスキーがWWWと電子メールでパソコンなどのニュースを配信するサービスを開始”. INTERNET Watch. 2020年1月29日閲覧。
  15. ^ News:アスキーが社名変更”. itmedia. 2020年1月29日閲覧。
  16. ^ アスキー、iモードで愛車の燃費をチェックするサービス”. ケータイ Watch. 2020年1月29日閲覧。
  17. ^ アスキー、ブロードバンド向け娯楽サイト「enban.net」を開設”. internet.watch.impress.co.jp. 2020年1月29日閲覧。
  18. ^ ASCII. “アスキー、インターネットラジオ放送局“ラジ@”を開局”. ASCII.jp. 2020年1月29日閲覧。
  19. ^ アスキーが決済機構を組み込んだショッピングモールを本格運用”. INTERNET Watch. 2020年1月29日閲覧。
  20. ^ アスキーイーシー、オン・ザ・エッヂに全ての営業権を譲渡”. 2017年7月9日閲覧。
  21. ^ アスキー、雑誌のCD-ROMとネットを融合したソフト販売サービスを開始”. INTERNET Watch. 2020年1月29日閲覧。
  22. ^ 週刊アスキー誌面連動のネットショップ『週アスストア 』オープン『アスキー365』名称変更のお知らせ” (PDF). 株式会社アスキー・メディアワークス (2008年7月28日). 2018年2月21日閲覧。
  23. ^ アスキーが無料メールサービス「A-Mail.yom」をスタート”. INTERNET Watch. 2020年1月29日閲覧。
  24. ^ 「ASCII24」がメールサービス”. INTERNET Watch. 2020年1月29日閲覧。
  25. ^ アスキーがインターネット接続サービス「AIX」「AIF」を終了”. INTERNET Watch (1997年10月30日). 2012年9月4日閲覧。
  26. ^ 窓の杜 - 【NEWS】(株)アスキー、“Download ASCII”のサービス継続を発表”. forest.watch.impress.co.jp. 2020年1月29日閲覧。
  27. ^ 平成11年版 通信白書”. 総務省ホームページ. 総務省. 2020年1月29日閲覧。
  28. ^ アスキー、ゲーム制作から撤退。PSOゲームキューブ版コントローラはアスキーブランドから発売”. GAME Watch. 2020年1月29日閲覧。

関連項目

外部リンク


「アスキー (企業)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

','','','','','','','','','','','','','','','','','',''];function getDictCodeItems(a){return dictCodeList[a]};

すべての辞書の索引

「アスキー_(企業)」の関連用語




4
52% |||||







アスキー_(企業)のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable(){return sideRankTable};

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アスキー_(企業)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアスキー (企業) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS