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新 謎解きはディナーのあとで2

著者:東川篤哉

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BOOK☆WALKER

前5編を収録した連作短編集。
良くも悪くも安定のシリーズと言えるこの作品なのだけど、今回は意外と道化役であるはずの風祭警部が活躍しているような気がする。まぁ、最後の最後で外している、というのは確かだとしても。
1編目『笠原家の殺人』。資産家である笠原家。その離れで当主が殺害された。離れの扉の鍵はかかっており開いている窓には格子が。そして、遺体の側には大皿が割れた状態で落ちており、その落ちる音で事件の存在に気付いた……。大皿をどう扱うのか、というのが大きな問題となるのだけど、風祭警部の推理、凄く惜しいんだよな。風祭警部の推理と、実際のところの差異。それを埋めることで特定される犯人。上手いアイデアだな、という感じ。
2編目『灰色の血文字』。アイドル事務所の社長が殺害された。現場には、血文字が残され、社長が持っていたはずの煙草がなくなっていた。タイトルからして、血文字、ダイイングメッセージが大きなポイントとなるのかと思ったらまさかの展開。尊大な態度の社長。けれども、この人物は……というイメージの塗り替えが見事だった。
4編目『服を脱がされた男』。荒川の河川敷で発見されたのは全裸にされた男性の遺体。被害者は午後10時くらいまで喫茶店にいたことが確認されている。そして、なぜ、男は全裸にされていたのか? という謎。心理トリックを上手く用いたアリバイトリック。しかし、それが裏目に出てしまったという真相。そして、それが全裸にされる、という結末。悪いことをしちゃいけないな、という教訓を含めての悲惨な結末だったと感じる。
まぁ、最初に書いたように結構、風祭警部が頑張っているな、というのがまず最初に思ったこと。その上で、今回は、トリックそのものは解明しても、実際にそれが行われた、という根拠がない……というような形のエピソードが多かったことが印象的。あくまでも「理屈上は」止まり、というか。ある意味で、安楽椅子探偵の推理の限界、というのも示しているように感じる。

No.7230

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Tag:小説感想東川篤哉

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