天生峠と天生湿原の紅葉/北アルプスや雲海も楽しめるお手軽トレッキングコース

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2024年最初の紅葉狩りは、白川郷を挟んで霊峰白山と対峙する飛騨の紅葉名所、天生峠(あもうとうげ)へ行ってきました!
飛騨の紅葉と言えば、白山白川郷ホワイトロードや飛騨せせらぎ街道が有名です。知名度の面ではそれらには少し劣るかもしれませんが、天生峠の紅葉だってなかなか綺麗で見応えがありましたよ。

天生峠の紅葉は、車の中から眺めるだけではちょっともったいない。
少し手間と時間はかかりますが、せっかくここまで来たのなら車を下りて登山道を歩くことをオススメします。その先にある天生湿原まで足を運べば、ホワイトロードやせせらぎ街道とは一味も二味も違う秋の景色が楽しめるので。
「え!?登山なんて嫌だよ」と思うことなかれ。登山道ではありますが、湿原までなら別に登山用の装備も気概も必要ありません。普段通りのスニーカーで難なく歩ける、それなのに割としっかりとした「山ならではの景色」が楽しめるのが、天生峠のGoodポイントだと思います。

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てなワケで、今回の記事は岐阜北部、天生峠の紅葉です。
この記事を書いている頃にはもう峠の紅葉は終了していると思いますが、もし気になるようでしたら是非来年の秋の「行ってみたいリスト」に追加しておくといいかと思います(^^)。


2024年10月26日 岐阜県大野郡白川村/飛騨市 天生県立自然公園


天生峠に行ってきたと言うと、「ひらゆの森の温泉には浸かってきた?」なんて返されます。
いや、それは天生(あもう)峠ではなく、安房(あぼう)峠だからw
同じ岐阜県だし間違われることが多いので気を付けてくださいね。

天生峠は岐阜県白川村と飛騨市河合地区との間にある国道360号の峠です。安房峠がある国道158号とは違ってマイナーな国道なので、名前を知らない人が結構多くいらっしゃいます(安房峠はみんな知っているんだけどね~)。
白川郷の荻町合掌集落のすぐそばから、細く曲がりくねった国道360号を延々と山奥へ走っていき、ひたすら高度を上げたその先に天生峠の駐車場がありますが、今回目指すのはさらにそこから登山道を歩いた先にある天生湿原です。

まず最初のシャッタースポットは、白川郷から15分ほど進んだところにある「天生中滝」という滝。
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見た目は割とシッカリした滝らしい滝で、その落差は20mと言われています。
駐車スペースがほとんどないのでスルーされることも多いんじゃないかと思いますが、車を止めてちゃんと眺めると、これが結構写真映えするいい滝なんですよ~。
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「紅葉あるある」ですが、麓まで来てみたものの全然色づきが進んでなくて焦りまくったが、上の方はしっかり紅葉していたって経験、多いんじゃないでしょうか。麓が青葉でもそこから10分も進めば錦秋の別世界に様変わりすることはザラにありますから、紅葉情報を信じて進みましょう。
今回の天生峠もそんな感じ。麓はご覧のようにほとんど色づきが進んでいませんが、峠の紅葉のステータスは「見頃」とのことで、おそらくこの道を進んでいけばやがて別世界が広がるハズ。
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「白山連峰眺望台」まで進むと、少し色づいてきた気がします。
この展望台は白川郷を挟んで真向いに聳える白山の眺望スポットで、大きな看板が目印になります。
初夏のまだ雪が多く残る頃の姿が美しいんでしょうね。
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展望台からは、白山の主峰である御前峰はもちろん、剣ヶ峰、大汝峰もクッキリ見えました。
ただ、天気は残念ながら曇り空だったので最高の眺望とまでは言えませんでした。晴れていれば白山の山腹の紅葉も楽しめたんじゃないでしょうか。
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白山連峰眺望台から先は、木々の色がどんどん秋色に変わっていきました。
紅葉は標高およそ1000m付近まで下りてきているみたいです。これならきっと天生峠も紅葉真っ盛りだぞ。
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白川郷からおよそ30分ほどで、標高1290メートルの天生峠に到着です!
紅葉はちょうど今がピークのようです。曇り空の下でも色づいた木々が鮮やかに目に映りました。
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こちらが天生峠駐車場。パっと見た感じおおよそ50~60台くらい止められそうな比較的広い駐車場です。
午前9時過ぎにはすでに結構埋まっていました。みなさん朝早くからここに来て、トレッキングや登山を楽しんでいるみたい。
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実は天生峠はこれまで何度も来たことがあります。いや、正確には「通ったことがあります」、かな。こうやって駐車場に車を止めて外に降りたのは今回が初めてです。
この先しばらく歩いていくと湿原があることは知っていましたが、さてどんな景色が待っているのか楽しみです!


こちらが登山口。ここから先は入山料が必要になります。
テントの係の方に500円を支払って、地図をいただいて、いざ入山!
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ちなみにこの登山道は天生湿原がゴールではなく、その先にある籾糠山まで続いています。
僕みたいに軽い服装で天生湿原で折り返す予定の人はどちらかというと少数派だったかも。


登山道に入るや否や、「熊に注意」の看板発見(^^;
ですよね~、やっぱ出ますよね~。
今年は熊の目撃多かったからね。僕の家の近所でも2回出ていますし、天生峠で出たって何も不思議じゃない。
もしかして、熊鈴必要だったか!?
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幸い、僕以外にも多くの登山者がいるので、多分熊のほうから登山道に近づいてくることはないでしょう。
万が一を想定して、他の人とペースを合わせてなるべく一人っきりにならないように歩くことにしよう。
ちなみに、登山道の所々には下の写真のような熊除けの鐘が置いてありました。こいつを棒で叩いて大きな音を出してから前へ進むことが推奨されています。
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駐車場のある登山口までが250m、天生湿原までが820m、つまり駐車場から天生湿原までは1070mの道のりになります。
そんなに遠いわけではないんだね。撮りながらゆっくり歩いても30分ってところかな。
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天生湿原に向かう登山道は、多少のアップダウンはあるけどさほどキツい道ではなかったです。これなら僕みたいに全く山登りに慣れていない人でも、小さなお子様でも、問題なく歩けると思います。
駐車場から湿原までに限るなら、登山装備も不要。登山靴も無くて大丈夫。晴れて足元が悪くなければ履き慣れたスニーカーでも問題ないと思います(汚れてもいいスニーカーでね)。
ただ、この登山道を歩く人は登山靴はいたり大きなリュック背負ったり、それなりに装備している感じがしました。天生湿原よりさらに先を目指している人が多いからだと思います。天生湿原よりも先はちょっとした装備があるに越したことはないと思います。
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途中、パっと視界が開けました。
その先に見えたのは・・・
日本の屋根と称される北アルプス3000メートル級の峰々!その手前の盆地には雲海が出てるじゃありませんか!
手前の紅葉も含め、今回見た中で最も印象に残る景色でした。いやぁ、こんな絶景に出会えるなんて。天生峠に来て良かったです!
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北アルプスにズームイン!
下の写真は槍・穂高連峰です。
左の一番尖っているのが槍ヶ岳、その右側にあるツンとしたピークが多分笠ヶ岳でしょう。
右端にポコポコポコとピークが三つありますが、左から順番に北穂高岳、涸沢岳、そして日本第3位の高さを誇る奥穂高岳です。
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いっぽう、こちらは北陸の人間には馴染みがある剱・立山連峰です。
やはりちょっと距離があるようで、いつも富山西部から見える姿に比べれば随分小さく見えています。
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そんなこんなで登山口から歩くことおよそ30分で天生湿原に到着しました!
ここの標高は1400m。駐車場からおよそ100mほど高度を上げたことになります。
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「天生の高層湿原植物群落」という名称で岐阜県の天然記念物に指定されている、貴重な自然の財産です。
湿原をグルっと取り囲むように木道が整備されているので、そこから外に踏み外さないように歩きましょう。
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うん、確かに湿原だ!
って、そんな当たり前な感想しか出てこないのかよw
ほんと、絵に描いたような広々とした湿原の風景が広がっていました。さっきまでアップダウンのある登山道を歩いていたのに、その先にこんな広くて平坦な場所があるのは何だか不思議な感じがします。
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「湿原は緑色」って勝手にイメージしていましたが(多分、尾瀬のミズバショウのイメージが強いからだと思う)、秋が深まると赤や橙にもなるんだなぁと改めて実感しました。
この色づき具合ですが、果たして今がちょうどピークど真ん中なのか、それともちょっとピークを過ぎてしまっているのか、初見ですから判別がつかないんですが、どうだったんだろ?
葉っぱが落ちてしまった木がかなり多かったので、ひょっとすると後者だったのかもしれません。
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まだ体力が全然余っているようなので、もう少しトレッキングを続けたいな。
地図を見てみると、比較的近くに「カツラ門」というスポットがあるということなので、せめてそこまでは行ってみようと思いました。
天生湿原からカツラ門までは約850メートルの距離。30分もあれば行けそうです。
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天生湿原からカツラ門までの道もアップダウンが緩くて歩きやすかったです。
黄色く色づいたブナの原生林の中を進んでいきます。
ブナの木を見ると無条件に「手つかずの大自然だ~」って思ってしまいます。
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天生湿原から30分ほどでカツラ門に到着!この付近の標高は1430mで、駐車場との標高差は140m。今回のトレッキングではここが一番高所になります。
カツラ門はその名の通り、カツラの巨木がまるで門のように立ちはだかる場所。この季節だと葉っぱがほぼ落ちきっていますが、新緑の季節のカツラ門は緑一色のセカイでなかなか見応えがあるようです。
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道行く人たちがしきりにカツラの落ち葉のニオイを嗅いでいました。
何なんだろうと思って後で調べてみると、カツラの葉は落葉するとまるで綿菓子のような(砂糖を焦がしたような)甘い香りを発するんだとか。この時は僕の鼻ではそのような香りを感じることはできなかったんですが、今度またカツラの木のそばを通る時にはどんな香りがするのかよく嗅いでみようと思います。



さて、カツラ門で少しばかり休憩して、来た道を引き返しました。
もう少し先を目指したかったんですが、それはまた次の機会にとっておくことにします。
最後に天生湿原をグルっと周りました。
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駐車場から天生湿原・カツラ門までを往復してだいたい4kmほど、ゆっくり歩いて約2時間コースでした。
とても心地よいトレッキングだったと思います。


ってなワケで天生峠と天生湿原の紅葉の様子をお伝えしました!
天生峠の紅葉は綺麗だぞって話は前から聞いたことがあり、秋に何度か車を走らせたことがあるんですが、正直なところ車で走るだけではそこまで満足しなかったんですよね~。
ところが今回は車を下りて歩いて山の中に入ってみることによって、峠道とは全然違う美しい光景に次々と出会うことができたと思います。
峠道の紅葉も確かに綺麗だけど、天生峠の紅葉の真髄は登山道を歩いた先にあるのだということが分かりましたね。
また来たいと思います!



<天生湿原>
【駐車場】あり(無料)
【入場料とか】500円(入山料)
【所要時間】2時間15分(天生峠駐車場→天生湿原→カツラ門→天生峠駐車場)

【地図】


【リンク】
天生県立自然公園
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まっさ
まっさ

>大樹さん

こんばんは♪
いよいよ街にも紅葉がやってきたんですが、今日は朝から風が強くて、早速木々の葉っぱが散り始めています。
今年、秋の訪れがかなり遅かったんですけど、意外に冬の訪れは早いのかも!?

今回の記事の天生峠ですが、通行止めが多いイメージがぬぐえないですね。
雪が深いところだから冬季閉鎖も長いだろうし、いつでも思い立って行ける場所ではないですね。
今頃はすっかり落葉して、今夜あたり雪が積もるかもしれません。


私も何年か前までは京都のほうへよく遠征に行ったものです。
でも最近は本当に外国人観光客が多いみたいですね。
最近は混雑するからと言って、京都の街に遊びに行くのを敢えて避けているかもしれません。
でも永観堂とか南禅寺とか東福寺とか、京都の紅葉の美しさは一級品だし、他の街とはやっぱり格が違います。
いつかまたゆっくり訪ねたいのですが、今の混雑っぷりが解消される日は来るんでしょうかね~!?

2024/11/18 (Mon) 20:39
大樹

No title

こんばんは。
紅葉狩りにはぴったりの季節になりましたね。
この天生峠、自分も飛騨市から白川郷に向かう時に使いたかったんですが、往時道路寸断で通れなかった地なんですよね。
大阪はまだ紅葉はこれからって感じですが、気持ち赤い葉も出てきたかなあ。
紅葉の紅葉はよく京都で見に行っていましたが、最近のオーバーツーリズムで全く京都に向かう気力もなく、最近は紅葉狩りに伺うことも無くなってしまいました。
大阪から北陸、北濃のエリアに行くとなれば早朝、いや夜中に出発しないといけないですが、この光景を拝めるなら行ってみても充分な価値ありそうですね。

2024/11/10 (Sun) 23:56