医王山大池平(大沼)と三蛇ヶ滝の紅葉/お気軽トレッキングで出会える深山幽谷のセカイ

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石川県金沢市と富山県南砺市にまたがる医王山(いおうぜん)。
僕ら金沢市民にとっては、晴れていれば毎日目にすることができるとても身近な里山なんですが、この山の懐の奥深くまで入り込んだことがあるという人はそんなに多くないかもしれません。実際、僕自身もそんな一人でした。

もう少し医王山と真剣に向き合ってみたい(医王山は恋人かっw)。
車で行けるところではなく、ジックリと自分の足で歩いた先にある、歩いた者にしか分からない景色を見てみたい。
そう思い立って、紅葉ピークの週末に医王山屈指のビュースポットと言われている大池平と三蛇ヶ滝に向かいました。
車だけではたどり着けない秘境の地へ、いざ行かん!
・・・とまぁ多少大袈裟に言えばそんな感じですが、実際は老若男女誰もが楽しめるトレッキングコースを歩いて医王山の大自然を満喫してきたぞってお話です。

お気軽トレッキングではありますが、そこで目にした景色は上の写真のように深山幽谷のセカイ。
身近な山なのに普段目にすることのできない意外な一面というか、医王山の自然の奥深さを肌で感じることができました。
紅葉の絶頂期だたので色とりどりに染まった山肌が本当に美しかった。

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ってなワケで、今回の記事は医王山の中腹に広がる紅葉絶景をお伝えします。

この秋は医王山の魅力に憑りつかれてしまいました。医王山の記事はこれで3本連続ですが、その中でも今回見た景色は間違いなく一番見応えを感じるものだったと思います。
やはり自分の足で向かった先にある景色はサイコーですね。


2024年11月17日 石川県金沢市 医王山県立自然公園(大池平・三蛇ヶ滝)


前週に続き、二週連続で医王山の紅葉狩りです。天気は今にも降り出しそうではあったんですが、曇り空だからこその美しさもあるはずだと信じて。
前週は比較的標高の高い場所(夕霧峠~蛇尾山~国見平)が紅葉の中心でしたが、1週間経って紅葉がもっと下の方まで降りてきたハズなので、今回は中腹にある大池平という場所を目指すことにしました。

大池平への一番の近道は、石川県側の「医王山ビジターセンター」に車を止めて、そこから徒歩で医王山の懐深くへ進むルートです。ビジターセンターはかなり山奥で、県道27号の医王ダム付近から林道に入り、すれ違いも困難な幅の道を20分ほど進んだところにあります。「こんなところに施設が本当にあるの?」と疑ってしまうほどに山奥。

でもそのロケーションだからこそ出会える景色があります。ビジターセンターに続く林道からは圧巻の紅葉風景が!
あまりの紅葉の美しさに思わず車を止めてカメラを構えます。
え!?医王山、ちょっと想像以上にすごくない?
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医王山はとても身近な山だけど、紅葉の時期にビジターセンター付近に来るのは今回が初めてです。
普段はもうちょっと地味な景色だったはずだけど、紅葉の最盛期は山肌を埋め尽くすカラフルな木々たちが本当に鮮やかでビックリしました。正直、ここまでとは思っていませんでしたね。
第一級の紅葉名所に全くひけをとらないではないか!
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そうこうしているうちに、三角屋根が特徴的な医王山ビジターセンターに到着です。ここから先は登山道。
ここ思いっきり山奥なんですが、その割には広々とした場所です。建物も割と大きな造りだし、かなり広い駐車場があります。初めて来る人は、まさかあの狭い林道を走った先にこんな立派な施設があるなんて、誰も思わんだろうな。
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ここは医王山登山におけるベース基地みたいな位置づけです。特にこれから向かう大池平や、医王山登山のハイライトと言われている鳶岩(とんびいわ)への前線基地にもなっていて、シーズンになると多くの登山客でにぎわいます。
ただ、この日は紅葉最盛期にも関わらず、天気が悪いせいかひっそりとしていました。ここまで静かだと不安になってしまいます。最近クマがよく出るって話だし・・・(汗)も、もう少し賑わっていたほうが良かったな。
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付近の標高はおよそ400m、紅葉は今まさに絶頂期って感じです。
別に登山道を歩いてさらに山の奥に分け入らなくても、ここだけでも十分に見応えのある紅葉が楽しめたんですが、この先にはさらなる絶景が待っているのだと期待して、進んでみることにします。
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では、歩きましょう!
医王山ビジターセンターから大池平まではおよそ2.1km、約45分とのこと。大池平の標高は550mほどなので、ビジターセンターとの標高差は140mくらいで、まぁそんなにシンドい坂でもなさそうです。
また、今回は大池平からもう少し先にある三蛇ヶ滝というところまで歩きたいと思っています。ビジターセンターから三蛇ヶ滝までは片道約1時間ってところでしょうか。2時間も3時間もかかるなら考えものですが、1時間ならまぁ先日の天生湿原と大して変わらないし、行けないことはないでしょう!
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ビジターセンターから大池平までは、下の写真のような歩きやすい道が続いています。
登山道というよりも遊歩道と言ったほうが近いかな。道幅が広いし急勾配や危険な箇所は一切ないし、登山に慣れていない人でも、それこそお年寄りでも子供でも遠足気分で歩ける道です。
ただ、やっぱりクマと出くわすのは怖いんで注意が必要。わざとらしく咳払いしたり声出したり、とにかく音を立てながら歩きました。普段登山はしないので熊鈴とか持っていないんですよね(汗)。
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見晴らしのいい場所からは、医王山の山腹の紅葉が楽しめました!
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なんか、めっちゃ写真映えするところじゃないですか。
医王山にこんなところがあったなんて今まで全然知らなんだ!

この感覚は、普段からよく知っている街だけどいざ細い路地を自分の足で歩いてみると意外な発見が連発した、というのに似ています。もう何もかも新鮮すぎます!
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そして、突然開けた場所に出くわしたと思ったら、目の前には崖が現れ、その頂にはめちゃくちゃ尖がった岩があるではないか。
あぁ、あれが医王山で最も有名な場所でもある鳶岩(とんびいわ)か!
写真では何度か見たことがあるけれど実物を見たのは初めて。想像以上にツンとしていて高い。
あの尖った先端に登るのが医王山登山の醍醐味だという話ですが、あんなところに登るなんて高所が苦手な自分にはちょっと想像ができません。でもいつかはあの岩から見下ろす景色を見てみたい!さぞや絶景だと思います。
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鳶岩は医王山の数ある登山コースの中の最難所。
急な岩場のため登頂するためには、それなりの技術と用具(靴)と何より度胸が必要です。あの岩を制したものが医王山を制したと言えるんでしょうね。
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さて、この辺りに今回の目的地の一つ大沼(おおいけ)があるはずだけど・・・
あ、あったあった、池があったぞ。
ってか、あれ?大沼ってこんなにショボい池だっけ?
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いえ、実際は上の写真は大沼ではないのですが・・・
恥ずかしいことに最初はてっきりこの池が大沼だと勘違いして写真を撮っていました。
あれ~、なんか思ったのと違うなぁ、ショボいなぁ。でもまぁここに来るまで綺麗な景色もあったし、まぁいっか・・・
なんてブツクサ言いながら。


この謎の小さな池から数十m先に進んだところにさらに少し開けたところがありました。
ベンチがいくつか並んでいて、どうやら腰を落ち着かせて休憩する場所みたいです。
ん?これはもしかして・・・ここが大池平か。
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右手に目をやると・・・
おぉ!これが大沼(おおいけ)か!こいつは綺麗だ!
静かに水を湛えた池の背後には、鳶岩の奇岩が紅葉した木々に彩られていました。
医王山屈指のビュースポットなだけはあります。
しかしこんなにも綺麗なのに、紅葉名所として広く知られているわけではないのが不思議です。もしこれが車だけで簡単に来られる場所だったなら、間違いなく県内有数の紅葉名所として崇められていたんだろうな。
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池に映る木々も綺麗です。
さすがに水面が鏡のように止まることはなかったけれど、早朝だったらそういうシーンもあり得たかもしれません。
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池を覆う様々な葉っぱたち。もうこんなにも散っているのね。
来週ではもう遅かったかもしれません。ちょうどいい時に来ることができました。
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さて、大沼でUターンして戻っても良かったんですが、ここまで来たんなら三蛇ヶ滝(さんじゃがたき)もしっかり拝んでおこうではないか。大沼から三蛇ヶ滝まではおよそ15分ほどの山歩きです。
相変わらず天気は良くないしさっきよりも空が暗い。いつ降り出してもおかしくないんだけど、でもここで引き返すときっと後悔すると思うんだ。
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三蛇ヶ滝へ向かう道は、これまでと一変してまさに「登山道」と呼ぶに相応しい様相。
ビジターセンターから大沼のある大池平までの道は誰でも歩ける優しい道でしたが、ここは違います。かなり急な下り坂で、ゴツゴツした石を足の踏み場を考えながら一歩ずつゆっくり進んでいく感じ。濡れていると滑りやすくて気が抜けません。
下の写真は来た道を振り返って見たところ。写真ではあまり感じないけど、結構な急勾配でしたね。ただ、滝の音はずっと聞こえていて、そんなに遠くないことが分かりました。あともう少し頑張れば滝だ。
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10分ほど進んだところで、木々の間から滝が見えるスポットがありました。
おぉ、これがウワサの(?)三蛇ヶ滝か。
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さらに急勾配の登山道を下りて、ついに三蛇ヶ滝に到着です!良い感じに紅葉しているじゃないですか。
三蛇ヶ滝は、鳶岩や大沼と並んで医王山屈指のシャッタースポット。滝はその名の通り三段構成になっていてその落差は20mです。決して大瀑布って呼べるものではないんですが、実際の見た目は写真以上に大きな滝だなって印象です。
それに、これまで見てきた紅葉風景とはやはり一味も二味も違います。滝ならではの良さがある、そう思います。
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木々に隠されてしまっていますが、よく見ると上方にも小さな滝があるように思います。
三段の滝であることがなんとなく分かるかなと。
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最後に三蛇ヶ滝の反対側の山肌を眺めました。
付近の標高は500mほどで、ここも見事な紅葉でした。
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ってなワケで、医王山の中腹に広がる大池平、三蛇ヶ滝の紅葉でした。
毎日何気なく目にする医王山ですが、車を降りて懐の深くへ潜りこめばこんなにも素晴らしい絶景があったんだと知り、改めて医王山の奥深さを感じることができました。
往復2時間かかりますが、大沼から三蛇ヶ滝までの短い区間を除けば起伏の少ないトレッキングコースになっているので、半日もあれば割と気軽に深山幽谷のセカイを楽しめるのもいいところです。

さて、ここまで医王山を知ってしまったからには、ちゃんと登山道を歩いてその頂に立ってみたいもの。ただ、この記事を書いている12月上旬ですでに山頂付近には雪が降り始めているので、さすがに初心者は春の雪解けまで待たなければなりません。
来年の春は、新緑に触れながら医王山を登ってみたいと密かに考えている今日この頃です(^^)。



医王山の紅葉/北陸屈指の景色に会えるドライブコース、夕霧峠・蛇尾山・百万石道路

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金沢市の東側に医王山(いおうぜん)という山がそびえています。標高1000mに少し届かないくらいの山ですが、日本三百名山の一つに数えられ、比較的簡単に登れることから人気のある山です。医王山は金沢市民にとっては毎日無意識に目にする身近な「里山」というイメージがついているし、登山家の間では「低山」にカテゴライズされる山です。でもその頂の付近から眺める景色は日常離れした絶景。東は北アルプスと富山湾、西は金沢市...



<医王山大池平>
【駐車場】あり(無料)
【入場料とか】無料
【所要時間】2時間(ビジターセンター~三蛇ヶ滝 往復)

【地図】
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まっさ
まっさ

>yamakaze1183さん

こんばんは!
医王山の紅葉、とても良かったです。
自分の足で向かうと満足感も大きいですね。

1枚目の写真の岩場の上から、この大沼周辺を見下ろすのがこれまた絶景らしいです。
来年以降はもう少しレベルを上げて山を歩きたいなと思っている今日この頃でした!

2024/12/07 (Sat) 22:41
yamakaze1183

1枚目からまるで絨毯みたいな景色が見事ですね。色とりどりですばらしいです。

2024/12/06 (Fri) 07:12