2010-01-26(Tue)
ソ・ラ・ノ・ヲ・ト #04 梅雨ノ空・玻璃ノ虹
カナタ&ノエルのお買い物ツアー。
玻璃の響きと喇叭の響き。
梅雨の雨空の下、格納庫にてタケミカヅチを整備中のノエルは何やらパーツを組み込んで起動テストを行っています。するとそこへ響き渡る下手くそな喇叭、起動シーケンスにカナタの喇叭が被ると途端にモニタは赤く光ってエラー表示へ、何だか調子外れなカナタの喇叭のせいで起動できないみたいな(笑。「どうして上手くいかないんだろう?」と頭を抱えるカナタに同意のノエル、振り返った顔に当てたレンズが今回のキーアイテムで、どうやらこのパーツが上手く働かないため起動エラーが出てしまうようです。どうして上手くいかないんだろう?
上手くいかない二人の今日の任務は必要物資のお買い物です。出発前の持ち物チェックでカナタをからかうリオ、前回の件もあってすっかり馴染んで仲良しに。微笑ましい光景を見た隊長はリオを「心配性のお母さんみたい」と評し、しかし二人の出発を見送って手を振る隊長をリオは「まるでお母さんだな」と…そんなお母さんズの言葉を端で聞いてるクレハの表情が良し(笑
道中の道端に現れる様々な物に興味津々のカナタ。祭りの日の華やかさとはまた違った味わいの街並みにカナタは任務中だというにはしゃぎまくりです。子供か!?(笑。するとノエルが急停車。その勢いでカナタはフロントガラスにゴッツンコ、これではシートベルトの意味がありません。まあキューベルワーゲンにそういう安全性を求めるのも筋違いな話なのでどうでもよろしいか。
安全運転の見地より停車してから道中の説明を始めるノエルは隊長の言い付けを守る従順な部下…その後の流れを見ると単に融通が利かないだけの子みたいですね(笑。一通りの説明に感激のカナタはノエルに手を重ね、突然のスキンシップに思わず「え?」と引くノエル。まだまだカナタに気を許していない様子が窺えます。
ナオミさんの店にてガラス細工を前にはしゃぐカナタの奥にてナオミさん&ノエルの会話。「それじゃ次の出荷は来月?」、その次のカットで札束を出すナオミさん…これらは何を意味するのか。
カナタはイルカのガラス細工をえらく気に入って指でピーン、そういや今回は音階をA♭(アーフラット)と言っていました。音階のABCをアーベーツェーと読むのは珍しくないけれどもこないだは「エーフラット」って言ってたよねえ。こういう習慣はそう短期間で変わるものでもないだろうに…脚本ミス? ふりがなが無ければ普通は「エーフラット」と読んでしまうのでその辺のミスかしらん。
この時代の海には生き物がいない。要するに海が死滅するほどの戦争があったということでしょう。陸上の様子も場所によってかなり荒廃が進んでおり、そんな中で生き残っている人たちは意外と少ないのかもしれません。
店の壁にこれまた例のタイルが貼られています。何か意味があるのだろうか。
リストにチェックを入れながらのお買い物。ペンを持つ手もそうですが、コクピットでの様子を見てもノエルは左利きみたいですね。だから何だと言わないで。リストの内容を書き起こそうとも思ったけれどようわからんのでパス。お釣りの275万円は…古典的ギャグがこんな所で生きてますか!(笑。渡された硬貨を見ると1円・10銭・5銭の別、既出のように通貨は円ですが貨幣価値がどの程度なのかようわかりません。ともあれ通貨が「日本円」ということは、経緯はともかくここは「日本領」である可能性が高い。カナタを見ると田舎へ行くほど日本の風習が残っているようで…つまり結構な過去に日本が征服した地に新しい勢力が攻め込み、諸文化が融合する程度の期間一進一退が続き、しかし新勢力が及ばずに休戦中ってな時代背景か?
広場にて戦争孤児との一件。シスターたちとすっかり打ち解けているカナタの一方で、ノエルは男の子に敵視されておりました。軍服を着た人間はみんな親の敵、転んだ男の子に伸ばした手をひっぱたかれて悲しい表情のノエルが切ない。先程の車上シーンに続いてここでも「手」がノエルの感情描写の小道具として使われています。
全力で拒絶された悲しい気持ちを表すように雨が降り始め、前髪から滴る雨粒はまるでノエルの涙のようでした。落とした紙袋から転がった缶詰は魚の缶詰みたいですけれども…海に生き物いないんじゃないのか?
いろいろ巡った後にガラス工場へ。真っ赤に熱せられたガラスが見る見る膨らんで形を変えていく様子にカナタの瞳はガラス以上にキラキラしてます。棚に並んだ型にも興味津々…ここでガシャンとやってしまうのはじつにオミソであります(笑。オミソが騒がしい一方で職人のカールさん(いかにもな名前だ)とノエルは仕事の話に集中、タケミカヅチの光学センサーのレンズの複製を注文しているけれど一向に上手くいかないとか。見たところこの設備で精密なレンズを作れるとは思いにくいけれど「マイスター」の称号は伊達ではない…ということにしときましょう。成分の調合ももちろんですが、この手作業にて形状をミクロン以下単位で複製するのはまさに神業としか。
「昔、人を殺した機械は怖いと思う?」
対するカナタは率直に「怖い」と言いますが続けて「もっと怖いのは機械じゃなくてそれを使ってた人たち」と。どれほど素晴らしい発明も使う人によって毒にも薬にもなるのは歴史が証明しており、しかし世間知らずの田舎娘たるカナタはその真理をズバリ言い当てています。まあこの辺はシナリオのテンプレ、使い古された展開と言えなくもありませんが…喇叭を例に話すカナタはなかなか好印象でした。確かに「同じ楽器なのに何故あの人はあんな上手く弾けるんだ!?」と思う事はしばしば、わかるよカナタその気持ち(笑。このシーンでもカナタはノエルの手を握りながら言葉を伝えています。その思いはノエルにも伝わったようで…カナタに対し心を許した証しか、話が終わるとスイッチが切れたようにバタリ。
「才能ってのは諦める奴の最低の言い訳だ」
これはねえ、難しい話ですよ。某レールガンと違ってこちらは現実味のある話ですが、「努力すれば努力の分だけ結果を得られる」というものではありませんし、10倍の努力をしても追いつけない相手に「才能の差」を感じるのは果たして「最低の言い訳」なのか?と思わなくもありません。でね、やっぱりこのセリフって「持ってる人」が言うセリフなのですよ。カールさん曰く「どんだけ凄かろうが結局同じ人間が作った物なら俺たちに作れない訳がねえ」、それを返すと「俺ができたんだからお前にできない訳がねえ」と。ところが世の中には「いくらやってもできない人」がいるのです。
成長過程の少年少女に檄を飛ばすには打って付けのセリフなのですが、現実はそれほど甘くないと言いましょうか…努力に比例して結果が出るなら高校球児は全員イチローになってしまうわけで、しかしそうならないのは結局「才能の差」ではないかと思う私は負け組だろうか。
成長を意識しすぎて、力みすぎて返って上手くいかないってのはよくあること。もっと自然に自分らしく登っていけばいい、力を抜いてあるがままに任せるべしってのは行き詰まっていたカナタへ良いヒントになったようです。
足早に流れる雲の表現、そこへカナタの喇叭が響くと雲間から太陽が顔を出し、一面パァッと明るく変わっていく見せ方は綺麗すぎました。いきなり上手くなりすぎじゃね?とツッコみたいのは山々ですが…ここで上手く吹けないとお話にならないので以下略。とはいえ最初の一吹き二吹きくらいはヘタっても良かったような。そんな尺は無いかもですけど。
響き渡る喇叭の音と、雨上がりの梅雨空にかかる虹。今回のサブタイトルである「玻璃ノ虹」の玻璃(ハリ)とはガラスの異称で、なるほど上手いサブタイだなあとちょっと感心。
カナタの鋭敏な聴覚によって合致するレンズを探す、というのは少々強引な気がしますがファンタジーなのであえてツッコまず。オシロスコープ並みの聴覚を持ったカナタに乾杯しときましょう。
基地へ戻るとカナタの選んだレンズを使ってさっそく起動テスト。見事起動して笑顔のノエル、そしてここでも繋がれた手が印象的でありました。最初は戸惑っていたノエルが徐々にカナタを受け入れていく過程を「手」の表情で見せた今回は地味ながら良かったと思います。
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玻璃の響きと喇叭の響き。
梅雨の雨空の下、格納庫にてタケミカヅチを整備中のノエルは何やらパーツを組み込んで起動テストを行っています。するとそこへ響き渡る下手くそな喇叭、起動シーケンスにカナタの喇叭が被ると途端にモニタは赤く光ってエラー表示へ、何だか調子外れなカナタの喇叭のせいで起動できないみたいな(笑。「どうして上手くいかないんだろう?」と頭を抱えるカナタに同意のノエル、振り返った顔に当てたレンズが今回のキーアイテムで、どうやらこのパーツが上手く働かないため起動エラーが出てしまうようです。どうして上手くいかないんだろう?
上手くいかない二人の今日の任務は必要物資のお買い物です。出発前の持ち物チェックでカナタをからかうリオ、前回の件もあってすっかり馴染んで仲良しに。微笑ましい光景を見た隊長はリオを「心配性のお母さんみたい」と評し、しかし二人の出発を見送って手を振る隊長をリオは「まるでお母さんだな」と…そんなお母さんズの言葉を端で聞いてるクレハの表情が良し(笑
道中の道端に現れる様々な物に興味津々のカナタ。祭りの日の華やかさとはまた違った味わいの街並みにカナタは任務中だというにはしゃぎまくりです。子供か!?(笑。するとノエルが急停車。その勢いでカナタはフロントガラスにゴッツンコ、これではシートベルトの意味がありません。まあキューベルワーゲンにそういう安全性を求めるのも筋違いな話なのでどうでもよろしいか。
安全運転の見地より停車してから道中の説明を始めるノエルは隊長の言い付けを守る従順な部下…その後の流れを見ると単に融通が利かないだけの子みたいですね(笑。一通りの説明に感激のカナタはノエルに手を重ね、突然のスキンシップに思わず「え?」と引くノエル。まだまだカナタに気を許していない様子が窺えます。
ナオミさんの店にてガラス細工を前にはしゃぐカナタの奥にてナオミさん&ノエルの会話。「それじゃ次の出荷は来月?」、その次のカットで札束を出すナオミさん…これらは何を意味するのか。
カナタはイルカのガラス細工をえらく気に入って指でピーン、そういや今回は音階をA♭(アーフラット)と言っていました。音階のABCをアーベーツェーと読むのは珍しくないけれどもこないだは「エーフラット」って言ってたよねえ。こういう習慣はそう短期間で変わるものでもないだろうに…脚本ミス? ふりがなが無ければ普通は「エーフラット」と読んでしまうのでその辺のミスかしらん。
この時代の海には生き物がいない。要するに海が死滅するほどの戦争があったということでしょう。陸上の様子も場所によってかなり荒廃が進んでおり、そんな中で生き残っている人たちは意外と少ないのかもしれません。
店の壁にこれまた例のタイルが貼られています。何か意味があるのだろうか。
リストにチェックを入れながらのお買い物。ペンを持つ手もそうですが、コクピットでの様子を見てもノエルは左利きみたいですね。だから何だと言わないで。リストの内容を書き起こそうとも思ったけれどようわからんのでパス。お釣りの275万円は…古典的ギャグがこんな所で生きてますか!(笑。渡された硬貨を見ると1円・10銭・5銭の別、既出のように通貨は円ですが貨幣価値がどの程度なのかようわかりません。ともあれ通貨が「日本円」ということは、経緯はともかくここは「日本領」である可能性が高い。カナタを見ると田舎へ行くほど日本の風習が残っているようで…つまり結構な過去に日本が征服した地に新しい勢力が攻め込み、諸文化が融合する程度の期間一進一退が続き、しかし新勢力が及ばずに休戦中ってな時代背景か?
広場にて戦争孤児との一件。シスターたちとすっかり打ち解けているカナタの一方で、ノエルは男の子に敵視されておりました。軍服を着た人間はみんな親の敵、転んだ男の子に伸ばした手をひっぱたかれて悲しい表情のノエルが切ない。先程の車上シーンに続いてここでも「手」がノエルの感情描写の小道具として使われています。
全力で拒絶された悲しい気持ちを表すように雨が降り始め、前髪から滴る雨粒はまるでノエルの涙のようでした。落とした紙袋から転がった缶詰は魚の缶詰みたいですけれども…海に生き物いないんじゃないのか?
いろいろ巡った後にガラス工場へ。真っ赤に熱せられたガラスが見る見る膨らんで形を変えていく様子にカナタの瞳はガラス以上にキラキラしてます。棚に並んだ型にも興味津々…ここでガシャンとやってしまうのはじつにオミソであります(笑。オミソが騒がしい一方で職人のカールさん(いかにもな名前だ)とノエルは仕事の話に集中、タケミカヅチの光学センサーのレンズの複製を注文しているけれど一向に上手くいかないとか。見たところこの設備で精密なレンズを作れるとは思いにくいけれど「マイスター」の称号は伊達ではない…ということにしときましょう。成分の調合ももちろんですが、この手作業にて形状をミクロン以下単位で複製するのはまさに神業としか。
「昔、人を殺した機械は怖いと思う?」
対するカナタは率直に「怖い」と言いますが続けて「もっと怖いのは機械じゃなくてそれを使ってた人たち」と。どれほど素晴らしい発明も使う人によって毒にも薬にもなるのは歴史が証明しており、しかし世間知らずの田舎娘たるカナタはその真理をズバリ言い当てています。まあこの辺はシナリオのテンプレ、使い古された展開と言えなくもありませんが…喇叭を例に話すカナタはなかなか好印象でした。確かに「同じ楽器なのに何故あの人はあんな上手く弾けるんだ!?」と思う事はしばしば、わかるよカナタその気持ち(笑。このシーンでもカナタはノエルの手を握りながら言葉を伝えています。その思いはノエルにも伝わったようで…カナタに対し心を許した証しか、話が終わるとスイッチが切れたようにバタリ。
「才能ってのは諦める奴の最低の言い訳だ」
これはねえ、難しい話ですよ。某レールガンと違ってこちらは現実味のある話ですが、「努力すれば努力の分だけ結果を得られる」というものではありませんし、10倍の努力をしても追いつけない相手に「才能の差」を感じるのは果たして「最低の言い訳」なのか?と思わなくもありません。でね、やっぱりこのセリフって「持ってる人」が言うセリフなのですよ。カールさん曰く「どんだけ凄かろうが結局同じ人間が作った物なら俺たちに作れない訳がねえ」、それを返すと「俺ができたんだからお前にできない訳がねえ」と。ところが世の中には「いくらやってもできない人」がいるのです。
成長過程の少年少女に檄を飛ばすには打って付けのセリフなのですが、現実はそれほど甘くないと言いましょうか…努力に比例して結果が出るなら高校球児は全員イチローになってしまうわけで、しかしそうならないのは結局「才能の差」ではないかと思う私は負け組だろうか。
成長を意識しすぎて、力みすぎて返って上手くいかないってのはよくあること。もっと自然に自分らしく登っていけばいい、力を抜いてあるがままに任せるべしってのは行き詰まっていたカナタへ良いヒントになったようです。
足早に流れる雲の表現、そこへカナタの喇叭が響くと雲間から太陽が顔を出し、一面パァッと明るく変わっていく見せ方は綺麗すぎました。いきなり上手くなりすぎじゃね?とツッコみたいのは山々ですが…ここで上手く吹けないとお話にならないので以下略。とはいえ最初の一吹き二吹きくらいはヘタっても良かったような。そんな尺は無いかもですけど。
響き渡る喇叭の音と、雨上がりの梅雨空にかかる虹。今回のサブタイトルである「玻璃ノ虹」の玻璃(ハリ)とはガラスの異称で、なるほど上手いサブタイだなあとちょっと感心。
カナタの鋭敏な聴覚によって合致するレンズを探す、というのは少々強引な気がしますがファンタジーなのであえてツッコまず。オシロスコープ並みの聴覚を持ったカナタに乾杯しときましょう。
基地へ戻るとカナタの選んだレンズを使ってさっそく起動テスト。見事起動して笑顔のノエル、そしてここでも繋がれた手が印象的でありました。最初は戸惑っていたノエルが徐々にカナタを受け入れていく過程を「手」の表情で見せた今回は地味ながら良かったと思います。
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