北陸では希少な国宝建築物!高岡山瑞龍寺/加賀藩主を祀るとても美しい名刹

日本には数多くの国宝建築物があることはご存知だと思いますが、では、富山・石川・福井の北陸三県にはいったいいくつの国宝建築物があるでしょうか?

答えは、富山1、石川0、福井1の合計2つ。2つって少ないよなぁ。
百万石の城下町で伝統的な建物が多そうな石川がゼロ件ってのが、結構意外に思われたりするものです。

今回は、北陸に僅か2つしかない国宝建築物のうちの一つ、富山県高岡市の「瑞龍寺」という曹洞宗のお寺にスポットを当ててみました。
国宝に指定されているのは、「山門」「仏殿」「法堂」の3棟です。

国宝なだけあってとても立派!
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(瑞龍寺山門)

国宝建築物は外から見るだけでなく、中に入ることもできますよ
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(瑞龍寺仏殿内)

冬で天気があまりよくないのもあって、これほど立派なお寺なのにほぼ「貸切状態」(^^;。
全国的な知名度はまだ低いのかもしれませんが、今年3月に開業する北陸新幹線の新高岡駅から徒歩圏内にあるので、新幹線開業後はきっと今以上に賑わうと思われます。
人の少ないうちに回ってみようかなと思い、いざ瑞龍寺へ!

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2015年01月12日 富山県高岡市 瑞龍寺


余談になりますが、JR高岡駅で電車を降りると出口の名前がちょっとユニークなことに気がつきます。
多くの駅が「東口」とか「北口」とか、味気なくて当たり障りのない方角名をつけている中で、高岡駅は一方が「古城公園口」、そしてもう一方が「瑞龍寺口」と、いずれも高岡市内の代表的な観光地名を出口名に採用しています。
これなら出口の先に何があるのかがイメージできるし、街の個性も見えてくる。
僕は初めて見た時に結構イイ試みだと思いました。

そう思ってたら、なんと地元の金沢駅でも北陸新幹線開業に合わせてこの「高岡駅的」な出口名を採用することが決定し、従来の東口は「兼六園口(東口)」に、西口は「金沢港口(西口)」に変わるそうな。
新潟県の糸魚川駅でも「日本海口」「アルプス口」なんていうハイカラな名前が採用されたようですし、この流れは今後も続くように思えます。つまり、高岡駅は「出口名の脱・東西南北」のトレンドを北陸でいち早く先取りしていたってワケですね。

・・・で、結局何を言いたいかといいますと。
つまり瑞龍寺はJR駅の出口名に採用されるほどのステータスを持つ、高岡を象徴する観光地であるということです(^^;。



瑞龍寺は加賀藩三代藩主前田利常が江戸時代初期(1663年)に建立した、典型的な禅宗様式のお寺。
二代目藩主前田利長の菩提寺であることのほか、境内の3棟が国宝に指定されていることがよく知られています。
お寺の真ん前に無料駐車場があり、そこに車を止めればさっそく目と鼻の先に重要文化財の「総門」が見えます。
この門をくぐることで、国宝瑞龍寺ワールドの始まり始まり!
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典型的な「七堂伽藍」のお寺であることでも有名。
七堂伽藍とは、「山門・仏殿・法堂・庫裡・僧堂・浴室・東司」の七つのお堂のことを指すそうですが、そのうち浴室・東司を除く5つが現存しています。
お寺入口の案内板もこんな感じ。
七堂伽藍を人体にあてはめた「人体表相図」がちょっと不気味(^^;。
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(手前の「七間浄頭」と「浴室」は現存せず、写真はCG合成ですって)



総門をくぐった直後眼前にドーンと現れるのが、瑞龍寺に3棟ある国宝建築物のうちの一つ「山門」。
「さすが国宝なだけはある」と納得させられる立派な容姿です。
門をくぐる人の姿から、山門のスケールの大きさを感じていただければ。
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総門から山門に至るこの参道の左右両脇は、本当は白い玉砂利が敷かれたとても美しい景観を見せてくれるのですが、あいにく積雪のためその様子をうかがい知ることができませんでした。
玉砂利の代わりに、玉砂利のような丸い顔の娘を・・・山門の前で親バカショット炸裂です(笑)。
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・・・とまぁ笑顔だった娘ですが、山門をくぐろうとすると突然怪訝な顔つきに。
「鬼さんがいる」
と怯える視線の先には「金剛力士像」が睨みを利かせていました。
やはりこの容姿、3歳の女の子にはちょっと怖かったようですが、まぁお寺ってそういう厳粛なムードの場所だということを知ってくれたと思います。
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山門をくぐると、真正面に2つ目の国宝である「仏殿」が現れます。
回廊で囲まれた四角い敷地は雪で真っ白。それにしても随分雪が残っているよなぁ。
この日、金沢市の積雪は公式で2cmだったのですが、高岡市は29cm。
年始には52cmまで積もったそうで、通路の左右に積まれた雪の山が年始の大雪を物語っているようです。
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仏殿の裏側に回ってみました。
ここからは仏殿と山門によるダブル国宝が楽しめて、瑞龍寺随一のシャッタースポットのような気がします。
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上の写真なんかを見ていただくと分かると思うのですが、仏殿の屋根が山門に比べて白っぽいです。
これは雪で白いってのもありますが、屋根に「鉛」を使っているから白く見えるらしい。
鉛瓦と言えば、金沢城の屋根瓦も同じく鉛でできているので白っぽく見えます。
金沢城の場合は「美しく見せるために」あるいは「有事に鉄砲玉の材料として使えるように」といった理由があったそうですが、この瑞龍寺はどうなんでしょうね。
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(金沢城石川門の鉛瓦)


普段から金沢城で鉛瓦を目にしているのであまり違和感が感じられないのですが、このような屋根は日本国内では金沢城と瑞龍寺にしか存在しないそうです。
金沢や高岡の人間は、日頃から非常にレアなものを目にしていたのだなあ。
かたや金沢のお城、かたや高岡のお寺。
異なる街の、異なる種類の建物同士ですが、こんなところから「前田家つながり」を感じます。
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仏殿の内部に入れます。
中は薄暗くて肉眼であまりよくわからなかったのですが、仏殿の中心に仏様が祀られていました。
釈迦如来・文殊・普賢菩薩の釈迦三尊とのこと。
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さて、瑞龍寺の総門から入ってまっすぐ歩き、その突き当りに建っているのが3つ目の国宝である「法堂」です。
他の建物に比べてとにかく大きくて屋根も立派!
その屋根から落ちた雪の山がこれまたすごい。
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さっきは仏殿と山門でしたが、今度は仏殿と法堂によるダブル国宝も楽しめちゃいます。
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国宝建築物であるにも関わらず、フツーに自由に中に入れるのが嬉しいですね。
中は白と茶色の世界で、ここには曲線美ならぬ「直線美」があふれています。
冬の法堂内は底冷えして寒かったです。
冬のお寺ってどこもそうなんですが、凛とした身も心も引き締まる空気が漂います。
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3棟の国宝建築物をはじめ、瑞龍寺は美しいです。
でもこのお寺で一番美しいと思った・・・というか、「これが瑞龍寺らしさなんだろうな」と思わせたのは、重要文化財の「回廊」と呼ばれるいわば廊下です。
瑞龍寺七堂伽藍のお堂たちを、屋根つきの長い廊下で長方形の形でつないでいます。
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(瑞龍寺の回廊と、鐘楼(手前)、大庫裏(奥))

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(回廊と仏殿)


長方形の長辺に立つと、これが長いのなんの。まっっっっっっっっっすぐに伸びる回廊に目を見張りました。
規則的に並んだ障子窓からこぼれる明りが白壁に反射して、中は電灯がなくてもほんのりと明るいです。
晴れている日は日差しが直接差し込んで、もっと綺麗なんでしょうね。
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最後に山門に戻って中を見てみると・・・何かの像がポツンと置かれていてライトで照らされていました。
これはここ瑞龍寺に祀られている「烏瑟沙摩明王(うすさまみょうおう)」像。
不浄な場所や悪を清めるとされている「トイレの神様」として全国で崇められていて、瑞龍寺の烏瑟沙摩明王像は全国屈指の大きさだそうです。
ホンモノは法堂の中で前田利長の位牌と一緒に祀られているとの話なので、この山門に置かれている像はレプリカもしくは模型でしょうかね。
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よく見ると結構イカツイ顔をしていますね。
烏瑟沙摩明王像は実際に瑞龍寺の東司(トイレのこと)に置かれていたそうですが・・・
こんなお顔に睨まれてたんじゃ出るものも出ないかも(笑)。
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ってなワケで、富山県高岡市にある「瑞龍寺」でした。
かつて、ライトアップイベントのときに訪ねたことがあるんですが、その時はまだ小さかった娘が大泣きしてしまって、山門を数枚しか撮れずに帰ったという「悲劇の舞台」でもありました(笑)。
今回はライトアップではありませんが、ゆっくりと散策することができました。
今度は青空の時にまた来たいし、ライトアップのリベンジも必ずしたいと思います(^^)。

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(瑞龍寺ライトアップイベント 2013年08月撮影)




<高岡山瑞龍寺>
【駐車場】有(無料)
【入場料とか】500円
【所要時間】1時間

【地図】


【リンク】
高岡山瑞龍寺


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まっさ

>みんこさん

こんばんは♪
そうですね、高岡はみんこさんの故郷でしたよね。

高岡の古い町並みも、ちょっと興味があります。
車でサラっと通過したことは何度かあるんですが、今度じっくりと歩いてみなきゃ。
古城公園も桜の時期や紅葉は綺麗でしょうし、あの辺には有名な大仏さんもありましたよね。
ほんのちょっとお隣の街なんだけど、まだまだ知らないことが多いです。


東・西ってのは無粋だよねぇ。
でも、在来線の高岡駅とは違って、新しくできた新高岡駅は相変わらず北口・南口って呼ぶそうです。
富山駅も。
ん~、富山県の新幹線駅はせっかくなんだからもうちょっとひねってほしいなぁと思いました。

お立ち寄り、感謝♪

2015/01/24 (Sat) 21:39
まっさ

>aunt carrotさん

こんばんは♪
鎌倉ほどの観光地だと比べ物にならないほど人が多いから、それだけ沢山の注意喚起がいるんでしょうね。
入り口1カ所に1枚張れば事足りるハズなのに、それでもマナー違反が続いたから、ベタベタ張られたんでしょうか。
見る方も見せる方もお互い心配りが必要ですね。


新幹線が開通すると、北陸のいろんな観光地で人が増えると思われます。
鎌倉ほどではないにせよ、いろんな問題が出てくるかもしれませんが、いろんな人に北陸の良さを見ていただけるのは嬉しいことだし・・・複雑な問題ですね~(^^;。

お立ち寄り、感謝♪

2015/01/24 (Sat) 18:59
みんこ

リベンジ瑞龍寺(笑)
回廊はいいですね。


障子が好きで家を建てたときぐるりと
障子にしたんです。60枚だったかな貼り替え...
自分でやっていました(T ^ T)
ガラスのない頃日本って障子一枚で外界と境を作っていたでしょ。
堅牢な建材で護る西洋の建物と違いますよね。

高岡市内の町家もおもしろいですよ。
わたし、高岡市出身なんで(笑)
古城公園大好きです。

東、西なんて無粋。

2015/01/23 (Fri) 13:54
aunt carrot

木造建築って本当に美しいですね。
とにかくシンプル、最小限の色。
白壁と障子と木、、最高ですね。
そして何より気持が良いのは張り紙が見当たらないことです。
鎌倉では常に三脚禁止、禁煙の張り紙がべたべた、、、。
新幹線が開通して観光客が多くなっても今のままでと願わずにいられません。
トイレの神様、、、怖いです~♪(笑)
良いものを見せていただきました。応援P!

2015/01/22 (Thu) 07:47
まっさ

>土佐けんさん

こんばんは♪
そう、石川県には国宝の建物が一つもないんですよ。
建物じゃなければ、工芸品で国宝が1点だけあるようです。
金沢は加賀百万石だからって言うか、戦災に遭ってないので昔の建物が比較的残っていたりするんですが、せいぜい200年とか300年とか古くて400年、それくらいの歴史なので、国宝には成り得ないのかもしれませんね。


これはどこの街にも言えることですが、お城が天守閣も含めてしっかりと残っていてくれれば国宝だったんだろうなぁって思います。
お城が残っていないのは、勿体ないなぁ。


お寺好きなら、瑞龍寺も喜んでいただけると思います!
でも土佐けんさんなら京都のお寺で目が肥えてそうですね(^^)。
お立ち寄り、感謝♪

2015/01/21 (Wed) 23:37
土佐けん

こんばんは

瑞龍寺の紹介をしていただき、ありがとうございます^^
神社仏閣の大好きな僕と助手、喜んで見せて頂きました^^
さすが、国宝、立派ですね~~~
こう言う場所に行くと、回廊がたまりませんよね^^
僕もよく歩いています^^
加賀は100万石だったのに、石川県に国宝が一個も無いんですか?
何故なんでしょうね?

ポチッ全部!

2015/01/20 (Tue) 21:55