2020-06-15(Mon)
山本太郎氏の都知事選出馬について
山本太郎の都知事選出馬表明に、悲鳴と歓声が入り交じっている。
もちろん、敵陣営ではなく、支持者の間で である。
私自身の正直な感情は「困ったなあ」である。
「反対!」と声高に言うつもりはない。なぜなら、宇都宮健児も各方面に調整して出馬したようには見えず、単なる早い者勝ちだったからだ。
それならば、山本太郎にも宇都宮と同じ権利がある。
では「賛成」なのかというと、そんなことはない。賛成とか反対ではなく、戦略として下策だと考えている。
ごく一部のれいわ熱烈支持者は、山本太郎の出馬に狂喜乱舞し、それなりの割合の支持者は「まあ彼がでるなら応援するよ」という反応だけれども、それが大きなうねりになるか、これまでになかった支持の拡大になるか、というとそんな気はしない。
昨年参院選の熱量でも、投票率は上がらず、れいわの票はほとんど立憲と共産の票を奪った形になった。
もちろん、それはそれで第一歩としてよかったと、私は評価している。最初はそこからしか始まらない。
しかし、参院選後の山本太郎の周辺やれいわ新選組の動きを見るかぎり、第一歩を基礎にして、そこから伸ばしていくという意識は皆無だった。
むしろ、220万票しか集められず、太郎本人を落としてしまった「既存勢力」に対する言外の落胆と不信を私は感じた。要するに、昨年の220万票に依拠する気がはじめから無い、ということだ。
その延長が、今回の都知事選への出馬ということなのだろう。野党共闘的な支持層はごっそり離れてもらって結構。他の野党なんて眼中にない熱烈支持者だけ残って、これまで投票に行かなかった50%の人たちにアプローチできればいい。という考えではないだろうか。
その理念はわかる。大きな方向性としては同意できる。
でも、現状認識と次の一歩として、それでいいのか? 大いに疑問なのである。
昨年参院選のときの東京都のれいわ新選組の比例票は46万票弱である。6年前の太郎票から20万票、3割も減らしている。その後も約1年間、地方組織は作らない方針のうえ、作ると言っていたボランティアセンターもできずに有機的な活動はほとんどできなかった。
この現状で、さらに野党共闘に背を向けて、孤立したたたかいを選択することのメリットが何なのか、私には理解できない。
■
風頼みの選挙がいかにもろいものか、無残なものか、2009年の政権交代でいやというほど味わったはずだ。
関西の小沢グループが、小なりといえども生活フォーラム関西をつくって維持してきたのも、その痛みを忘れていないからだ。
2009年の政権交代も、半ばマスコミに作られた政権交代だったとも言える。その理由はいろいろ考えられるけれども、あの時はなぜかマスコミは政権交代待望をあおった。
そうやって勢いでできてしまった政権は、能力的にも理念的にも政権を担うにたるものにはならなかったし、何より当事者に覚悟がなかった。
山本太郎個人の覚悟を疑うものではないけれども、都政にせよ国政にせよ、一人でできるものではない。
それだけ大きなものを担っていくチームを作らなければ、仮に風が吹いたとしても、その直後の逆風でまたしても悲惨な結果を招くだろう。
自由党時代の山本太郎は、現場主義と同時にそうした大きなビジョンも踏まえていると私は思っていた。
しかし、れいわ新選組になってから、なかんづく参院選後の山本太郎は、そうしたビジョンを投げ捨ててしまったように見える。
■
いずれにしても、残念なことに現状の分析によると、女帝小池は自公どころか、立憲の支持層から一部共産支持まで浸透しているそうで、このままいけば宇都宮とはトリプルカウントになりそうな勢いだ。
だったら、どうせ負けることを前提に、出たい人が出て言いたいことを言えばいいじゃないか。結果、党勢拡大になれば儲けもんだ。という意見も多く見かける。
れいわ新選組の熱烈支持者はそれでいいと思うだろう。私も、少しはそういう気分もある。
でも、それを一般の有権者目線で見たらどうだろう。ただでさえ蔓延している選挙というものに対する無力感を、いっそう強めることにならないだろうか。
コロナの影響も含めてだが、乱立選挙はいっそうの投票率低下を招くように思えてならない。
頼りない奴らと切り捨てられた既存勢力が何を言っても、いまさら仕方が無いのだろうけれども、とにもかくにも今の自分の考えを書き留めておく。
生活フォーラム関西の面々や、これまでれいわ新選組を支持してくれていた皆さんと意見交換して、これからどうするのか考えていきたい。
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もちろん、敵陣営ではなく、支持者の間で である。
私自身の正直な感情は「困ったなあ」である。
「反対!」と声高に言うつもりはない。なぜなら、宇都宮健児も各方面に調整して出馬したようには見えず、単なる早い者勝ちだったからだ。
それならば、山本太郎にも宇都宮と同じ権利がある。
では「賛成」なのかというと、そんなことはない。賛成とか反対ではなく、戦略として下策だと考えている。
ごく一部のれいわ熱烈支持者は、山本太郎の出馬に狂喜乱舞し、それなりの割合の支持者は「まあ彼がでるなら応援するよ」という反応だけれども、それが大きなうねりになるか、これまでになかった支持の拡大になるか、というとそんな気はしない。
昨年参院選の熱量でも、投票率は上がらず、れいわの票はほとんど立憲と共産の票を奪った形になった。
もちろん、それはそれで第一歩としてよかったと、私は評価している。最初はそこからしか始まらない。
しかし、参院選後の山本太郎の周辺やれいわ新選組の動きを見るかぎり、第一歩を基礎にして、そこから伸ばしていくという意識は皆無だった。
むしろ、220万票しか集められず、太郎本人を落としてしまった「既存勢力」に対する言外の落胆と不信を私は感じた。要するに、昨年の220万票に依拠する気がはじめから無い、ということだ。
その延長が、今回の都知事選への出馬ということなのだろう。野党共闘的な支持層はごっそり離れてもらって結構。他の野党なんて眼中にない熱烈支持者だけ残って、これまで投票に行かなかった50%の人たちにアプローチできればいい。という考えではないだろうか。
その理念はわかる。大きな方向性としては同意できる。
でも、現状認識と次の一歩として、それでいいのか? 大いに疑問なのである。
昨年参院選のときの東京都のれいわ新選組の比例票は46万票弱である。6年前の太郎票から20万票、3割も減らしている。その後も約1年間、地方組織は作らない方針のうえ、作ると言っていたボランティアセンターもできずに有機的な活動はほとんどできなかった。
この現状で、さらに野党共闘に背を向けて、孤立したたたかいを選択することのメリットが何なのか、私には理解できない。
■
風頼みの選挙がいかにもろいものか、無残なものか、2009年の政権交代でいやというほど味わったはずだ。
関西の小沢グループが、小なりといえども生活フォーラム関西をつくって維持してきたのも、その痛みを忘れていないからだ。
2009年の政権交代も、半ばマスコミに作られた政権交代だったとも言える。その理由はいろいろ考えられるけれども、あの時はなぜかマスコミは政権交代待望をあおった。
そうやって勢いでできてしまった政権は、能力的にも理念的にも政権を担うにたるものにはならなかったし、何より当事者に覚悟がなかった。
山本太郎個人の覚悟を疑うものではないけれども、都政にせよ国政にせよ、一人でできるものではない。
それだけ大きなものを担っていくチームを作らなければ、仮に風が吹いたとしても、その直後の逆風でまたしても悲惨な結果を招くだろう。
自由党時代の山本太郎は、現場主義と同時にそうした大きなビジョンも踏まえていると私は思っていた。
しかし、れいわ新選組になってから、なかんづく参院選後の山本太郎は、そうしたビジョンを投げ捨ててしまったように見える。
■
いずれにしても、残念なことに現状の分析によると、女帝小池は自公どころか、立憲の支持層から一部共産支持まで浸透しているそうで、このままいけば宇都宮とはトリプルカウントになりそうな勢いだ。
だったら、どうせ負けることを前提に、出たい人が出て言いたいことを言えばいいじゃないか。結果、党勢拡大になれば儲けもんだ。という意見も多く見かける。
れいわ新選組の熱烈支持者はそれでいいと思うだろう。私も、少しはそういう気分もある。
でも、それを一般の有権者目線で見たらどうだろう。ただでさえ蔓延している選挙というものに対する無力感を、いっそう強めることにならないだろうか。
コロナの影響も含めてだが、乱立選挙はいっそうの投票率低下を招くように思えてならない。
頼りない奴らと切り捨てられた既存勢力が何を言っても、いまさら仕方が無いのだろうけれども、とにもかくにも今の自分の考えを書き留めておく。
生活フォーラム関西の面々や、これまでれいわ新選組を支持してくれていた皆さんと意見交換して、これからどうするのか考えていきたい。
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