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2010.05.18
比較三原則/たちどころに「ものがみえる」ようになるメソッド
人間の認識能力は、ひとつの対象を捉えるよりも、ふたつの対象の違いを見つけることに鋭敏である。
巧見者になるには、普段、無意識にやっている比較を意識的・自覚的に行なうこと、そして比較の質を高めることである。
短期間に比較の質を高めるには、自覚的に比較する機会を増やし、繰り返し、そしてより広い対象に対して、比較を行なっていくしかない。
そのための自分に課すルールは、つぎの3つである。
1.常に比較せよ(比較対象を常に用意しておけ)
2.共通性(おなじところ)と差異(ちがい)を確認せよ
3.差異(ちがい)の差異(ちがい)を見つけよ
ひとつずつ説明しよう。
1.常に比較せよ
似たようなものが、ふたつ隣同士に並んでいれば、我々は自然と比較をはじめてしまうだろう。
しかし、そうした場面が訪れるまで待っていては、比較の機会を増やすことはできない。
自覚的に比較を行ない、「比較の目」で見るためには、自分で比較対象を持ってきて並べる、あるいは作りだす(イメージする)ことが必要になる。
詳しく吟味しようという対象を前にした時に、それと比べるための何かを、この場に、あるいはアタマの中に持たなくてはならない。
鑑定士たちは、「本物」「業物(わざもの)」を浴びるように見て、自分の中に比較対象としてストックしている。そうして、目の前に置かれたものの真贋を判断する。
意識的に、比較対象を蓄積し、場合によってはその場で「発明」する(ひねり出す)ために、次のような問いが役に立つかもしれない。昨日のwhat?を変換した問いである。
・何の一種か?(上位概念への移行)→同じ種類のものには他に何があるか?(再び対象と同じレベルへ)
また次の問いは、上の問いのバリエーションとして使える(場合がある)。
・これと少しだけ違うものはあるか? 一部分だけを変えたものは?
・ちがう状況で、これと同じものは何か? これに当たるものは何か?
when? (ちがう時刻、季節、時代で)
where? (ちがう場所、国、文化で)
who?(ちがう年齢、性別、階層、文化、宗教・・・の人にとって)
2.共通性と差異を確認せよ
対象と比較物は、ある部分は同じで、ある部分は違う。
これは当然の事で、比較対象としての用件を満たすものを持ってくれば、当然そうなる。
それでも、共通性(おなじところ)と差異(ちがい)を確認しよう。
何が違い、何が同じ(似ている)のかを、あらゆる面について注意を向けること。
比較対象として選んできた時には、見えなかった共通性に、そして差異(ちがい)に気づくことは、よくあることだ。
そして、見えなかった共通性/差異が新たに明らかになることが、わざわざ比較する意義である。
3.差異(ちがい)の差異(ちがい)を見つけよ
比較することは、それなしには気付かなかった、共通性や差異に光を当てることである。
しかし、それはまた、別の共通性や差異を目立たなくする可能性があることに注意したい。
ひとつの比較は、ある側面に光を投げかける(その側面を「見える」ようにする)が、別の側面を影に追いやる(隠す、背景に退ける)可能性が高い。
しかも、比較の「ものごとを明らかにする効果」が顕著なものであるだけに、「見落とし」があり得ることが念頭にあがりにくい。
このことは、別の比較をすることで明らかになる。
比較ができるようになったら、違う比較対象を見つけ、別の比較を試みよう。
こうすることで、ある比較が「明らかにするもの」と「隠すもの」とがあることが明確になる。
そして今度は、比較同士を比べることができる。
つまり「比較」同士を比較すること。
この多重比較によって、比較が隠すものが浮き彫りに去れ、それまで平面的だった認識が立体化する。
(関連記事)
問いを変換する/問題解決のファースト・ステップ 読書猿Classic: between / beyond readers
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短期間に比較の質を高めるには、自覚的に比較する機会を増やし、繰り返し、そしてより広い対象に対して、比較を行なっていくしかない。
そのための自分に課すルールは、つぎの3つである。
1.常に比較せよ(比較対象を常に用意しておけ)
2.共通性(おなじところ)と差異(ちがい)を確認せよ
3.差異(ちがい)の差異(ちがい)を見つけよ
ひとつずつ説明しよう。
1.常に比較せよ
似たようなものが、ふたつ隣同士に並んでいれば、我々は自然と比較をはじめてしまうだろう。
しかし、そうした場面が訪れるまで待っていては、比較の機会を増やすことはできない。
自覚的に比較を行ない、「比較の目」で見るためには、自分で比較対象を持ってきて並べる、あるいは作りだす(イメージする)ことが必要になる。
詳しく吟味しようという対象を前にした時に、それと比べるための何かを、この場に、あるいはアタマの中に持たなくてはならない。
鑑定士たちは、「本物」「業物(わざもの)」を浴びるように見て、自分の中に比較対象としてストックしている。そうして、目の前に置かれたものの真贋を判断する。
意識的に、比較対象を蓄積し、場合によってはその場で「発明」する(ひねり出す)ために、次のような問いが役に立つかもしれない。昨日のwhat?を変換した問いである。
・何の一種か?(上位概念への移行)→同じ種類のものには他に何があるか?(再び対象と同じレベルへ)
また次の問いは、上の問いのバリエーションとして使える(場合がある)。
・これと少しだけ違うものはあるか? 一部分だけを変えたものは?
・ちがう状況で、これと同じものは何か? これに当たるものは何か?
when? (ちがう時刻、季節、時代で)
where? (ちがう場所、国、文化で)
who?(ちがう年齢、性別、階層、文化、宗教・・・の人にとって)
2.共通性と差異を確認せよ
対象と比較物は、ある部分は同じで、ある部分は違う。
これは当然の事で、比較対象としての用件を満たすものを持ってくれば、当然そうなる。
それでも、共通性(おなじところ)と差異(ちがい)を確認しよう。
何が違い、何が同じ(似ている)のかを、あらゆる面について注意を向けること。
比較対象として選んできた時には、見えなかった共通性に、そして差異(ちがい)に気づくことは、よくあることだ。
そして、見えなかった共通性/差異が新たに明らかになることが、わざわざ比較する意義である。
3.差異(ちがい)の差異(ちがい)を見つけよ
比較することは、それなしには気付かなかった、共通性や差異に光を当てることである。
しかし、それはまた、別の共通性や差異を目立たなくする可能性があることに注意したい。
ひとつの比較は、ある側面に光を投げかける(その側面を「見える」ようにする)が、別の側面を影に追いやる(隠す、背景に退ける)可能性が高い。
しかも、比較の「ものごとを明らかにする効果」が顕著なものであるだけに、「見落とし」があり得ることが念頭にあがりにくい。
このことは、別の比較をすることで明らかになる。
比較ができるようになったら、違う比較対象を見つけ、別の比較を試みよう。
こうすることで、ある比較が「明らかにするもの」と「隠すもの」とがあることが明確になる。
そして今度は、比較同士を比べることができる。
つまり「比較」同士を比較すること。
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