2020-02-06(Thu)

理念・目標・戦略・戦術 ~れいわ新選組を考える~

20200206-1.jpg政治を語る人よりも、ビジネスマンのほうが、「理念・目標・戦略・戦術」については理解しているんじゃないでしょうか。(右図は経営を学ぶというサイトからお借りしました)
政治界隈の方々は、ほとんどこの4つがごちゃごちゃになっているような気がします。
とくに、れいわ新選組のような「理念」がとても大きな比重を占める勢力の場合、理念が他の3つを圧倒してし吹き飛ばしている感じです。

政治だと分かりにくいので、カバディで考えてみましょう。
実は私もよく知らないのですが、「カバディカバディカバディ」と言いながら競技するあれです。
日本カバディ協会のHPには、「鬼ごっことドッジボールが融合したようなスポーツ」としたうえで、このように書いてあります

カバディは、インド、パキスタン、バングラデシュなど南アジア諸国で数千年の歴史を持つ、伝統ある国技として親しまれてきたスポーツです。
紀元前、獣に対し武器を持たずに多彩なテクニックを用いて数人で囲み、声を掛けながら捕らえるという武器を持たずに戦う技術、獣の襲撃から身を守る方法が、やがてスポーツとして成熟し、カバディが生まれました。
「カバディ」という言葉自体に意味は無く、無心に発声することで平常心へと導き、体と心を一体にするマントラなのです。

(引用以上)

すごいです。マラソンなみの歴史です。
でも日本ではまだまだマイナーで、全国大会でも男子18チーム、女子4チームしか参加していません。
これまた協会のHPには「競技開始から数年で日本代表としてアジア大会出場のチャンスがあります」なんて書いてあります。
ご興味と体力のあるかたは ぜひ挑戦してみて下さい。



さて、ここから先は、まったくの創作です。
政治が元ネタなのでちょっと汚いこと書きますが、現実のカバディとは何の関係もありません。

アベジャーズというチームがあります。
キャプテンのシンゾーは、審判を買収し、カネに任せて選手を集め、大会の度に連戦連勝です。
選手にもごっつい年俸が支払われます。

タローズというチームもあります。
1人のスター選手以外は、レギュラーも決まっていないようなチームです。
なかなか試合には勝てないし、もちろん給料なんて出ません。
でも、キャプテンのタローには夢があります。

タローの夢は、タローズの優勝なんていうケチなものではありません。
タローズというチームを作る前から、ずっと考えていたのです。
「カバディをしていれば食っていける、そして、誰もがカバディをしていてよかった」と思えるカバディの競技環境を作りたいと。

 >>こんな世の中にしたい という思いが「理念」です。もっとも深いところの、動かしがたい原動力です。

そのためにはどうしたらいいか、タローは考えました。
まずは、アベジャーズを常勝軍団の地位から引きずり下ろすことだ。
そう決心したタローは、たった1人で大会にチャレンジしました。

 >>「政権交代」などの、理念に直結する大きなステップが「目標」です。上の図ではビジョンと言われてますね。これをコロコロと変更するようでは信用されません。

しかし、なにせ団体競技です。チーム無しでは試合に出ることすら ままなりません。
そこでタローは、イチローズというチームに、ダブルエースとして参加することにしました。

カバディ界の人たちはびっくりしました。
なにせイチローは昔はアベジャーズの有力選手だったからです。
でも、アベジャーズの腐敗を嘆いてチームを飛び出したイチローと、カバディ界を変えようとするタローは意気投合し、ニューイチローズとして活動を始めました。

1人の限界を知ったタローは、しばらくはベテランの下でカバディを学びながら、2位以下のチームで協力しながら機会をうかがおうと考えたのでした。

 >>目標までの長い道のりを、どのように進むのか が「戦略」です。これも頻繁に変更するものではありません。そこまで積み上げた成果が無駄になってしまうし、物事を判断する指針を失ってしまいます。

イチローズの一員としてチャンスをうかがうタローは、試合の度に様々な作戦を考えて全力で闘いましたが、はかばかしくありません。
イチローズも、力のある選手はいるのですが、レギュラーそろえるのがやっとの弱小チームだったからです。
アベジャーズの不正も一向に減らないどころか、どんどんエスカレートしていく始末です。

 >>選挙での闘い方とか、国会でどのような論戦をするのか など、具体的な闘い方は「戦術」です。戦略に矛盾しない限り、戦術は柔軟に発想して、うまくいかないときは大胆に変更していくべきです。

アベジャーズの酷さもさることながら、よく見ていると、2位につけているエダノンズの動きがおかしいのです。
不正行為には威勢よく文句は言うのですが、いざ試合になると「勝つ気あるの?」と思ってしまうようなやる気の無さ。
どうも2位でほどほどにやっているのが心地良いんじゃないか と疑ってしまいます。

このままイチローズで頑張っていても、2位のエダノンズがこの様では、永久にアベジャーズの天下は終わらないんじゃないか。
そう思い至ったタローは、イチかバチかの賭に出ることにしました。
エダノンズを2位のぬるま湯から引きずり出すためには、「勝つ気無いんだったら、とって代わるぞ」と脅かすしかない。
イチローは、さすがにそこまでやる気は無くて、なんとかエダノンにやる気を出してもらおうと説得していますが、タローはもうそんなまだるっこしいことでは無理だと思いました。

そして、イチローズは3位のミンミンズに合流することになり、タローは単身タローズを設立し、夏の大会に挑んだのです。
カバディカバディカバディ・・・



以上で、創作話は終わります。

問題は、昨年夏のタローズこと、れいわ新選組の立ち上げが、野党共闘という戦略の大転換とみるべきなのか、野党共闘という戦略の下での新たな戦術として見るべきなのか、です。 議論の分かれるところです。

れいわ新選組を熱烈に応援している方の多くが、戦略転換=れいわ新選組(と共産党)による、自力での政権交代をめざす、と理解しているように見えます。
しかし、私は、あくまでも野党共闘による政権交代という戦略は変わっておらず、それに前向きにならないエダノンズこと立憲民主党を引きずり出すための戦術だと理解しています。太郎さんが政治の世界に踏み込んだ頃から応援してきた人の多くは、そう考えているように、私の周りでは感じます。

「全国の選挙区で野党共闘を実現して、小選挙区を勝ち抜き、自民党と公明党を政権から引きずり下ろす」 というのが、安倍イヤだと言っている人の多くが考えている目標と戦略と言っていいでしょう。
でも、まったく別の考え方もありうるのです。

たとえば、「ロシア革命のように武装蜂起で永田町と霞ヶ関を占拠するのだ」、という考え方もあるし、「いっそのことアメリカの正式な州になったほうが、属国でいるよりずっとマシ」という考え方だってありえます。
正しいかどうかは別として、理念を実現するための道筋は、人によって、思想によって、幾通りも考えられるのです。

その中で、今のところスタンダードに受け入れられているのが、「選挙による」「政権交代」と言うことだと思います。
そして、野党乱立の現状から、「野党共闘」または「野党統合」による「選挙での政権交代」という考え方が一般的になっています。
私も、1回か2回の選挙で実現するという前提ならば、それしかないだろうとは思っています。

太郎さんがれいわ新選組を立ち上げたのも、当初はこの「野党共闘で選挙による政権交代」という戦略に沿っていたと、私は理解しています。
しかし、参院選で目標の300万票に届かず太郎さんが落選してしまったこと、エダノンズが(れいわ新選組と共産党への敵意はむき出しにするけれども)野党共闘には一向にやる気を示さないこと、熱烈な支持者が妥協を許さないこと、などから、「野党共闘」の戦略は無理なのか、考えざるを得なくなってきたのでしょう。

京都市長選挙でのれいわ新選組の動き方を見ても、どうやられいわ新選組の戦略は、本気で独自路線に変わってしまったのかと感じます。
小沢さんが言うように、消費税5%という文言にこだわらずに、景気条項をいれることで実質的に5%を実現するという方法もあるのですが、今のれいわ新選組が、そのような柔軟な対応が取れるのかどうか、私にはわかりません。

しかし、京都市長選挙はまさに、そんなれいわ新選組の独自路線を、もう一度見直すきっかけになったはずです。
福山和人さんが一番得票した京都2区で、仮にれいわ新選組の候補者を立てたとしても・・・・

20200206.jpg

2017年の前原の得票率と、2019年の民主系の得票率を見て下さい。
前原は、民主系のなんと倍以上の得票を、選挙の度に確保しているのです。
彼は、何党になろうが無所属になろうが、絶対に勝てる圧倒的な強さです。

前原のおこぼれを自民党が拾って、4万票前後を固めています。
れいわ新選組がもし立てても、どこに勝機を見いだしていいのか、まったくわかりません。

しかも、共産党が全面的に応援してくれる保証はありません。
長い信頼関係を築いていればともかくも、ポット出で全力応援してくれるほど共産党も甘い組織じゃないです。

私が感じたのは、昨年の大阪12区の補選でした。
共産党の宮本たけしさんが、無所属で出るという英断をしたときです。
前回の共産党は2万3千近くとっていたのに、なんとあの宮本たけしさんが1万4千しか取れなかったのです。
まあなんと冷たいものやなあ と思いました。

とにかく、唯一信じられる理念をもって決起したれいわ新選組ですから、道を見誤って谷底に転落してもらっては困るのです。
選挙はカネがかかりますから、一度大コケすると、かつての自由党(選挙のときは未来の党)のように、そう簡単に浮上できなくなってしまいます。
もう一度原点に戻って、戦略を見直すべきではないか 私はそう思います。



さいごに、カバディのスーパープレイをどうぞ
いや、面白いですね、カバディ。
鬼ごっこどころか、ボールを持ってないラグビーみたいです






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