メグ・ラングスローを主人公とした鳥名シリーズ(なんて,シリーズ名はありません,笑)で知る人は知っている
ドナ・アンドリューズの「恋するA・I探偵」
(You've Got Murder,2002)
を読んだ。
注意! 最初の10ページくらいで1つの驚きがありますが,その部分をネタバレにしないと以降を書けないので,ばらしています。
驚きたい方は,ここでおやめください。
新しいシリーズの1冊目なのだが,読み始めたら「止まらないっ!!」という感じで一気に,笑いながら,少しいろいろなことも考えながら,読んでしまった。
主人公のチューリング・ホッパーは,人間ではない。また,単なるAI(人工知能)でもない。
AIP(人工知能パーソナリティ)である。最後のPがつくことで,単なるプログラムを越えて,自分で考えることができるだけでなく,感情までもつようになってしまった存在なのだ。
彼女(なぜか,女性)の製作者であるザックの不在を気にしたチューリングが,販売部門の秘書モード,コピー係のティムの協力を得てザックを探し始めたことから,会社(UL,ユニヴァーサル・ライブラリ)内の陰謀と対決していく。
その間に,チューリングがどんどん成長していくというのも,一気に読み進んでしまった要因の1つだ。
24時間フル稼働,ナノセカンド単位の時間経過ということもあって,成長速度も速い,速い!
感情をもつ,もたないのレベルから,仲間のために自らを犠牲にする,さらには
殺人まで犯すことになる。
続編を期待させる終わり方であり,実際,すでに書かれているようなので,翻訳されるのが楽しみだ。
謝辞で著者も書いているように,この作品はSFではなく,あくまでミステリである。
ということで,チューリング・ホッパーのような存在はありえないなどと突っ込まないように(笑)
以下簡単なメモ
UL 顧客に合ったリサーチシステムを売り込む会社で,得意先は銀行や国家機関にまで広がっている。
名前の通り,ペーパーレスの図書システムを推し進めているのだが,社員の中には,会社に隠れて「本物」の本にこだわる者も多い。
AIP 始まって5年目のプログラム。自己学習機能だけでなく,感情をもつようになっているが,プログラマーはそれを信じられない。
チューリング・ホッパーを相手にすると人間のように感じられるのは,あらゆる推理小説の内容をプログラムに組み込んだからだと,製作者のザックは説明する。
チューリング・テスト 科学者が正真正銘のAIを制作できたかを判断する試験と定義されるようだが,道徳,倫理,好奇心などの有無も含め,自分(たち)が人間的であるかを判断するチューリングの基準でもある。
アラン・グレース チューリングがモードの協力で作った財テク用の会社。次巻以降,彼女の活動の拠点になりそうである。
ドナ・アンドリューズの他作品についての日記は,フリーページ 読了本(海外) (ドナ・アンドリューズ)からごらんください。
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