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海賊党への対案を考えてみた その2

海賊党の政策に対案を出してみるのその二回めです。前回の記事はこちら

今回は、海賊党の主張する著作権は営利目的のものに限って保護されるべきという主張、非営利の著作物のやりとりは一切合法とされるべきという主張について対案を。



2. ダウンロード禁止規定は撤廃すべき。しかし、従来どおり不特定多数に送信する、あるいはできる状態にすることは禁ずるべき

無権限でネット上にアップロードしている奴がいます。彼の行為は前に書いた著作者の「自分の著作物でお金儲けをする権利」を間違いなく侵害しています。が、その無権限でネットにアップロードされたものをダウンロードする行為は、一体著作者の何の権利の侵害なのでしょうか?そりゃあ、褒められた行為ではないですけれども、俺にはそこが分かりません。

対価を支払わずに著作物の恩恵を得たこと?でも、ここまで広く解してしまうと、例えばストリートミュージシャンが音楽を演奏していて、それを聴いていた人から著作権料を請求できる、なんて話になりかねませんよね。それに、中古売買なんかも規制されそうです。むしろそれが業界の声であるのかも知れませんが、では中古売買にも「課税」したとして、新品売買における中間業者の利益はどうするんでしょう。これにも課税しなきゃ不公平ですよね?みなさん、レコード会社から直でレコード買ったことあります?俺はありません。そう、下手すりゃ流通も崩壊します。そうだ、それに図書館という制度もなくなっちゃいますよ。

何が悪いのかはっきりしないことを、何となく雰囲気だけで悪いことにするのは、悪いことです。



また、ダウンロード禁止規定が恐ろしいのは…現行規定では幸いなことにまだなっていませんが…これによって「悪いことである」と既成事実化されて、一歩進んで犯罪となってしまうことです。まあ、たぶん不法ダウンロード禁止に賛同する人は、無許可着うたサイトとか、割れ物サイトとか、Winnyとか、アングラなものを考えているのでしょう。

そればっかりじゃありませんよ。例えば、俺が加藤ローサさんのファンだから、加藤ローサさん出演シーンをキャプチャした映像をついついこのブログに載っけちゃったとしましょうか。もちろん許可なんてとれません、所属事務所の研音さんはその辺厳しいと聞いています。はい、みなさんはもう「容疑者」です。みなさんにその映像が見えるということは、みなさんのパソコンにそのデータがダウンロードされたということです。

もちろん皆さんに犯罪の故意はないでしょうから、罪に問うのは難しいでしょうね。しかし、故意があるかないかなんて結局のところあなた方にお話を聞かなければ分からないことです。聞くためには身柄を拘束する必要もあるでしょう。ダウンロードされたファイルは一時ファイル・キャッシュに留まり、ちゃんとした保存をしなかった場合は何の罪にもならないそうです (これは当たり前だ、でなかったらWebサーバやISPが犯罪行為をしていることになりかねない、インターネットの構造を否定することになる) が、保存をしたか、キャッシュから抜いたりしていないかなんてのはあなたのパソコンを押収して調べなきゃ分からんことです。この国では、逮捕されて捜索されたらその後裁判で無罪判決をもらっても「犯罪者」扱いですからね。容疑者というのはあくまで容疑であり、有罪とはイコールではありません (というか、推定無罪の原則からすれば、「容疑者」と呼ばれている段階ではその人は無罪として扱わなければなりません) が、どうも感覚として犯罪者というイメージがつくものです。俺かて正直そんなもんです。

まあ、俺がこのブログでわざわざそんなことをしなくても、ネットには著作権侵害の疑いのあるモノはゴロゴロしているんですから、そうなると警察が気に入らない人の名誉を傷つけ自由を制限するためにこの捜査権を濫用することもあり得るでしょうな。ちょっと事件は異なりますが、英国のミュージシャンのピート・タウンゼントさんはインターネットでそういうサイトに接続したことで児童ポルノ単純所持の疑いで捜索されました。 The Who のドキュメンタリー映画「アメイジング・ジャーニー」にその時の映像が出ていましたが、パワーマックが何台も押収されトラックに載せられる様子が見られました。当時の日本にもロックファンにはかなり大きなニュースとして報道されました。三ヶ月の捜査の後、法に触れる画像などを一切保存していなかったことが分かって不起訴となったそうですが、少なくともタウンゼント氏の名誉はひどく傷つきました。あくまで噂レベルですが、これには平和運動家でもある氏の面目を潰す目的があったのではないか、などとも言われています。英国は当時イラク戦争に参戦していました。

ですから、ダウンロード禁止規定は絶対に犯罪にしてはいけませんし、そもそも現行規定も何を守っているのか不明確なので不要と思います。



ただ、党首の言うプライバシーに捜査権が大きく踏み込むきっかけを与えてしまうという指摘は俺にも気になるところです。でもどうでしょう?党首が例示するインターネットのビデオチャットは、不特定多数にばらまく行為ではありませんよね。「プライバシー」と言うんですから、不特定多数がその通信を受けられる状況というわけではないはずです。「不特定多数に送信する、あるいはできる状態にすることを禁ずる」とする限りは、「プライバシー」には問題がないはずです。

というわけで、私は「著作物を権利者の許可なく不特定多数に送信するあるいはできる状態にすることは禁ずる、ダウンロードは自由とする」ということを提案します。ここでいう自由は、「してよろしい」の自由というよりかは「咎められない」の自由です。繰り返しますが、あんまり褒められた行為でないのは俺だって分かっています。

続く

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テーマ : 著作権・特許権
ジャンル : 政治・経済

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