「103万円の壁」問題の影に隠れて、令和7年度税制改正大綱で明らかになったiDeCoのステルス改悪が話題です(↓)。
税制改正で「イデコ改悪」と不満広がる 65歳で受けられた税優遇が70歳に引き上げhttps://t.co/PxybuEuQAC
— 産経ニュース (@Sankei_news) December 26, 2024
20日に決定した令和7年度の与党税制改正大綱で、公的年金に上乗せできる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の見直し内容の一部が〝改悪〟だとSNS上で話題になっている。
(参考リンク↓)
「税制改正で「イデコ改悪」と不満広がる 65歳で受けられた税優遇が70歳に引き上げ」 ~産経新聞~ より
(過去エントリー↓)
「国民民主党の所得税控除額引き上げ(103→178万円)政策には期待しかない」
詳細は記事を読んで欲しいのですが、ざっくりと纏めると以下のとおりです。
●退職所得(iDeCo含む)控除の『重複期間対象外』のリセット年数が、
①iDeCO受給→会社からの退職金受領の順:5年→10年に改悪
②会社からの退職金受領→iDeCo受給の順:19年で変更無し
今回の改悪で、これまでの「60歳でiDeCoを一括受給(退職所得控除を使用)→65歳(重複期間対象外のリセット)で会社からの退職金を受領」という節税スキームが使えないことになります。
65歳で定年を見込んでいる、ごく一般的な会社員には実質的な増税です。
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幸い、私は2017年に45歳でアーリーリタイアした際に退職金を受領しているので、②退職金→iDeCoの順、いわゆる19年ルールに該当します。よって、今回の改悪の影響はありません(20年経過後の65歳でiDeCoを一括受給すれば重複期間はリセットされる)。
(過去エントリー↓)
「2022年iDeCo改正について整理&対応を考える」
だがしかし!です。
今後も、所謂‟インナー(自民税制調査会)”の議論だけで、いとも簡単にiDeCo廻りの税制が改悪されるのであれば、重複期間対象外がリセットされる65歳まで待たず、(多少税金を払っても)最短の60歳で一括受給した方が良い気がしてきました。
過去エントリーの試算を流用し、60歳で一括受給した場合の退職所得税を計算してみます(↓)。
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①退職所得控除額の計算(20年以上の場合):800万円+70万円 × (26年※-20年)=1220万円
※45歳で退職金約400万円を受領した為、みなし勤続年数(400÷40万=10年間)をiDeCo拠出期間(36年)から重複分として差し引く
②退職所得の計算:(iDeCo金額2400万円-①退職所得控除1220万円=1180万円)×1/2=590万円
③税額の計算:590万円×20%(退職所得330~695万円の税率)=118万円
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(過去エントリー↓)
「iDeCo出口戦略考その2:新NISA枠に余裕があれば60歳一時金受取り+年金もアリ?」
(参考リンク↓)
「退職金と税」 ~国税庁のウェブサイト~ より
結果、税額118万円(税率4.9%)という非常に悩ましい金額ですが、(来年には53歳になるので)60歳まであと7年です。それまでにこれ以上の制度改悪はないのでは?という甘い予想です(笑)。
なお、早めに確定させたiDeCo資金はそのまま新NISAにスライドさせ、1,800万円の枠を埋めきりたいと思います(おそらく7年後までにNISA枠を埋めきれていない為)。
(過去エントリー↓)
「2025年からNISA積立て投資のテーパリングを開始する」
そして目論見通りにいけば、60歳以降は基本、投資に係る課税は無し(無税)となります(スッキリ!)。
果たして本当に思惑どおり行くか、乞うご期待です(笑)。
(おわり)
iDeCoは出口の課税方法が複雑なので、信頼できる書籍で情報をアップデートしましょう(↓)。
「[改訂新版]一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門(Amazonリンク)」
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