じゅ【受】
読み方:じゅ
[音]ジュ(慣) [訓]うける うかる
うけとる。うけ入れる。うける。「受験・受賞・受信・受諾・受注・受容・受領・受話器/甘受・享受・授受・納受・拝受・傍受」
[名のり]うく・うけ・おさ・しげ・つぐ
じゅ【受】
受
受
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/16 13:45 UTC 版)
仏教用語 受, ヴェダナー | |
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パーリ語 | वेदना (vedanā) |
サンスクリット語 | वेदना (IAST: vedanā) |
チベット語 | ཚོར་བ། (Wylie: tshor ba; THL: tsorwa) |
ビルマ語 | ဝေဒနာ (IPA: [wèdənà]) |
中国語 | 受 (shòu) |
日本語 | 受 (ju) |
韓国語 | 수 (su) |
英語 | feeling, sensation, feeling-tone |
クメール語 | វេទនា (Vaetenea) |
モン語 | ဝေဒနာ ([wètənɛ̀a]) |
シャン語 | ဝူၺ်ႇတၼႃႇ ([woj2 ta1 naa2]) |
ベトナム語 | 受 (thụ, thọ) |
パーリ仏典による六六経 | |||||||||||||||
処、入 (Āyatana) | → | 受 ・ ヴ ェ | ダ ナ | | → | 渇 愛 ・ タ ン ハ | | |||||||||||
六根 感覚器官 | <–> | 六境 感覚器官の対象 | |||||||||||||
↓ | ↓ | ||||||||||||||
↓ | 触 (パッサ) | ||||||||||||||
↓ | ↑ | ||||||||||||||
識 (ヴィンニャーナ) | |||||||||||||||
受(じゅ)、ヴェーダナー (巴: 梵: vedanā)とは、人間の感受作用を意味する仏教用語。触れたことを感じることである[1]。
六識が六根を通じ六境に接触し、まずそれを感受すること[2]。肉体的、生理的に感じる「暑い」「痛い」などの感じの他にも、「苦しい」「快い」などの、心で知覚的に感じるものも含んでいる[3]。例えば、桜の木を見て「美しい」と感じること[4]。
仏教において、受は以下とされている。
- 上座部仏教アビダルマにおける、7つの共一切心心所のひとつ
- 大乗仏教アビダルマにおける、5つの遍行心所のひとつ
- 説一切有部の五位七十五法のうち、有為法 - 心所法 - 大地法のひとつ
- 十二因縁における7つ目の要素[5]
- 五蘊のひとつ(行取蘊)
- 四念処のひとつ(心念処)
定義
人間の肉体と精神を5つの集まりに分けて示した五蘊(般若心経、阿含経などに言及)の一要素であり、説一切有部の五位七十五法のうち大地法(阿毘達磨倶舎論などに言及)、唯識派・法相宗の五位百法のうち有為法 - 心所法 - 遍行心所(成唯識論などに言及)の一要素。また、現実の人生の苦悩の根源を追求しその根源を絶つことによって苦悩を滅するための12の条件を系列化した十二因縁の第7番目の要素でもある[5]。
受の数
多受経において釈迦は、教えの趣旨に基づき受を2,3,5,6,18,36,108種類に分けて説くと述べている[6]。
三受
パーリ仏典と雑阿含経においては、次の3種類の受が挙げられている[7] [6][8]。
聖者も凡夫も同様に、楽受をも感じ、苦受をも感じ(、非苦非楽受をも感じ)なければならないが、凡夫は正法を聞かざるゆえに、それらを身と心との両方で受け取ってしまう。楽受を受ければ、それに愛執するがゆえに、欲貪の煩悩にとらえられ、苦受を受ければ、それに瞋恚(しんに)を生ずるがゆえに、瞋恚の煩悩にとらえられるためである。それに対し、正法を聞いた者は身における受は感ずるけれども、心における受は感じない。釈迦はこれを、あたかも、第一の矢を受けても第二の矢を受けないことと似ているとし、苦受・楽受を受けても心の平和をかき乱されないことを説いている[10]。
なお、阿毘達磨倶舎論においては、すべての苦、楽、不苦不楽(捨)の受を自性順受という[9]。
他の分類
- 2種類 - 楽および苦 [6][8]
- 5種類[8]
- 楽(らく、sukha, スカ)- 身体の楽
- 苦(らく、dukkha, ドウッカ)- 身体の苦
- 喜楽 (きらく、somanassa, ソーマナッサ) - 心の楽
- 憂 (う、domanassa, ドーマナッサ) - 心の苦
- 捨 (しゃ、upekkhā, ウペッカー) - 不苦不楽
- 6種類 - 眼、耳、鼻、舌、身、意の六根 [8]
- 18種類 - 六根・六境・六識の十八界 [8]
- 36種類 - 在家者の十八界と、出家者の十八界 [8]
- 108種類 - 過去の36種類の受、未来の36種類の受、現在の36種類の受 [8]
清浄道論やアビダンマッタ・サンガハにおいては、5種類の受が主に用いられる[1]。
出典
- ^ a b アルボムッレ・スマナサーラ『ブッダの実践心理学 アビダンマ講義シリーズ』サンガ〈第3巻 心所〉、2007年、kindle版、chapt.1。ISBN 978-4901679305。
- ^ 櫻部建 2006, p. 62.
- ^ 頼富本宏 2003, p. 76.
- ^ 頼富本宏 2003, p. 90.
- ^ a b 岩波仏教辞典第2版 1989, p. 396.
- ^ a b c パーリ仏典, 中部59 多受経, Sri Lanka Tripitaka Project
- ^ 増谷文雄 1969, p. 160.
- ^ a b c d e f g パーリ仏典, 相応部 受相応 36.22百八経, Sri Lanka Tripitaka Project
- ^ a b 櫻部 1981, p. 153.
- ^ 増谷文雄 1969, pp. 165–167.
参考文献
- 中村元 他『岩波仏教辞典』(第2版)岩波書店、1989年。ISBN 4-00-080072-8。
- 頼富本宏、今井浄圓、那須 真裕美『図解雑学 般若心経』ナツメ社、2003年。ISBN 4-8163-3544-7。
- 櫻部建、上山春平『存在の分析<アビダルマ>』角川書店、2006年。ISBN 4-04-198502-1。
- 櫻部建『倶舎論』大蔵出版、1981年。ISBN 978-4-8043-5441-5。
- 横山紘一『唯識思想入門』第三文明社、1976年。ISBN 978-4-476-01066-4。
- 増谷文雄『仏陀:その思想と生涯』角川学芸出版、1969年。ISBN 978-4047030183。
関連項目
受
受
受 |
「受」の例文・使い方・用例・文例
- 受け入れられること
- 英語の講習を受けはじめたので英語がずっとよくわかる
- 私の招待を受けていただけますか
- 彼はその仕事を快く引き受けてくれた
- この贈り物は受け取れません
- 彼の提案は我々には受け入れられるものではなかった
- 契約条件を受け入れること
- 贈り物を受け取って礼状を書く
- 広く受け入れられる
- 彼に電子メールを受け取ったと知らせましたか
- ところで,君は医者の忠告を受け入れたほうがいいよ
- 彼はその申し出を受け入れないだろう
- その仕事を引き受けることを承知した
- バス代に十分な小銭を持っているか確かめなさい.紙幣は受け取らないんだ
- 船はいかりを下ろして風の影響を受けないようにした
- 彼女は怒って受話器をガチャンと置いた
- 返事を受け取る
- 私は得られるだけの援助はすべて受け入れます
- どんな提案でも受け入れる用意がある
- わびを受け入れる
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