2021-08-06(Fri)
核兵器禁止条約は政権交代したら批准できるのか
「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」という原爆死没者慰霊碑の碑文をみる度に、日本という国の情けなさを思い知らされる。 なんで、原爆を落とされた被害者が 「くりかえしません」と謝らなくちゃならないのか??
日本の侵略戦争が残虐であったことは事実であっても、原爆を落とされ一般市民が大量虐殺された事実も消えることはない。
この碑文は、スミソニアン博物館やアメリカ空軍博物館の前にこそ書かれるべきだ。
広島市のホームページにも、そういう主旨のQ&Aが掲載されている。
Q:「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」という原爆死没者慰霊碑の碑文は、被害者である日本が「過ち」を犯したかのような文言となっており、改めるべきではないか。
A:原爆の犠牲者に対して反核の平和を誓うのは、全世界の人々でなくてはならないというものです。つまり、碑文の中の「過ち」とは一個人や一国の行為を指すものではなく、人類全体が犯した戦争や核兵器使用などを指しています。
本市としては碑文の修正は全く考えておりません。(一部抜粋)
このアンサーの何が間違っているか。
「全世界の人々でなくてはならない」=「いまだ全世界の人々は誓っていない」という現実を忘れているからだ。あるいは、意図的に見ぬフリをしているからだ。
米国では今でも原爆は正義の象徴であり、他でもない被爆国の政府が核兵器禁止条約を無視黙殺して批准の議論すらしていないではないか。この現実を見ずに、仮想「世界の人々」の誓いを刻むのは、虚しい行いでしかない。
菅義偉のスピーチは、彼らの本音を奇しくも言い表している。
「核兵器のない、核軍縮の進め方をめぐっては、各国の立場に隔たりがあります」
原稿の読み飛ばしらしいけれども、「アメリカに逆らえるわけないでしょ」 という本音を思わず吐露した結果となった。
こんな連中が世界を動かし、日本の支配している以上、原爆死没者慰霊碑の碑文は、
「安らかに眠ってください。過ちはくりかえさせませぬから」でなければならない。
■
では、政権交代したらせめて核兵器禁止条約の批准はできるのだろうか。
条約なので衆参両院で与野党逆転が必要だが、仮にそれができたとして、批准できるのか。
野党各党はなんと言っているか。
立憲民主党の核兵器禁止条約への公式コメントの結びにはこう書いてある。
立憲民主党は、非核三原則を堅持し、今後とも先人の努力が後退することのないよう、核兵器廃絶を求める世界の人々とともに歩み、NPT体制の維持・強化等、実効的な核軍縮・核廃絶を実現すべく、全力で取り組んで参ります。
この言葉は実は、核兵器禁止条約が成立する前に書かれた立憲民主党の基本政策の文言を並べているだけ。
条約へのコメントについては、どこを見ても、批准すべきとか目指すとかは 一切書いていない。
この立憲の態度は、なんと政府の見解とまったく同じなのだ。外務省のホームページにある「核兵器禁止条約と日本政府の考え」を要約すれば下記の通り。
・条約ができて喜ばしい
・核兵器廃絶の目標は共有する
・でも条約は批准しない
・核軍縮は拡散防止(NPT)が軸だ
本日の枝野氏のコメントも
「日本がいずれこれに加わっていくことに向けて、まずはオブザーバー参加を実現するよう、さらに努力をしていかなければならない」
と、まるで他人事のように言っている。自分が近い将来日本の政権を担うという自覚は皆無。「できなさそうなことは言わない」という枝野氏らしい、無気力なコメントだった。
では、立憲より右だと言われている国民民主はどうか。
本日の玉木雄一郎氏のコメントを一部抜粋すると下記の通り
本年1月22日、核兵器禁止条約が発効しました。
(略)
政府に対して、署名、批准が可能となる条件等について国会等で真摯な議論をかさねること、また、第一回締約国会合にオブザーバー参加し、核軍縮の前進のために保有国と非保有国とをつなぐ架け橋としての役割を果たすことを求めます。
枝野氏と五十歩百歩とは言え、「批准が可能となる条件等について国会等で議論」という批准に向けた主体的な姿勢があるだけ、ちょっとマシと言える。
私も本音を言えば、政権交代したから即批准できる、とは思っていない。
小沢一郎氏が2009年2月に「軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンスは第7艦隊で十分だ」 と不用意に発言したことが、その後の陸山会弾圧から民主党政権の惨めな瓦解へとつながっていったことを思い起こせば、属国日本の屈辱的な現実を見ないフリをすることは、確かにできない。
何の交渉もなしに、いきなり「核兵器禁止条約を批准します」と言ったら、政権交代したばかりの脆弱な政権など吹き飛ばされるだろう。
その意味では、玉木氏の「批准できる条件を議論すべし」というのは、実践的な話だと思う。
「できなさそうなことは言わない」よりは、ずっといい。
共産、社民、れいわ はちゃんと調べてないけれども、さすがに批准すべし、だろう。
ただし、この条約を批准することは、場合によったら日米安保の破棄に匹敵するくらいオオゴトだ、という自覚はもって口にするべきだ。
万年野党の習性で、「正しいことを言うだけ」で終わらせてしまってはいけない。
核兵器禁止条約
仮に日本が困難を乗り越えて批准したとしても、肝心の核保有国は絶対に加盟しないと言う意味では、どれほどの実効力があるのか疑問ではある。
しかし、核保有が「罪」である、ということを世界中の人に突きつけるという効力があることはたしかだ。
そのためには、被爆国日本の加盟は特別な意味を持つし、絶対に必要だと言える。
■お知らせ
来場参加は満席です。WEB参加をお願いします。
大石あきこ総決起集会
日 時:2021年8月7日 17:00~19:00
場 所:アットビジネスセンター新大阪905号室
参加費:WEB参加 3000円
ゲスト:れいわ新選組代表 山本太郎
秋までに必ずある衆議院選挙は、ひとびとが政治を取り戻す巨大な政治決戦です。
もう一回りの支援の拡大と、選挙本番の体制づくりのため、決起集会を行います。
参加費をいただくのは恐縮ですが、勝ち抜くための資金として、ご協力をお願いします。
当日は、れいわ新選組代表・山本太郎と大石あきこが、衆議院選挙マニフェストを説明し、みなさまのご意見を伺います。
主 催:れいわ新選組衆議院大阪府第5区総支部
(政治資金規正法第8条の2に基づく政治資金パーティです)
申込方法 → こちらをクリック
大石あきこのHPにリンクします。カード払いのみです。
![画像_2021-07-30_161358](https://blog-imgs-147-origin.fc2.com/s/e/n/sensouhantai/20210730161410e5f.png)
日本の侵略戦争が残虐であったことは事実であっても、原爆を落とされ一般市民が大量虐殺された事実も消えることはない。
この碑文は、スミソニアン博物館やアメリカ空軍博物館の前にこそ書かれるべきだ。
広島市のホームページにも、そういう主旨のQ&Aが掲載されている。
Q:「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」という原爆死没者慰霊碑の碑文は、被害者である日本が「過ち」を犯したかのような文言となっており、改めるべきではないか。
A:原爆の犠牲者に対して反核の平和を誓うのは、全世界の人々でなくてはならないというものです。つまり、碑文の中の「過ち」とは一個人や一国の行為を指すものではなく、人類全体が犯した戦争や核兵器使用などを指しています。
本市としては碑文の修正は全く考えておりません。(一部抜粋)
このアンサーの何が間違っているか。
「全世界の人々でなくてはならない」=「いまだ全世界の人々は誓っていない」という現実を忘れているからだ。あるいは、意図的に見ぬフリをしているからだ。
米国では今でも原爆は正義の象徴であり、他でもない被爆国の政府が核兵器禁止条約を無視黙殺して批准の議論すらしていないではないか。この現実を見ずに、仮想「世界の人々」の誓いを刻むのは、虚しい行いでしかない。
菅義偉のスピーチは、彼らの本音を奇しくも言い表している。
「核兵器のない、核軍縮の進め方をめぐっては、各国の立場に隔たりがあります」
原稿の読み飛ばしらしいけれども、「アメリカに逆らえるわけないでしょ」 という本音を思わず吐露した結果となった。
こんな連中が世界を動かし、日本の支配している以上、原爆死没者慰霊碑の碑文は、
「安らかに眠ってください。過ちはくりかえさせませぬから」でなければならない。
■
では、政権交代したらせめて核兵器禁止条約の批准はできるのだろうか。
条約なので衆参両院で与野党逆転が必要だが、仮にそれができたとして、批准できるのか。
野党各党はなんと言っているか。
立憲民主党の核兵器禁止条約への公式コメントの結びにはこう書いてある。
立憲民主党は、非核三原則を堅持し、今後とも先人の努力が後退することのないよう、核兵器廃絶を求める世界の人々とともに歩み、NPT体制の維持・強化等、実効的な核軍縮・核廃絶を実現すべく、全力で取り組んで参ります。
この言葉は実は、核兵器禁止条約が成立する前に書かれた立憲民主党の基本政策の文言を並べているだけ。
条約へのコメントについては、どこを見ても、批准すべきとか目指すとかは 一切書いていない。
この立憲の態度は、なんと政府の見解とまったく同じなのだ。外務省のホームページにある「核兵器禁止条約と日本政府の考え」を要約すれば下記の通り。
・条約ができて喜ばしい
・核兵器廃絶の目標は共有する
・でも条約は批准しない
・核軍縮は拡散防止(NPT)が軸だ
本日の枝野氏のコメントも
「日本がいずれこれに加わっていくことに向けて、まずはオブザーバー参加を実現するよう、さらに努力をしていかなければならない」
と、まるで他人事のように言っている。自分が近い将来日本の政権を担うという自覚は皆無。「できなさそうなことは言わない」という枝野氏らしい、無気力なコメントだった。
では、立憲より右だと言われている国民民主はどうか。
本日の玉木雄一郎氏のコメントを一部抜粋すると下記の通り
本年1月22日、核兵器禁止条約が発効しました。
(略)
政府に対して、署名、批准が可能となる条件等について国会等で真摯な議論をかさねること、また、第一回締約国会合にオブザーバー参加し、核軍縮の前進のために保有国と非保有国とをつなぐ架け橋としての役割を果たすことを求めます。
枝野氏と五十歩百歩とは言え、「批准が可能となる条件等について国会等で議論」という批准に向けた主体的な姿勢があるだけ、ちょっとマシと言える。
私も本音を言えば、政権交代したから即批准できる、とは思っていない。
小沢一郎氏が2009年2月に「軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンスは第7艦隊で十分だ」 と不用意に発言したことが、その後の陸山会弾圧から民主党政権の惨めな瓦解へとつながっていったことを思い起こせば、属国日本の屈辱的な現実を見ないフリをすることは、確かにできない。
何の交渉もなしに、いきなり「核兵器禁止条約を批准します」と言ったら、政権交代したばかりの脆弱な政権など吹き飛ばされるだろう。
その意味では、玉木氏の「批准できる条件を議論すべし」というのは、実践的な話だと思う。
「できなさそうなことは言わない」よりは、ずっといい。
共産、社民、れいわ はちゃんと調べてないけれども、さすがに批准すべし、だろう。
ただし、この条約を批准することは、場合によったら日米安保の破棄に匹敵するくらいオオゴトだ、という自覚はもって口にするべきだ。
万年野党の習性で、「正しいことを言うだけ」で終わらせてしまってはいけない。
核兵器禁止条約
仮に日本が困難を乗り越えて批准したとしても、肝心の核保有国は絶対に加盟しないと言う意味では、どれほどの実効力があるのか疑問ではある。
しかし、核保有が「罪」である、ということを世界中の人に突きつけるという効力があることはたしかだ。
そのためには、被爆国日本の加盟は特別な意味を持つし、絶対に必要だと言える。
■お知らせ
来場参加は満席です。WEB参加をお願いします。
大石あきこ総決起集会
日 時:2021年8月7日 17:00~19:00
場 所:アットビジネスセンター新大阪905号室
参加費:WEB参加 3000円
ゲスト:れいわ新選組代表 山本太郎
秋までに必ずある衆議院選挙は、ひとびとが政治を取り戻す巨大な政治決戦です。
もう一回りの支援の拡大と、選挙本番の体制づくりのため、決起集会を行います。
参加費をいただくのは恐縮ですが、勝ち抜くための資金として、ご協力をお願いします。
当日は、れいわ新選組代表・山本太郎と大石あきこが、衆議院選挙マニフェストを説明し、みなさまのご意見を伺います。
主 催:れいわ新選組衆議院大阪府第5区総支部
(政治資金規正法第8条の2に基づく政治資金パーティです)
申込方法 → こちらをクリック
大石あきこのHPにリンクします。カード払いのみです。
![画像_2021-07-30_161358](https://blog-imgs-147-origin.fc2.com/s/e/n/sensouhantai/20210730161410e5f.png)
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