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皆さん投票に行きましょう

私、前回の記事で小選挙区制に文句をたれましたが、それが、これに同意してくださる方々の投票意欲を削ぐことになってしまってはいけないと思うので書きます。

皆さん、投票に行きましょう。

小選挙区制に不服があっても、我が国の衆議院議員選挙は小選挙区と比例代表の並立制です。比例代表の投票はまず無駄にはなりません。

また、小選挙区であなたの思う候補に勝ち目がないようでも、堂々とその人に投票しましょう。もちろんそれによって死票率は上がるでしょうが、じゃあ皆で勝つ人に信任投票して死票率を下げたらそれで良いという問題でもないのです。

そもそも票を投じたい人・党がない場合はどうしましょう…。票の誘導みたいなことはしたくないので皆さんにお任せしますが、私の大学で教えていたある先生はこう言ってました「自分の思うところを100%酌んでくれる候補なんかもとよりいるはずがないんだから、マシだと思うところに投票しましょう、民主主義とはそういうものです、投票する人は皆そうしているのです」と。特に比例区は選択肢が多いですし、小選挙区のように莫大な死票を出すものではないですから、あなたの選択にはちゃんと意味があります。どこかに投票してやってください。

最後に、第二次大戦期の英国首相ウインストン・チャーチルの言葉を紹介します。

民主制が完全で賢明であると見せかけることは誰にも出来ない。実際のところ、民主制は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主制以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。

Wikiquoteより引用。

カッコつけて紹介とか言ってみたものの、これ教科書に書いてあったよな。皆知ってるよね。でも、忘れがちなことです。そして忘れてはいけないことだと思います。

テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

また小選挙区で選挙だよ…

また選挙ですね。

小選挙区制の問題について今まで何度か指摘し、俺はこれを廃止するべきだと主張してきました。

指摘した問題点を簡単にまとめますと、
・政党別の得票率と議席獲得率の乖離が激しすぎる。前回の選挙では政党別の得票率では自民43%に民主23%であるところ、議席獲得率は自民79%に民主9%となり、前々回では自民38.6%に民主47.4%の得票が自民21.3%に民主73.7%の議席に化けた。
・死票が多すぎる。前回の選挙では国民の総有効票のうち53%が議席に反映されなかった。多数決の基本は過半数なら、過半数もの票を捨ててしまうのはどうなのか。
・投票先が限られてしまう。全ての選挙区で全ての党が候補者を立てられるわけではないので、多くの選挙区で事実上の選挙の制限になってしまう
・党内での派閥争いや政策論争に選挙が関与できない。選挙という国民の政治的意思決定とは関係のない有力議員の増長を招き、力の劣る議員は公認外しを恐れて自由な意見・政策を持てなくなる恐れも
・多数の議席を作出し安定政権が築かれるという当初言われていたメリットは、この二十年の日本を見れば、そのようなメリットは存在しなかったのは明らか。
・一強野党に政権与党の批判票が集中して政権交代も容易となるというメリットも、英国・米国の階級社会、激しい経済格差、政治宗教思想の対立など特殊な事情によって成り立っている可能性が高く、明らかに社会事情の異なる日本でそれが成立するか疑問。日本では小選挙区制によって政権への批判票を集め大躍進を遂げた多くの党は皆短期間で崩壊している。新進党、民主党、みんなの党、維新の会。これが日本のために良いこととは思えない。

詳しい話はこれまで書いた記事をご覧ください
MSフリーで行こう 小選挙区制の廃止を求める
MSフリーで行こう 一票の格差に違憲状態判決、しかし選挙得票と議席の格差は…
MSフリーで行こう 小選挙区制はやめた方がいいと思う

今回安倍政権が解散を選択したのは、支持率は下がっていても小選挙区制マジックによって今なら圧倒的多数の議席獲得が見込めると踏んでのことでしょう。もしそうならこれは小選挙区制の悪用です。死票を大量に出して選挙結果が歪むことを期待しての解散は、小選挙区制のデメリットの悪用であり国民に対する重大な背信だと思います。憤りを覚えます。

ちなみに憲法学の世界では、内閣には自由な衆議院の解散権がないと考える向きもあります。というのも、我が日本国憲法には自由な解散権があるとは直接的には書かれていないのです。解散すべきことについて書かれているのは、第69条にある「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したとき」だけなのです。ではどうやって国民の議会である衆議院を内閣が解散しているかというと、第七条三号に天皇の国事行為として衆議院の解散を定められており、第三条に天皇の国事行為に「内閣の助言と承認」が求められていることから、内閣は衆議院を解散できると「解釈」されているのです。内閣による自由な解散権を否定する考えからすれば、七条はあくまで儀式のことを定めたものということになります。

この憲政下60年余、幾度も69条によらない解散が行われてきました。今更この解釈を変えるのは難しいでしょうが、今回の解散は小選挙区制のデメリット濫用の点を見ても非常に不健全・不健康なものだと私は思います。内閣が好き勝手に衆議院を解散する権限はないとする学説に、やや同調したい気もします。



どのような選挙制度に取って代わられるべきか。私自身の中でもうまく定まってはいません。ただ、近年何かと話題の一票の格差問題に絡めば、全国一区の比例代表制にしてしまえば小選挙区制による党別の得票率と議席獲得率の歪み、投票先の制限問題、死票問題と合わせて一気に解決できます。ただし、各地方独自の争点を国政選挙に載せることが難しくなり、地方が蔑ろにされる可能性もはらみます。

もしくは旧中選挙区制、でしょうか。あるいは旧中選挙区制のような比較的大きめの区割りで比例代表制を行うべきだというアイディアもあります、これならば地方独自の争点を国政選挙に載せることが可能になります。ちなみに完全に比例代表制になってしまえばこれまた党内での政策論争や派閥争いに選挙は関与できなくなりますが、大政党を組織する理由も失われるので党内で非主流派となった派閥は党を割って出て行くでしょう、これこそ政党政治のあり方だと思いますが…。

いずれにしても、党別の得票率と議席獲得率の歪み、投票先の制限問題、死票問題は国民主権に対する重大な挑戦だと思います。もっと深く議論されないものでしょうか、議会でも、メディアでも、市民の間でも。

私は、日本には英国・米国のように他のことがどうでも良くなってしまうくらいの相容れない二大勢力の対立 (「二大政党」ではない、英米の二大政党は国内の二大勢力の対立がベース) がないのですから、無理に二大政党をつくろうとしても無駄というか、逆に変な歪みを強めてしまう可能性が高いと思います。比例代表制や、旧中選挙区制のような多くの人々の意見を取り込める方が民主主義の制度として元来健全だし、日本にもあっていると思います。

というか、小選挙区制はもはや違憲に近いと思います。我が国の憲法は民主主義を定めたものです。半数超の票を平然と死票にし、選挙結果を歪めることは民主主義に対する脅威です。伝統的に小選挙区制を取ってきた国、つまり英米にとってはそれこそが民主主義に適う事情があるのです。日本は違います。

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