化物語 第12話「つばさキャット其ノ貮」
2009/09/28/Mon
「私という人間はたぶんひたぎという人物にはもし実際遭遇したとするならまったく性格も反りもあわないのじゃないかなって予想があるのだけど‥無意味な仮定の話とはいえ、私がアニメなり小説なりを読み解くとき、その感想なり評価なりのひとつの指標としてるのは、作中描かれてる人物とこの私とは、果して会話ができるか否かどっちかなっていう部分だったりする。それは私が会話ということを人間関係を形成するうえで大切な要素のひとつと看做してるからであり、だれかといて楽しいと人が表現するとき、そこでもっとも問われてる鍵は会話の成立如何なのじゃないかなって、そう私は思うほどでもあるから。そして読書とは著者との会話であるとよくいわれる言葉にもあらわされてるように、私はアニメにしろ漫画にしろ、作品鑑賞の醍醐味はそれを創作した人間とほかならないこの私とが一対一の関係を結ぶ点にあるのだって思ってる。だからその意味でも、会話というのは生きてくうえで重要なものなのじゃないかなって考えるかな‥それじゃなぜ私はひたぎをどことなく迂遠に思っちゃうのかなと考えると‥といっても、もしかしたら視聴者のけっこう多数は、同じくひたぎとマンツーマンで接したいとは思わないかもしれないけど‥それはひたぎは自己の本心を容易にさらけ出さないから、というより、自己をあまりに素直に表白するがために、返って彼女の存在が異質に思えちゃうから、なのだと思う。‥ひたぎって、なんか衒わないものね。ううん、もしかしたらそれは暦の前だからとくべつになのかもしれないけど、でもそんな彼女のあけすけさは逆に彼女に他者が容易に近づくことを妨げてる原因のような気もする。だって、人は仮面で人付き合いするものだものね。本音なんて、べつに要らないのだから。」
「それにひたぎは自己の感情を隠したりすることもなく、ストレートに表現する気質の人だからなのでしょうね。彼女のように物事の機微を無視し、ある面強引過ぎるくらいに自分自身を主張する人は、集団の和を尊ぶという観点からは明らかに扱いにくい性質の人間であり、その意味では彼女が下手な争いを避けるために孤立を選択していたというのは、ま、暦と出会う前の彼女なら、賢い判断だったといえるのでしょう。そしてそんな彼女を振向かせられるのだから、暦という人間も奇妙なものかしらね。‥彼はなかなか、ここまで話を見てきても、分らない人かしら。単純にできているけどけっこう底知れない。それが魅力ではあるのでしょうけど。」
「今回のエピソードはおもしろかった。というのもその理由のひとつとしては、ひたぎという人間が本心では自分のことがあまり好きじゃないんだなって、そのことがよくわかる内容だったから。‥ひたぎは自分のもってるものはこれだけと執拗にくり返す。そしてそれらはある観点からするなら厳密に彼女の持ち物だといえるはずもないものもあったのであり‥星空を大切なものと呟く彼女は、美しくもあったけど、とても空虚なものが感じられた。それは彼女にとってあの星空が意味するものが失われた家族の幸福という象徴であったからであり、その意味では彼女は失くした過去の残滓ともいうべき綺麗な空を、たったひとりの恋人である暦と共有したことになる。それは迂遠な、彼女の偽らない感情の告白でもあったのかな‥彼女は実際自己嫌悪の塊のような人で、利他的な善意を無意識にする暦の存在は、だからまるで彼女と似て似つかない性質の人とさいしょは捉えられてたのだと思う。でもそんな彼女が自分の醜さと弱さをさらけ出したうえで、なおそれでも隣にいてくれた人が暦であったと語るとき、暦の存在はひたぎにとってある意味恋人とは別種の意味性をもつに至ったにちがいない。‥それは私が生きることに対して、無条件のやさしいを肯定を与えてくれる、真に家族的な愛情の証拠でさえあったのだった。」
「大人になるにつれ、人はいろいろな目標や期待といったものを自分の人生のうえに組みこむようになるのであり、それらは健全な意味で機能するなら夢や希望といった言葉によってあらわされるのでしょうけど、しかし一転してそれが否定的な価値を帯びれば、呪縛や重荷として認識されてしまうものにちがいないのでしょう。そしてひたぎの場合、彼女の母親が彼女に課した期待は、まさに彼女にとっての十字架ともいうべきものだったのであり、それをされた時点で彼女は自身の弱さと罪のようなものを感じ取ってしまったのかもしれないかしらね。また、であるからこそ、暦の限りない善意といったものは、彼女の感受性にあるすばらしい意義を与ええたのかもしれないし、ひたぎと暦がこの先どう生きていくかは、はてさて、少し興味がある部分かしらね。なぜなら幸福なやさしさというものを、暦は見せてくれるようにも思えるのだから。」
「それにひたぎは自己の感情を隠したりすることもなく、ストレートに表現する気質の人だからなのでしょうね。彼女のように物事の機微を無視し、ある面強引過ぎるくらいに自分自身を主張する人は、集団の和を尊ぶという観点からは明らかに扱いにくい性質の人間であり、その意味では彼女が下手な争いを避けるために孤立を選択していたというのは、ま、暦と出会う前の彼女なら、賢い判断だったといえるのでしょう。そしてそんな彼女を振向かせられるのだから、暦という人間も奇妙なものかしらね。‥彼はなかなか、ここまで話を見てきても、分らない人かしら。単純にできているけどけっこう底知れない。それが魅力ではあるのでしょうけど。」
「今回のエピソードはおもしろかった。というのもその理由のひとつとしては、ひたぎという人間が本心では自分のことがあまり好きじゃないんだなって、そのことがよくわかる内容だったから。‥ひたぎは自分のもってるものはこれだけと執拗にくり返す。そしてそれらはある観点からするなら厳密に彼女の持ち物だといえるはずもないものもあったのであり‥星空を大切なものと呟く彼女は、美しくもあったけど、とても空虚なものが感じられた。それは彼女にとってあの星空が意味するものが失われた家族の幸福という象徴であったからであり、その意味では彼女は失くした過去の残滓ともいうべき綺麗な空を、たったひとりの恋人である暦と共有したことになる。それは迂遠な、彼女の偽らない感情の告白でもあったのかな‥彼女は実際自己嫌悪の塊のような人で、利他的な善意を無意識にする暦の存在は、だからまるで彼女と似て似つかない性質の人とさいしょは捉えられてたのだと思う。でもそんな彼女が自分の醜さと弱さをさらけ出したうえで、なおそれでも隣にいてくれた人が暦であったと語るとき、暦の存在はひたぎにとってある意味恋人とは別種の意味性をもつに至ったにちがいない。‥それは私が生きることに対して、無条件のやさしいを肯定を与えてくれる、真に家族的な愛情の証拠でさえあったのだった。」
「大人になるにつれ、人はいろいろな目標や期待といったものを自分の人生のうえに組みこむようになるのであり、それらは健全な意味で機能するなら夢や希望といった言葉によってあらわされるのでしょうけど、しかし一転してそれが否定的な価値を帯びれば、呪縛や重荷として認識されてしまうものにちがいないのでしょう。そしてひたぎの場合、彼女の母親が彼女に課した期待は、まさに彼女にとっての十字架ともいうべきものだったのであり、それをされた時点で彼女は自身の弱さと罪のようなものを感じ取ってしまったのかもしれないかしらね。また、であるからこそ、暦の限りない善意といったものは、彼女の感受性にあるすばらしい意義を与ええたのかもしれないし、ひたぎと暦がこの先どう生きていくかは、はてさて、少し興味がある部分かしらね。なぜなら幸福なやさしさというものを、暦は見せてくれるようにも思えるのだから。」