2023-04-28(Fri)
「権力」 この悩ましきもの
一昨日のながーい記事で、私はこのように書いた。(http://sensouhantai.blog25.fc2.com/blog-entry-1886.html)
政治理念は理想を掲げながらも、実際の政策は絵に描いた餅を眺めるのではなく、現実的に確実によくしていくことを考えるべきだ。だから、どんぐりの背比べで良いから、政権交代が必要だ。
要するに、権力をとって政策を実現しないと、絵に描いた餅は食えないよ、ということだ。
権力を取れ。Power to the people! である
これはあまりにも自明なことなので、決して間違っているとは思わない。
しかし、同時に、権力の魔力とでも言うべきものにも目を向けなければならないとは思う。
今日は、ちょっとそのへんをメモしておきたい。
■秦の始皇帝と趙高
ウィキペディアによれば、趙高は始皇帝の寵臣。勤勉で始皇帝にその才能を寵愛され、始皇帝の身辺の雑務を全てこなしたそうだ。
始皇帝から見ればなくてはならない部下だったけれども、下々から見れば権力を一手に握って恐怖政治をおこなった悪者でしかない。始皇帝の没後は、遺書を偽造して自分が面倒を見ていた三男の胡亥を皇帝に据え、宰相を暗殺していよいよ独裁を強めていく。
馬鹿という言葉の語源は、趙高のこんなエピソードだという説がある。
跡継ぎに据えた胡亥を殺して自分が皇帝になろうと考えた趙高は、胡亥皇帝の前に「すばらしい馬を献上します」といって鹿を献上した。胡亥は「これは鹿だろう」と回りの臣下に言ったところ、臣下は「黙るもの」「馬です」「鹿です」と答える3つのグループに分かれた。趙高は、「鹿です」と答えた臣下は、自分のクーデターに従わないだろうと考え、えん罪をきせて殺害してしまった。
という話。
鹿を馬と言い張る趙高がバカなのか、馬ですと趙高にへつらう佞臣がバカなのか、意地をはって鹿だと言って命をおとした臣下がバカなのか、なかなか難しいけれども、権力には大なり小なり、そういう怖さがある。
つまり、権力を握ってしまうと、本人の望むと望まざるとに関わらず、密に群がるアリのようにいろいろ寄ってくるのである。それは仕えることで支配しようとする趙高型のアリもいれば、馬ですとへつらうアリもいる。
そして、上空から見ているだけではその実像は見えないのである。
■小説フランス革命
佐藤賢一氏の「小説フランス革命」を読んだのは、もう数年前になる。文庫だと全18巻の大部であるが、面白すぎて一気に読んだ記憶がある。
小説なのでもちろん脚色があるけれども、全巻を通して際立つのは、ロベスピエールの繊細さと真面目さだ。
ミラボーやダントンなど、豪快な同志と成しとげる革命の活劇は、まさに血湧き肉躍るドラマである。いや、史実であるだけに、ドラマよりも面白い。
しかし、1つの革命が成ると,その後には対立と粛正が待っている。主役が脇役に押しやられ、反革命の烙印を押され、粛正されていく。
それは、決して個人的な残虐さや趙高的な権力欲ではなく、革命に対する非妥協の真面目さが、かつての同志を次々と粛正する悲劇へとロベスピエールたちを押しやっていく。
私がこの小説で一番感じたのは 「真面目は怖い」ということだ。
真面目と権力が結合すると、思いもよらない悲劇が起きる。かもしれない。
■れいわ新選組
れいわ新選組のような、権力としてはまだあまりにも微小な存在に、あれこれ心配する必要はないのかもしれない。
しかしそれでも、国会議員というものは、確実に権力ではある。
その重責を真面目に背負うからこそ、気をつけなければならないこともあるはずだ。
一刻も早くこの世の地獄をなんとかしたい、そう真面目に焦るからこそ、見えなくなるものもあるのではないか。
寄ってくるアリさんたちの実像まで、目が届かないこともあるだろう。
それはたしかに、権力を背負っている当人達の責任ではないかもしれない。
それでもなお、私は「もっとエエ加減にやってほしい」と願ってしまう。
そして、周囲のアリさんのもっと先にいる人々に、しっかりと目を配ってほしい。
いつのまにか特権意識に馴らされていないか、何かがあるたびに振り返ってもらいたい。
国会が忙しすぎてそれができないのなら、国会など少々サボってもいいんちゃう とさえ思う。
これから、本気で政権交代を狙いに行けば、もっともっと大きな権力をになっていかなくてはならなくなる。
政権奪取のアカツキには、国家権力をまるごと操らなくてはならない。
今から限界ギリギリでは、本番でどうなってしまうだろう。
「山本太郎を疑え」と、かつて太郎さんは街宣のたびによく言っていた。最近はあまり聞かなくなってしまったけれども、その姿勢を忘れずにいてほしい。
「権力」
どうしてもほしいけれども、できれば触りたくない、けど触らなければならない、この悩ましきもの。
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