2024年
04月
26日 17:11
3
コメント
「社会保険料勘定に金融所得を追加」の愚策への対策には新NISAとバリスタFIREが有効か?
(出典)自己防衛おじさん//橋本鉄平 @tpyclub
いや~久々に投資関連のタイムラインが(怒りで)盛り上がってますね。原因はもちろんこの報道です(↓)。
(参考リンク↓)
「金融所得で保険料増を検討 医療介護、不公平見直し」 ~共同通信~ より
「金融所得を巡る社会保険料算定の不公平是正、自民PTが検討開始」 ~Yahooニュース(ソースは毎日新聞)~ より
が、思い起こせば以前にも似た検討(案)が報道されていました。その時に書いたエントリーがこちら(↓)。
(過去エントリー↓)
「『新しい資本主義』の新たな愚策に警戒する」
当時の財務省(財政制度分科会)の資料を投資家のいなげ氏がポストしてくれていますね(↓)。
今回の報道は去年11月の財政制度分科会での提示に沿ったものと思量(おそらく国保・後期高齢者医療制度の話)。
— いなげ (@inageojisan) April 25, 2024
その資料の下部に、NISAは社会保険料の算定から除くべき旨を注記しているので、投資家にとって最悪の事態になるとは言えなさそう。 https://t.co/ENcolQvRbq pic.twitter.com/5xL9V65ytU
この時は75歳以上の後期高齢者のみを対象としていたようですが、今回の報道では全世代が対象と読み取れます(少なくても後期高齢者に限定していない)。
私のブログ記事でも「おそらく次のターゲットは金融所得の多い60代以下の世代です」と書いていますね。我ながら鋭い読みでした(笑)。
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さて、本施策については2028年までに可否を検討とのことで、現時点で確定している事実は無い訳ですが、報道やX上の皆さんのポスト等から、私なりに実現しそうな法案内容を推測してみました。それがこちらです(↓)。
<社会保険料勘定に金融所得を追加する法案の予想>
1.全世代を対象(2022年の報道に対し、今回の報道では後期高齢者のみと言及していない為)。
2.国民健康保険加入者のみ対象(保険料を雇用主と折半する被用者保険加入者(※)の保険料勘定に金融所得を追加するのは相当に無理がある)
※被用者保険加入者:サラリーマンなどの被用者やその扶養家族を対象にした健康保険のこと。
3.NISA口座は対象外(希望的観測だが、ここは2022年の原案を周到すると予想)
とまぁ、こんなところに落ち着くのではないでしょうか?もちろん上記予想が外れても一切の責任は負いかねます(笑)。
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上記を前提として、現時点でのアーリーリタイア済みの人やFIRE民がとれる対策を考えてみました。
対策①:資産運用はシンプルにNISAとiDeCoだけで完結させる。
多くの人におすすめ出来る対策です。
現時点ではNISA口座は今回の社保料勘定の対象外になりそうです。iDeCoも年金という特性からおそらく影響は無いでしょう(そもそもiDeCoには出口で退職所得か年金所得、あるいはその両方に課税される仕組みがありますからね)。
(過去エントリー↓)
「iDeCo出口戦略考その2:新NISA枠に余裕があれば60歳一時金受取り+年金もアリ?」
私も以前のエントリーのとおり、課税口座(特定口座)での資産運用からは撤退することを決意しており、今後数年間で特定口座のETFを全て売却→新NISA口座で投資信託に買い換える作業を実施中です。
今考えれば我ながらプロアクティブな行動でした。
(過去エントリー↓)
「【宣言】今後課税口座での追加投資は一切行いません!」
対策②:年間70万円以上のパート(バイト)収入を得て、パート勤務先の社会保険に加入する。
見過ごされがちなのですが、個人的にこれも割と現実的な対応策だと思います。
ご存じの通り、現時点のパート従業員の社保加入条件は、「週20時間以上・年間収入106万円」ですが、これが2025年以降には「年収70万年前後」になると見込まれます。
(参考リンク↓)
「2025年に「扶養」が廃止!? 年収の壁が「70万円」まで下がったとき、どう働くのがベストなのか解説」 ~Yahooニュース(ソースはファイナンシャルワールド)
年収70万ということは月収5.8万円相当です。ちょうとバリスタFIRE民にとって最適な収入レベルだと思いませんか?
職種にもよりますが、週2日程度働ければ達成できるレベルだと思います。
前述のように労使折半している被用者保険加入者の保険料勘定に金融所得を含めるのは無理筋ですから、これは少し働いて社会との接点を保ちたい、あるいは資産の目減りをカバーしたいバリスタFIRE民やサイドFIRE民におすすめの防衛策です。
対策③:資産管理会社(マイクロ法人)を作る。
知識とやる気がある人は、マイクロ法人を作成して節税(保険料を節約)する、という手もありますが、個人的にはそこまでやるメリットは感じませんね。
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さて、今回は社会保険料の勘定に金融所得を追加する場合の現実案と、主にアーリーリタイアした人やFIRE民がとれる対策を考えてみました。
少子高齢化が絶賛進行中の日本、(どんな形であれ)今後の社保料負担増は避けられません。
またこういった大きな動きに個人レベルで抗うことはほぼ不可能なので、まずは現実的な線を仮定し、自己防衛手段を考えるしかないですね。
それが今回の場合、投資は非課税口座に限定し、必要であれば最低限の労働を行う、という対策になるのかもしれません。
一方で経済学者の池田信夫氏が指摘するように、金融所得の源泉徴収と社会保険費勘定が「不公平」というならば、後期高齢者の医療費1割負担の方がよほど「不公平」でしょう(↓)。
これが話題になっているが筋が悪い。「不公平」は75歳以上だけ医療費を9割引していることなので、それを是正するのが先だ。
— 池田信夫 (@ikedanob) April 25, 2024
金融所得で保険料増を検討 医療介護、不公平見直し | 共同通信 https://t.co/R2fQuolLSx
まずはここを是正してからでしょう。話はそれからだ!(笑)
(おわり)
自己防衛の為に、自分で社会保障についてしっかり勉強しましょう(↓画像は楽天リンク)。
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