2015年6月28日日曜日

日本政府のTPP交渉にかかる出張経費、9億円を超える


★日本政府のTPP交渉にかかる出張旅費、
9億円を超える★

―多額の税金が使われていながら、
国民には中身が知らされない「秘密交渉」で
いいの!?――


 このたびPARCは、日本がTPP交渉に参加して以降の政府交渉官の出張旅費・会議費について、関係する5省庁に情報開示請求を行いました。その結果、2013年3月~2015年2月末までの2年間で、9億円を超えていることがわかりました。長期化する交渉が、経費を増加させていることがデータから読み取れます。
 5省庁から届いた領収書はなんと1570件。PARC事務所ではボランティアの皆さん、TPP反対運動で御一緒している皆さんにもご協力いただき、一枚一枚を手作業で入力しました!
 この経費の財源は私たちの税金であるわけですが、9億を超す額であるにもかかわらず、交渉内容が一貫して秘密であることは国民からすれば納得いくものではありません。この「コスト」は、果たして日本にとって本当にメリットとなるのか、「ムダ金」に終わるのか、私たちは改めて政府に交渉内容の十分な説明を求めます。

★プレスリリース全文はこちらからご覧いただけます↓↓
http://www.parc-jp.org/teigen/2015/tpp_research20150624.html
リリース後、「東京新聞」「朝日新聞」「ロイター」等で早速取り上げられまし
た!
●東京新聞:「TPP出張費 2年で9億円に 長期交渉で膨張」
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015062502000141.html
●朝日新聞:「TPP出張旅費、9億円」
 http://www.asahi.com/articles/DA3S11824591.html
●ロイター:「TPP交渉の旅行経費など、2年間で9億円超=NPO法人調査」
 http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0ZA36720150624

2015年6月18日木曜日

ゾンビが生き返る!?米国議会の攻防を見て思うこと






 617日(水)、下院の議員運営委員会(ルール委員会)にて、先週いったん否決されたTPA/TAAパッケージ法案の今後の採決をめぐって議論された。TAATPAはセットであり、上院では2つがセットになった法案が採決されたが、下院ではTAAが否決された時点で、パッケージ法案としては否決。すでにTAA法案の方は730日まで採決期間が延長されていた。

昨日、ルール委員会のセッションズ委員長はじめ推進派が考えたのが、「新TPA法案」だ。これは要するに、TAAとセットでは可決できないため、TAATPAを切り離して下院独自の新たなTPA法案をつくる、という目論見。その際に「利用された」のが、「消防士年金法案」という、聞いたこともない法案だ。これはそもそも明日に採決される予定となっていたが、これを突然修正!(もともとの法案にTPA法案を加える形)して、「新TPA法案」とするのだというから驚きだ。何でもアリ、というのはまさにこのことだと思った。要するに、TPA法案を単独で通すために「消防士年金法案」という乗り物が選ばれたという話。ちなみにこの消防士年金法案というのは従来民主党が推進してきた法案で、民主党議員は反対しにくい。その意味では「最善の乗り物」を選んだのかもしれない。

 その「新TPA法案」の採決は、現地時間18日(木)10:0013:00ということ。日本時間の1823:00~深夜2:00くらいの間。もしこの「新TPA法案」が可決されれば、上院に送られて再度採決されることになる。上下両院の民主党議員は、TAAが必ず可決するという「保証」がなければ、単独の「新TPA法案」には賛成できないと言う(当然だろう)。この要請を受け、ベイナー下院議長とマコネル上院院内総務は昨日、「TPATAAの両法案を可決して大統領の下に送ると確約する」との共同声明を出した。ベイナーは下院民主党のTPA賛成派議員に対して「TAAは通る」と言っている模様。TAA法案自身も、7月末よりも早い時点のどこかで再採決され、新TPA法案とは別の法案として上院に送られると見られている。上記の不安を払しょくするためにも、おそらく上院ではTAA法案が先に採決され、その後に「新TPA法案」というようになるだろう。何とも複雑で、ルールがコロコロ変わるのでついていけない。米国の国会議員自身も、「さて、今投票した法案だけど、いったい何の法案だったんだっけ?」という感じではないだろうか。

 こうした動きは、米国でこれからも日々刻々と変わるだろう。基本的には、TPA法案について私たちが何かすることはできない。あるとすれば米国の市民社会の仲間たちに熱いエールを送ることくらいだろうか。法案が次々とセットになったり単独になったりとめまぐるしい動きは確かに「おもしろい」のだが、しかし注意しなければならないのは、オバマ大統領とTPA推進派は「どんな手を使ってでもTPAを通す」ことを決意していることだ。そのむき出しの欲望は目を覆いたくなるし、民主主義という観点から言えばさすがに「一線を超えている」。推進派は本性を暴露して、ゾンビ化したTPA法案を生き変えさせようと死に物狂いでうごめいているわけだが、私たちはただそれを対岸の火事として傍観していてよいわけではない。

 日本では甘利大臣が「アメリカには責任を持ってTPA法案を通してもらいたい」などと発言している。すでに「TPP漂流はアメリカのせい」という責任のなすりあいが始まっているかのようだ。米国の議会でのやりとりは確かに醜態であるのだが、ではそんな米国に誘われるままに交渉に入り、説明も不十分なまま聖域を放り出す危険や、国会決議も守れていない危険を冒しているのは、いったいどこの国なのか?

 私たちは日本政府に改めて、「こんな茶番の交渉、米国の勝手極まる交渉はもうやめよう」と強く訴えなければならない。米国議会を見ながら、強く感じることである。