ハタネズミとは? わかりやすく解説

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はた‐ねずみ【畑×鼠】

読み方:はたねずみ

ネズミ科哺乳類体長11センチ尾長4センチくらい。目や耳が小さい。山野・田畑に穴を掘ってすむ。草食性日本特産で、本州九州分布。はたけねずみ。のらねずみ


ハタネズミ

和名:ハタネズミ
学名Microtus montebelli
    ネズミ目ネズミ科
分布本州九州および佐渡島生息するわが国固有種である。
 
写真(上):ハタネズミ成獣
写真(下):ハタネズミによるスギ被害
説明
背面茶褐色灰色で,腹面灰白色である。頭胴長95〜140mm,尾長30〜50mm。乳頭式は2+0+2=8産子数は3〜5で,比較的多い。低地から高山帯まで幅広く生息するが,河川敷草原などの湿潤な環境を好む。交尾刺激排卵動物であり,個体群増減著しい。他の草食性野ネズミ同じく若齢木の地際部を剥皮するが,本種は地下生活比較適当しており若齢木の根系にまで被害の及ぶこともある。一般的な若齢造林地ではha当たり2030頭の密度被害出始める。巣穴数,食痕食べ残した植物片)および糞塊を調べることでも大凡個体数把握することが出来る。日頃からの下層植生管理個体数抑制することが出来るが,被害発見してからの対処一般的であり,殺鼠剤での駆除が普通である。獣害統計
ハタネズミ成獣

ハタネズミによるスギ被害


畑鼠

読み方:ハタネズミ(hatanezumi)

キヌゲネズミ科ネズミ一種

学名 Microtus montebelli


ハタネズミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/25 10:19 UTC 版)

ハタネズミ

ハタネズミの剥製(栃木県立博物館蔵)
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 齧歯目 Rodentia
: キヌゲネズミ科 Cricetidae
亜科 : ミズハタネズミ亜科 Arvicolinae
: ヨシハタネズミ属 Alexandromys
: ハタネズミ A. montebelli
学名
Alexandromys montebelli
(Milne-Edwards, 1872)
和名
ハタネズミ[2]
英名
Japanese grass vole[3]

ハタネズミ(畑鼠、Alexandromys montebelli)は、茶褐色で尾の短い日本固有種ハタネズミ類である。哺乳綱齧歯目キヌゲネズミ科に分類される。ニホンハタネズミとも呼ぶ[4]。成獣は頭胴長95 - 136mm、尾長29 - 50mm、体重22 - 62gほどである。南部に生息する個体のほうが体が大きめである。背面の毛色は茶色または灰黄赤色で、腹面は灰白色となる。

概要

本州九州佐渡島能登島に分布する。造林地や高山のハイマツ帯、河川敷や田畑などの地表から地中約50cmの間に、網目状の巣穴を掘り生活している。イネ科キク科を中心とする草を食べる。秋になると巣穴に食料を貯える。冬は雪の下に巣穴を掘ることもある。時々大発生し、イネ、サツマイモやニンジンなどの根菜、造林地などの樹木、果樹に大きな被害を及ぼすことがある。捕食者はイタチトビモズヘビなどである。

夜行性。日没と日の出前の2、3時間に活動することが多い。生まれたての子は無毛で目が閉じている。生後6日ほどで切歯が生え、生後10日ほどで目が開き、巣の周りを動き回るようになる。寿命は約1年で、オスよりメスのほうが長生きである。

被害

熊本県阿蘇山の内輪山では、ハタネズミが大繁殖して700haのカヤの根を食べて枯らしてしまい、表土が緊縛力を失い山崩れ寸前の事態を引き起こしたことがある。また、1960年代の山形県では、ハタネズミが堤防に穴をあけたことが契機となり小さな川が決壊したことがある[5]

また、ハタネズミはかつて富士山麓から伊豆半島ササ原や植林地などに生息し、10年周期で大繁殖を繰り返していた。1969年静岡県の推計では60万匹が存在するとされ、植林地の苗木の被害は年間4億円に達した。対策としてヘリコプター殺鼠剤が散布されたが、それほど大きな効果はなかった[6]

分類

以前はハタネズミ属Microtusに分類されていた[7][8][9]。2005年の分類では本種や大陸産のヨシハタネズミを含む12種がAlexandromys亜属に分類されていたが[3]、2012年に形態や分子系統解析からヨシハタネズミ属Alexandromysに分割する説が提唱された[10]

亜種

佐渡島の個体群を本州産とは別亜種とする説もある[8]

  • Microtus montebelli brevicorpus Tokuda, 1933 アカハタネズミ[11]

脚注

  1. ^ Cassola, F. 2016. Microtus montebelli (errata version published in 2017). The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T13446A115113547. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T13446A22346318.en. Accessed on 25 November 2024.
  2. ^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・鈴木聡・押田龍夫横畑泰志世界哺乳類標準和名リスト2021年度版」日本哺乳類学会、2021年12月24日公開、2024年11月25日閲覧。
  3. ^ a b Guy G. Musser & Michael D. Carleton, “Superfamily Muroidea,” In: Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World (3rd ed.), Volume 2, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 894-1537.
  4. ^ 本川雅治・恩地実・村上興正「ニホンハタネズミMicrotus montebelliの坑道系利用」『哺乳類科学』第35巻 2号、日本哺乳類学会、1996年、135-141頁。
  5. ^ 猛威 黄色い悪草 終戦時に進駐し大繁殖 花粉で鼻炎の心配も『朝日新聞』昭和44年(1969年)11月9日朝刊、12版、15面
  6. ^ 山のギャング60万匹 若木の被害4億円『朝日新聞』1970年(昭和45年)2月2日夕刊 3版 11面
  7. ^ 相見満・金子之史日本産ネズミ類(野鼠)の分類学史的検討」『哺乳類科学』第11巻 1号、日本哺乳類学会、1971年、19-47頁。
  8. ^ a b 金子之史「日本の哺乳類(12)けっ歯目ハタネズミ属」『哺乳類科学』第15巻 1号、日本哺乳類学会、1975年、3-26頁。
  9. ^ 金子之史・村上興正「日本産齧歯類(野鼠及び家鼠)の分類学史的検討」『哺乳類科学』第36巻 1号、日本哺乳類学会、1996年、109-128頁。
  10. ^ 谷戸崇・岡部晋也・池田悠吾・本川雅治Illustrated Checklist of the Mammals of the Worldにおける日本産哺乳類の種分類の検討」『タクサ:日本動物分類学会誌』第53巻(号)、日本動物分類学会、2022年、31-47頁。
  11. ^ 黒田長礼 編『日本産哺乳類目録 : 樺太・朝鮮・台湾及び我が南洋諸島を含む』ヘラルド社、1938年。国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1222418 (参照 2024-11-25)

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