小説☆

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ブックマートの金狼 (NOVEL 0)ブックマートの金狼 (NOVEL 0)
杉井 光 片岡 人生
KADOKAWA / メディアファクトリー 2016-02-15

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 書店員だけど裏の顔を持つハードボイルドものということで面白そうだと思って読んでみれば書店員要素があるのは序盤だけ、あとは『神メモ』などでおなじみのストリートギャングもどきものでしなかなくてすげーがっかり。表紙イラストで銃を持っているけど、銃を使う場面なんて1ページたりともないし。しかも凄腕のトラブルシューターという作中の評価のわりには調査方法はだれでも思いつきそうな地味なものでしかないしわ、トラブルの対処法は単なるケンカで、しかもまわりの人間を巻き込んで被害を出しているわ、事件の真相もつまんねーわで読んでいてどんどん失望するだけだった。あとがきを読んだらこういう経緯だからこんな手癖だけで書いたような作品になったのかとさらに失望感が増した。残念。

異世界チート戦争 1 (オーバーラップノベルス)異世界チート戦争 1 (オーバーラップノベルス)
むらさきゆきや 藤ちょこ
オーバーラップ 2015-09-25

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とある男が不本意な形で生涯を終える。転生した先は、異世界だった。
セツリと名付けられた彼は、今世こそはと努力して天才と呼ばれるまでに成長する。
平穏な日々……だがマウという少女により、自分が戦う運命にあることを知らされる。
「このままだと、あなたが殺されてしまう、って神様が言ってたんだよ!」
異世界の神は言う――勝者には、世界を書き換えられるほどの秘宝を与えよう。
ある者は転生により、ある者は召喚により、ある者はゲームの延長として……神に選ばれし参加者たちは異世界の街ファルトラへと集められた。戦いの舞台へと。
超常の能力を秘めたチート魔術師たちの戦争――勃発!
 一冊ずつ一人のチート主人公のエピソードをやって、それから全員集合してチート主人公同士のバトルロイヤルになるのかと思っていたら早くも全員登場して予想外。でも考えてみれば昨今の出版事情で一人ずつ消化してから本番なんて悠長なことやってられないか。しかしそのせいで世界観が狭く小さなものになっている気が。せっかく異世界を舞台にしているのに、どんな文化があって、各種族にどんな特長があって、どんな技術があるのかよくわからないので、そんな世界に生きる主人公たちのチートっぷりがどれほどのものなのかもよくわからないのが残念。それ以外にもいろいろツッコミどころがあって好みに合わなかった。

幽霊詐欺師ミチヲ (角川ホラー文庫)幽霊詐欺師ミチヲ (角川ホラー文庫)
黒 史郎
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-03-25

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借金を苦に自殺しようとしていたところ、カタリという謎の男に声をかけられた青年ミチヲ。聞けばある仕事を引き受ければ、借金を肩代わりしてくれるという。喜ぶミチヲだったが、その仕事とは、失意の果てに命を絶った女の幽霊を惚れさせ、財産を巻き上げることだった! かくして幽霊とのデートの日々が始まるが……はたして幽霊相手の結婚詐欺の結末は!? 究極のウラ稼業“チーム・ミチヲ”が動き出す! 痛快感動暗黒事件簿。
 面白くなかった。二話収録されているわけだが、最初の一話目が幽霊のマミコと会って、戻ってきてカタリと話をして、またマミコと会っての単調な繰り返しに感じられて非常に退屈だった。マミコと交流を始めた初期の恐ろしさとか、そんなマミコが交流を重ねるにつれてじょじょにいじらしい一面を見せるところとか、そんな彼女に惹かれていくミチヲの心理とかが見どころなのかもしれないけど、マミコの変化に関してはあの程度のやりとりでコロッと騙されるなんてお手軽だなぁという印象でしかなかったし、ミチヲの心情の変化にしても短絡的に目先の情に流されているだけとしか思えなくて呆れるだけだった。二話目も要するにカタリの台本通りに動いているだけで主人公のミチヲにまるで主体性が感じられない。

 ホラーなんだからストーリーがどうのこうのよりも恐ろしそうな雰囲気を楽しむべきなのかもしれないけど、幽霊の血まみれの姿ってのははじめはインパクトがあっても何度も続くと慣れてしまって、グロいなぁとは思っても恐怖は薄れてしまうし(もちろん実際に目の前に現れたら怖いだろうけど、これは文字情報がメインの小説でしかないからなぁ。自分の想像力が足りないせいもあるのだろうけど)、幽霊に殺されてしまうかもしれないという恐ろしさも単純に思えていまいちだった。

G.L. 〜気がついたら女の子になって妹を守ることになったから、とりあえず揉んでみた!〜 (集英社スーパーダッシュ文庫 な 5-1)G.L. 〜気がついたら女の子になって妹を守ることになったから、とりあえず揉んでみた!〜 (集英社スーパーダッシュ文庫 な 5-1)
長野 聖樹 切符
集英社 2011-04-22

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平和主義の少年・愛洲隼人はある日、空から降ってきた宇宙人と衝突し、身体を損傷してしまう。
そして1年2ヶ月後、彼は藍田伊織という少女の姿に精神を移し、地球に戻ってきた。
それは義理の妹・マリアを守るため。
本人も知らないことだが、マリアは宇宙のとある国の皇女であり、刺客に狙われる存在だったのだ!
護衛のためにマリアと同居する伊織だったが、同性ゆえの無防備な姿に戸惑うことばかりで?
超銀河系バトルラブコメ、今ここに開幕!
 TSものということで問答無用で手を出してみたけど……きっついわ、これ。地の文章からしていまいちな上、安っぽいネーミング、安直な設定、厨二病な展開が満載で読んでいてつらかった。常識外れの設定やキャラクターの言動が許されるのがライトノベルとはいえ、この作品は全然受けつけなかった。ギブアップ。

 また肝心のTSネタに関してもある程度予想していたこととはいえ、美少女が同性だからと無防備に接してくるという安易なサービスシーン向け設定でしかなくてがっかり。あとがきによると作者はブラの着け方を調べ、ブラを着けた主人公が書きたいからこの作品ができたとのことだが、そういうシーンはこの巻の中には無し。二巻にはあるかもしれないとのことだが、出し惜しみせずそういうシーンをしっかり書けよとしか思えなかった(まあネタでいっているのでなければの話だが)。

 どうやら二巻が出ることも既に決まっているようだけど、よほどのことがない限り次は読まないと思う。

シオンの血族 1 魔王ミコトと千の花嫁 (一迅社文庫 す 1-5)シオンの血族 1 魔王ミコトと千の花嫁 (一迅社文庫 す 1-5)
杉井 光 (著)
一迅社 2010-03-20

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AD2016、長く続く世界戦乱の渦中の、帝都東京。
皇統を異形の敵から護る吸血鬼の家系“シオンの血族”が、そこで密かに息づいていた。
その若き女当主、紫苑寺有葉のもとに、ある夜、ひとつの棺が運ばれる。
かつて魔力の暴走を抑えるために封印された、有葉の弟、紫苑寺ミコト。
封を解かれ、よみがえったその少年は――
「敵はみんなぶっ殺して女はみんな僕のものにするッ」
「ハーレムつくって、子供も一億人くらいつくって、地球上を紫苑寺の血族でいっぱいにするんだッ」
――凶暴、好色、残忍、色々やりすぎな魔王へと育っていた!
超絶テンションで展開する“真性”ハーレム伝奇アクション、開幕。
 あたらしいシリーズということで楽しみにしていたが期待外れだった。

 シリアスとギャグのバランスが悪い。前作『さくらファミリア!』はギャグ重視の作品ということで多少アホっぽい描写もありだと受け入れられたが、今回はシリアスかと思えばバカな言動の登場人物などが出てくるので、そのへんのアンバランスさが気になった。

 敵も小者臭い連中ばかりで、いかにも倒されるためのザコキャラといった印象だったのが興ざめ。まだ一巻目とはいえ、もう少し敵にも重みが感じられないと作品全体が薄っぺらで底が浅く思えてしまう。

 サービスシーンがけっこう多めだけど、昨今の過激な描写が多い作品の中ではぬる過ぎて中途半端な印象だったのも残念。やるならもっと徹底的にやった方がいいのではないかと。

 今まではなんだかんだで最後に主人公の創意工夫で一発逆転という形式だったのに、今回は単なる力押しばかりというのもストーリー展開が単純過ぎるように思えてしまってがっかりだった。

 良かった点としては今までとは違ったタイプの主人公に挑戦していることと(あまり成功しているようには思えなかったが)、イラストぐらいか。

 いろいろメディアミックス展開が考えられているシリーズのようだけど、あまり続きを読みたいとは思えないなぁ。

4086010275ガーディアン・プリンセス (コバルト文庫)
花衣 沙久羅 (著)
集英社 2007-06

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19世紀初頭ロンドン、摂政時代(リージェンシー)。侯爵令嬢ヴィヴィアン・ブラックフォードの持つ裏の顔、それは「守護王女(ガーディアン・プリンセス)」。闇に紛れて弱きを助ける仕事。ある日、「仕事」中にロンドンでも悪名高い大怪盗「男爵(バロン)」に唇を奪われて。危うく心を許しそうになるが「人魚のペンダント」をめぐって真っ向対決することになり!? 超ロマンティック&スリリング! 危険な恋愛遊戯の火ぶたが切って落とされる!
 薄々そうなんじゃないかとは思っていたけど、思った以上に好みに合わなかった。

 まず第一に不審者に出会っていきなりキスされて恋に落ちる主人公が全然理解できない。後半、主人公は別の男に迫られて危ない目にあうわけだけど、基本的にはその別の男といきなりキスしてきた男のやっていることは同じなのに、片方はゲスな男の行動で、片方は恋する男の情熱的な行動という扱いって……と白けてしょうがなかった。作中ではやたらと主人公のことが持ち上げられているわりには、典型的な男に助けてもらってばかりのお姫様タイプだったのもがっかりだったなあ。

 また、侯爵令嬢という立場のくせに家のことの大半は優秀な執事に任せっきりで(多少は家の仕事も行っているようだが)義賊活動にばかり力を入れているというのもいかがなものかと。困っている女性の力になるのはそりゃあけっこうなことだろうけど、もうちょっと地に足をつけて自分の身の回りのことをちゃんとしろよと言いたくなる。ましてその義賊としての活動の描写が足りないので、食うに困らないお嬢さまの偽善的道楽活動にしか見えないというか。

ガジェット  無限舞台 BLACK&WHITE (角川スニーカー文庫)ガジェット 無限舞台 BLACK&WHITE (角川スニーカー文庫)
九重 一木
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-07-01

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クラス一の美少女・真白に、校舎の屋上に呼び出された翔。そこで彼は“夢を見続ける神”に遭遇する。“神”は翔に、真白を“端末”の呪縛から解放することを命じ、特殊能力“傷”を与える。さらに、真白の双子の妹・黒乃が現れ、真白は「繁殖」という役目の“端末”であり、自分はバグってしまった真白の「補正プログラム」であると告げるのだった――! 最強Wヒロイン無限バトル、勃発!!
 はじめはもっとぬるい作風の単なる異能力バトルものかと思っていたのだけど、あまり救いのないブラックな設定の作品だった。そのへんの容赦ない作風が気に入る人は気に入るかも。でも個人的には好みに合わなかった。残念。

・出会って早々主人公にホレるヒロイン
・多数のルビふり独自用語
・いきなり超越的存在に遭遇する主人公
・「きゅむ」とかいうおかしな口癖のヒロイン

 と最初の十数ページで読書意欲八割減少。その後も印象がプラス修正されることはなく、主人公と敵役が真剣にぶつかりあっても逆にどんどん白けていくだけだった。

 最初に駄目だと感じたのなら無理して続きを読まない方が良かったかも。でも最初はいまいちだと思っても、最後まで読んだら意外と悪くなかったということもあるしなあ。難しい。