ショット雑音
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ショット雑音(ショットざつおん、ショットノイズ、Shot noise)とは、回路ノイズの一種である。電気回路における電子や光学装置における光子のようなエネルギーを持った粒子の数が極度に小さい場合、粒子数の統計的変動が測定にかかるほど大きくなるために発生する。ショット雑音は電子工学、電気通信、基礎物理学の分野で問題にされる。
- ^ R. Sarpeshkar, T. Delbruck, and C. A. Mead, "White noise in MOS transistors and resistors", IEEE Circuits Devices Mag., pp. 23–29, Nov. 1993
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- 2 ショット雑音の概要
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ショット雑音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 21:21 UTC 版)
「極端紫外線リソグラフィ」の記事における「ショット雑音」の解説
5 mJ/cm2の線量感度は、およそ数千程度のEUV光子だけがそのような小さな領域で蓄積することを示唆している。光子のランダムな到着時による自然なポアソン分布で、約40nm未満の形状にとって露出プロセスを基本的に制御しがたくする、少なくとも数パーセント3シグマの期待された自然な線量変化がある。線量を増加させることはショット雑音を縮小するが、一方でさらにフレア線量を増加させ、より多くの自由電子を生成するだろう。自由電子は減速し停止するまで拡散するだろう。自由電子密度が初期光子密度より低いので、ショット雑音はEUV線量を単に考慮することから想定されるよりも常に実質的に大きい。 2008年にインテルは10億の30 nm接点を印刷するために、±16 %の線量エラー(@10 mJ/cm2)がEUVショット雑音から期待されると推定した。厳しい集計では、変動は±20 %まで増加する。この問題は22 nmパターン統合に影響を与えるだろう。1nmのピクセル内を検討した場合、ショット雑音が一層明白になり(>100% on 10 nm scale @10 mJ/cm2)、EUVリソグラフィにおける線端粗さ(line edge roughness:LER)の由来問題がより明確になる。 電荷捕捉のための2次元絶縁を伴う浮遊ゲートフラッシュメモリパターン同様に、DRAMと論理マイクロプロセッサ(11nmノードでの複合パターンカットを含む)でしばしばみられる2次元パターンは、線種形状よりショット雑音の影響をより受けやすい。それは、2次元パターン(理想的な長方形)が、あるしきい線量の近辺で露光した限定領域における光子の数として定義されているからである。 形状の直径 (nm)100万形状にわたる5%線量誤差を避けるための最小線量 (mJ/cm2)ターゲット線量 (mJ/cm2)ターゲット線量の処理能力 (300 mm WPH)40 12 5 - 28 24 10 6-60 20 47 15 50-125 14 96 20 125 10 187 20 165 5 %線量誤差は~ 1 nmのCDエラーに帰着すると判明した。100万接点の母集団における5 %線量誤差を避けるための最小線量はすべての世代で2倍となっているが、産業における目標線量は追いついていない。少なくとも最小線量を達成するために、処理能力は同じ比率で低減されるだろう。1ppmの母集団は平均線量から5の標準偏差である。参考に、Nvidiaは2011年に次のように報告した。ビア欠陥レベルは10億分の1である必要があり、その結果上記の最小線量はより厳密になる必要があるだろう。参照: SPIE Proc. 8326-96, 8683-36, 8679-50 (2013) 部分的なコヒーレント光源は、数百から数千の点のそれぞれ独立した光子源の集合としてしばしば表現される。更に、一方の光源による異なる入射角に対しての多層膜反射率の非対称な変化は、他方によるものより実質的に明るい 。10光子/nm2の線量における100万個の光子は(例えば100光源 x 10000光子/点)、100,000 nm2の領域(~ 300 nm x 300 nm)をカバーし、はるかに理論分解能を超過する。 ショット雑音は、前にも述べたEUV光源出力の問題に強い影響がある。10 mJ/cm2では、中間焦点における出力は180 Wでなければならないが、現状高負荷サイクルにおいてそれはおよそ20 Wである。しかし、有意なショット雑音は最小線量が20 nm形状サイズで少なくとも47 mJ/cm2(例えば20nmを20nmの半ピッチ線で切る)10 nm形状サイズでは187 mJ/cm2(例えば10 nm接点を14 nmの半ピッチ線で切る)でなければならず、それゆえEUV光源出力はかつてないほど達成困難になりつつある目標であることを示している。さらに、もし線量が少なくとも3倍増加するならば、レジストポリマーの架橋結合はより重大になる。後述するように、高い吸光度のため、加熱することはより深刻である。化学増幅型レジストにとって、酸発生分解(acid generator decomposition)のため線量露光が強いと線端粗さが増大する。ショット雑音は、ネガ型の金属酸化膜レジストをもつ、コンタクトホール・パターンに使用される明視野露光をいくらか緩和するかもしれない。フレアは線量が高い明視野露光においてより深刻な影響(像のコントラストを失わせる)を持っている 。HSQレジストの軟X線露光は、100 mJ/cm2レンジにおける線量増加のため露光限界を越える増加反応に関係した50 - 70 nmの線幅増大を示している。 ショット雑音問題はEUVで使用された、20 nm以下のマスク上に描画された形状に適用できる。(ウェーハ上に20nmをプリントするため)マスク上の80 nmコンタクトホールパターンに使用される12 uC/cm2の吸光線量では、そのようなコンタクトホールが10億を越える線量レベルにおいては、必然的に10 %のショット雑音に遭遇する。 EUVの空間像計測システム(Aerial Image Metrology System:AIMS)メーカーであるカール・ツァイスは、18 nmピクセルあたり15,000光子(68 mJ/cm2に相当する)が十分なCD忠実度のために必要であると近年結論を出している。
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