fc2ブログ

【映画】『さんかく窓の外側は夜』(2021年) 霊が見える書店員と冷静な除霊師、二人が挑む心霊事件!恐怖と謎が絡むスリリングなミステリー! | ネタバレあらすじと感想

flyer_1_20241009074956600.jpg

◆映画『さんかく窓の外側は夜』の作品情報

【監督】森ガキ侑大

【脚本】相沢友子

【原作】ヤマシタトモコ

【出演】岡田将生、志尊淳、平手友梨奈、マキタスポーツ他

【配給】松竹

【公開】2021年1月

【上映時間】102分

【製作国】日本

【ジャンル】ミステリー、ホラー

【視聴ツール】Prime Video

◆キャスト
三角康介:志尊淳
冷川理人:岡田将生
迎律子:平手友梨奈
非浦英莉可:マキタスポーツ
半澤日路輝:筒井道隆
石黒哲哉:新納慎也

◆ネタバレあらすじ
本作、映画『さんかく窓の外側は夜』は、霊が見える青年と冷静な除霊師が心霊事件を通じて、深い絆と過去の闇に向き合うスリリングなミステリーホラーです。物語は、異能力を持つ二人が不気味な事件に巻き込まれ、次第により大きな謎と恐怖に迫っていく展開が魅力となっています。
0338a42b17261e12.jpg

物語の主人公である三角康介(志尊淳)は、幼い頃から霊を見る能力を持っており、そのために周囲から距離を置かれ孤独な日々を送っていました。彼はこの能力を恐れ、できるだけ無視しようとしていましたが、ある日、書店で働いているときに冷川理人(岡田将生)と出会います。冷川はプロの除霊師であり、霊的な存在に関して冷静で、三角とは対照的な性格を持っています。
冷川は三角の能力に気付き、彼に協力を求めます。二人はともに心霊事件を解決するためのパートナーとなり、互いの能力を活かして数々の除霊依頼に応じることになります。冷川は「霊を恐れる必要はない」と三角に教え、彼の力を引き出そうとしますが、三角は自分の力を完全に受け入れることができず、恐怖と葛藤し続けます。
そんな中、二人が関わることになるのが、迎律子(平手友梨奈)という謎めいた少女に関連する事件です。律子は自身も強力な霊的な力を持ち、周囲に不吉な出来事を引き起こしているとされる人物です。彼女が巻き起こす怪奇現象は、ただの心霊現象を超え、より深い闇と人間の心の奥底に潜む何かを感じさせるものです。彼女の目的は何なのか、そして彼女が抱える秘密とは何なのか、三角と冷川は徐々にその核心に迫っていきます。]
BjQ.jpg

物語が進むにつれて、三角と冷川はただの心霊事件ではない、大きな陰謀や過去に隠された闇と直面することになります。特に、律子が関わる事件の背景には、彼女が抱える家族や過去のトラウマが深く関与しており、それが現実世界と霊的世界の境界を曖昧にし、二人をさらに危険な状況に追い込んでいきます。事件を追う中で、三角は自らの過去とも向き合うことを余儀なくされ、次第に自分の力を受け入れ始めます。
映画は、心霊的な恐怖だけでなく、人間関係の描写も深く掘り下げられています。三角と冷川の間には次第に信頼関係が芽生え、二人はただのパートナー以上の絆で結ばれていきます。
2020___E698A0E794BBEFBD9CE38195E38293E3818BE3818FE7AA93E381AEE5A496E581B4E381AFE5A49C.jpg

冷川は三角にとって師匠のような存在でありながらも、彼自身もまた過去のトラウマを抱えており、それが物語の後半で明らかになっていきます。また、迎律子という少女の存在が、物語全体にミステリアスで緊張感のある雰囲気を与え、彼女の行動や言葉が観客にさまざまな解釈を促す要素となっています。
最終的に、三角と冷川は迎律子と彼女を取り巻く事件の真実にたどり着きますが、その過程で二人は自らの信念や生き方に大きな変化をもたらされます。冷川がなぜ除霊師として生きるのか、三角がなぜ霊が見えるのかという問いに対する答えが明らかになり、観客に深い余韻を残します。
映画の結末は、単純な「恐怖」の解決ではなく、人間の心の奥底にある「闇」や「痛み」、そしてそれを乗り越えるための「絆」といったテーマが描かれています。三角と冷川の成長や、迎律子の背負った悲しみが交錯する中で、観客は恐怖だけでなく、感動や希望も感じることができる構成になっています。
『さんかく窓の外側は夜』は、ホラーやミステリーの要素がありつつも、キャラクターたちの心の変化や絆に焦点を当てた物語であり、観る者に様々な感情を呼び起こす作品です。霊的な恐怖と人間ドラマが見事に融合したこの映画は、心霊ものが好きな人だけでなく、心理的な深みを楽しみたい観客にも強くおすすめできる作品です。

◆考察と感想
本作、映画『さんかく窓の外側は夜』は、一見すると心霊ホラーのように見えますが、実際には人間の心理や心の闇に迫る非常に知的な作品です。単なるホラーの枠を超えて、人間の内面を探求し、登場人物たちの関係性や葛藤が深く描かれています。特に、霊という存在を通じて描かれる「見えないものへの恐怖」と「心の中に潜む闇」という二重のテーマが、物語に独特の奥行きを与えています。
まず、三角康介というキャラクターが非常に興味深いです。彼は幼い頃から霊が見えるという能力を持っていますが、それを恐れ、拒絶しています。この霊を見る能力は、単なる「特異体質」として捉えることもできますが、実はそれ以上に「自分自身と向き合う勇気」を象徴しているとも言えます。三角は霊を避けようとすることで、自分の弱さや恐怖からも目を背けている。しかし、冷川理人との出会いによって、彼はその能力を受け入れざるを得なくなり、同時に自身の内面的な成長を促されるのです。
冷川理人というキャラクターもまた、非常に知的でミステリアスな存在です。彼は霊に対して冷静で、理論的に対処しますが、実は彼自身も過去に大きなトラウマを抱えており、その冷静さの裏に深い感情が隠れています。冷川の言葉や行動は、一見理屈っぽく見えるかもしれませんが、彼が持つ哲学的な視点は、心霊現象に対する単純な恐怖ではなく、もっと根源的な「存在の不安」に焦点を当てているように感じます。彼のクールさが、物語全体の知的なトーンを支えていますね。
そして、迎律子というキャラクターは、この物語のキーとなる存在です。彼女はただの「悪役」や「不気味な存在」ではなく、彼女自身もまた深い悲しみと過去を背負っています。律子が引き起こす現象や行動は、単なる怪奇現象を超えて、人間の感情や関係性に強く影響を与えています。彼女が持つ力は、恐怖の象徴でありながらも、観る者に「なぜ彼女はこうなったのか?」という疑問を投げかけます。彼女の存在が物語に与える不安定さが、観客に深い思索を促すポイントです。
この映画の魅力は、ただの「怖さ」に留まらないところです。霊というものが、実は登場人物たちの心の暗部や未解決の問題を具現化しているように感じられます。霊的な現象が進行するにつれて、三角や冷川は、自分たちの心の中にも目を向けざるを得なくなり、それが彼らの成長物語にも繋がっています。ホラー映画でありながら、心理的なドラマとしても非常に楽しめる作品です。
また、ビジュアルや音楽の使い方も巧妙です。光と影のコントラストが強調され、キャラクターたちが持つ内面的な葛藤や不安を視覚的に表現しています。静かな場面でも緊張感が漂い、その緻密な演出が物語の深みを増しています。観ている側としても、ただのジャンプスケア的な「驚かせる怖さ」ではなく、じわじわと迫ってくる心理的な恐怖を感じさせられます。
総じて、『さんかく窓の外側は夜』は、単なるホラー映画として楽しむこともできますが、心の中の見えない恐怖や、登場人物たちの心理的な葛藤を掘り下げて観ると、さらに多層的な魅力を発見できる作品です。恐怖というのは、外からやってくるものだけではなく、内面にも潜んでいる。それに気づかせてくれるこの映画は、知的かつ深遠なエンターテインメントと言えるでしょう。




評価点   74点
お薦め度  74点


2021年  102分  日本製作

 
↓↓↓応援をお願いします。ポチっとな♪♪
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村
関連記事

コメント 0

There are no comments yet.
★★★+