小説(2008年以前)

ここでは、「小説(2008年以前)」 に関する記事を紹介しています。

 10選ぐらいにしようと思っていたのだけど甲乙つけがたいし、分類してみるとちょうど3作ずつになるということで15選に。


【シリーズ完結組】

ねくろま〈6。〉 (MF文庫J)
ねくろま〈6。〉 (MF文庫J)
 実はこの作品にはまったのも2008年になってからだと気づいてびっくり。もっと前から読んでいるような気がしてた。

七人の武器屋 エクス・ガリバー・エヴォリューション! (富士見ファンタジア文庫)
七人の武器屋  エクス・ガリバー・エヴォリューション! (富士見ファンタジア文庫)
 新作マダー?

“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)
“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)
 本編完結後短編集や外伝進行中。


【2008年になってからハマった長期シリーズ組】

ムシウタ〈02〉夢叫ぶ火蛾 (角川スニーカー文庫)
ムシウタ〈02〉夢叫ぶ火蛾 (角川スニーカー文庫)
 本編9巻、bug8巻、00。我ながらよく追いつけたもんだ。年末にはついにbugが完結したことだし、いよいよ佳境の本編の続きが楽しみ。

くじびき勇者さま8番札 誰が宇宙人よ!? (HJ文庫)
くじびき勇者さま8番札 誰が宇宙人よ!? (HJ文庫)
 そろそろやれることは全てやった印象があるけど、今後はどういう方向に進むのだろう。

EX! (GA文庫)
EX! (GA文庫)
 特撮ヒーロー&改造人間もの・学園もの・ラブコメと、一粒でいろいろな味わいが楽しめる作品。最新刊はシリーズ中盤の山場に差しかかったぐらいかな?


【今もっとも続きが気になるシリーズ組】

カンピオーネ!―神はまつろわず (集英社スーパーダッシュ文庫)
カンピオーネ!―神はまつろわず (集英社スーパーダッシュ文庫)
 ベタベタだけどお気に入り。

獅子の玉座(レギウス)〈2〉巨人の聖砦 (電撃文庫)
獅子の玉座(レギウス)〈2〉巨人の聖砦 (電撃文庫)
 三巻打ち切りの壁を突破して、ぜひ最後まできっちり描き切ってほしい。

シフト〈1〉世界はクリアを待っている (電撃文庫)
シフト〈1〉世界はクリアを待っている (電撃文庫)
 文庫化を機に読んでみて本当に良かった。『悪魔のミカタ』は長期化し過ぎて読まなくなり、しばらく離れていたのだけど、この作者を見直すきっかけになった。


【新人組】

千の剣の舞う空に (ファミ通文庫)
千の剣の舞う空に (ファミ通文庫)

旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫)
旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫)

θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)
θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)

 どの作品も続きなり、あるいは同じ作者の新作なりを待っているのになかなか出ないなあ……


【大人気作組】

偽物語(上) (講談社BOX)
偽物語(上) (講談社BOX)
 まさか『化物語』の続きが読めるとは思っていなかったので大喜び(『傷物語』は時系列的に『化物語』の前)。下巻も楽しみ。

Fate/Zero Vol.4 -煉獄の炎- (書籍)
Fate/Zero Vol.4 -煉獄の炎- (書籍)
 以前は専門店でしか取り扱っていなかったけど、今はamazonでも注文可能。原作を知らない人でも、あえてこちらから入ってみるのもいいかと。

せまるニック・オブ・タイム―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)
せまるニック・オブ・タイム―フルメタル・パニック! (富士見ファンタジア文庫)
 画像は新装版のもの。一年と経たないうちに変わってしまったわけか。

“文学少女”と恋する挿話集 1 (ファミ通文庫 の 2-7-1)“文学少女”と恋する挿話集 1 (ファミ通文庫 の 2-7-1)
野村 美月 (著), 竹岡 美穂 (イラスト)
エンターブレイン 2008-12-26

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書き下ろしも充実の、“文学少女”短編集、第1弾!!

柔道一筋、人呼んで「炎の闘牛」。そんな彼が恋をした! 清楚で可憐な大和撫子、その名は……『“文学少女”と恋する牛魔王【ミノタウロス】』、「このことは内密に」待望の入部希望者が漏らした呟きには何やら不穏な気配が!? 『“文学少女”と革命する労働者【プロレタリア】』ほか、遠子のクラスメイトとの交流など、ほろ苦く甘い、極上のエピソードが盛りだくさん! 物語を食べちゃうくらい深く愛する“文学少女”天野遠子と、彼女を取り巻く人々の、恋する挿話集【エピソード】第1弾!!
「“文学少女”と恋する牛魔王【ミノタウロス】」……ゲストキャラが語り手
「“文学少女”の今日のおやつ ~『更級日記』~」
「“文学少女”と革命する労働者【プロレタリア】」……心葉が語り手
「“文学少女”の今日のおやつ ~『万葉集』~」
「“文学少女”と病がちな乙女【クロエー】」……ゲストキャラが語り手
「“文学少女”の今日のおやつ ~『ムギと王さま』~」
「無口な王子【プリンス】と歩き下手の人魚【マーメイド】」……芥川とあの登場人物のその後
「“文学少女”と扉のこちらの姫【レイディ】」……麻貴と遠子の出会い
「“文学少女”と浮気な預言者【ヨカナーン】」……流人と麻貴がメイン
「“文学少女”の今日のおやつ 特別編~『スノーグース』~」……遠子の大学の学生寮での話

以上収録。琴吹さんや竹田さんの出番はなし。WEBで連載していた残りの分は次の挿話集に掲載予定。次は外伝で心葉が三年生になり、新入部員の女の子が登場するとのこと。

 “文学少女”シリーズ短編集。本編ではやたらと重苦しい展開になったりするけど、この短編集では愉快で穏やかな日常を描いていて安心して読んでいられますな。「恋する牛魔王」や「革命する労働者」などは本編ではまず見られないようなコミカルな描写が面白い。『コラボアンソロジー2 "文学少女"はガーゴイルとバカの階段を昇る』でその片鱗はうかがえたけど、「革命する労働者」でああいう考え方をする遠子先輩はやはり腐女子なのですね。わかります(笑) 「病がちな乙女」で描かれた遠子のクラスメイトとの交流もまた本編では見られなかった一面で興味深かった。

 サブキャラを中心にした「無口な王子と歩き下手の人魚」「扉のこちらの姫」「浮気な預言者」も良かったけど、今回一番気に入ったのはやはり「今日のおやつ 特別編~『スノーグース』~」。大学に行った遠子がどういうふうに過ごしていたのかが少しわかって、ずっと心葉のことを想いつつも気持ちを押さえている様子がとても切ない。イラストもグッジョブ。今巻に収録されているイラストの中ではこの「特別編~『スノーグース』~」のものと「浮気な預言者」の麻貴のあの姿がお気に入り。次の挿話集も楽しみ。

ムシウタbug  8th.夢架ける銀蝶 (角川スニーカー文庫)ムシウタbug 8th.夢架ける銀蝶 (角川スニーカー文庫)
岩井 恭平
角川グループパブリッシング 2009-01-01

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流星群が降り注ぐ中、亜梨子と大助の最後の戦いが始まった――。大喰いを倒し虫憑きの生まれない世界を作るため、「ムシウタ」世界のバグである亜梨子の戦いの結末とは――!? 大人気シリーズついに完結!
「29.夢降る呼び声」「30.夢忘れぬ眠り」「31.夢輝く祈り」「32.夢架ける銀蝶」収録。

(以下ネタバレ)

[ムシウタbug 8th. 夢架ける銀蝶]の続きを読む
ソリッドファイター[完全版]ソリッドファイター[完全版]
古橋 秀之


俺、増田研二。略してスダケン。高校二年生。でもって、ゲームメーカーSEPCOMのバクチェッカーだ。ある日、いつものように、ゲーセンで『アルティメイトソリッド』の対戦をしていた俺は、前日に自機に組み込んだ「乳揺らし」モジュールが原因で惨敗を喫してしまう。そりゃあ、誰が悪いというならば、要らん色気を出した俺が悪い。だがそれはそれ、この恨みはらさでおくべきか!!―なんつってな。第2回電撃ゲーム小説大賞で「大賞」を受賞した古橋秀之が贈る格闘ゲーム小説。
 以前に電撃文庫から出ていた『ソリッドファイター』に、完結までの2巻分の未発表原稿を加えた完全版。「ソリッドファイター 当世電脳格闘家事情」「ソリッドファイター2 俺より強い奴に I need YOU.」「ソリッドファイター3(俺が前向きな場合)」「あとがき/『ソリッドファイターα』プロット」収録。

「当世電脳格闘家事情」が電撃文庫で発表されていた分、「俺より強い奴に I need YOU.」「(俺が前向きな場合)」が未発表分ですな。『ソリッドファイターα』プロットは外伝短編として企画があったものの、もはや発表する機会もないだろうからということでおまけとして載せられた結城さんを主役とした本編より3年前の話。

 一般の書店には並ばず、イベント販売か、一時期アニメイトでグッズ扱いで店頭販売されたのか、公式通販のみというかなり入手が難しい作品。個人的にはアニメイトの店頭販売で手に入れたのだけど、なかなか苦労したなあ……

 たしか電撃文庫で発表されたときの帯には 「これはゲーム小説ではない。ゲーマー小説だ!」とかいうコピーがあったと思うのだけど(うろおぼえ)、まさしくその通りの内容。当時はゲーマー小説と言われてもあまり興味がわかなかったし、ずいぶんがらりと作風が変わったのにもなじめなくて(『ソリッドファイター』の前にはまだ『ブラックロッド』『ブラッドジャケット』しか発表されていない)あまりしっかり読まなかったけど、今こうして読んでみるとすごく面白くて良かった。

 主人公のスダケンに少々好きになれない部分があったり(失礼な考えを無意識のうちに口に出してしまっていたりとか)、終盤の展開がベタ過ぎて見え見えだったりとマイナス点もあるものの、ゲーマーらしいゲーマーの青春ぶりがとてもいい。それに終盤の展開がベタ過ぎて見え見えと評したけど、それでもやはりしっかり盛り上がるし。ハードカバーのずいぶん分厚い一冊で、正直読み切れずに積んでしまうことになるかなと思っていたけど、覚悟を決めて手を出してみたらぐいぐい引っ張られて最後まで読み切っていた。最後はとてもきれいにまとまっていて、かなり入手困難な販売方式とはいえ、最後まできっちりと書き切った形で読めて本当に良かったと思う。

彼女は戦争妖精2 (ファミ通文庫 う 1-6-2)彼女は戦争妖精2 (ファミ通文庫 う 1-6-2)
嬉野 秋彦 (著), フルーツパンチ (イラスト)
エンターブレイン 2008-12-26

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刹那の愛のため、少女たちは戦う。好調シリーズ第2巻!!

はた迷惑なクリスとの同棲にも慣れてきた伊織。今度は彼の元に学園憧れの“王子”、大路常葉が訪ねてきて、彼女の家に招待されてしまった! 誘いを受け大路邸を訪れた伊織は、そこでクリスと同様、翼を持つ少女と出会う。“鞘の主”として同じスタンスの常葉の話を聞き安心する伊織だが、彼女が告げた「薬子先生を信用するな」という言葉に動揺する。一方常葉は付近で頻発していた通り魔事件に巻き込まれてしまい――! 好調シリーズ第2弾!
 いつも通り3巻完結方式かと思っていたけど、登場人物も増えてきたし、それでいて意外に今回で脱落する登場人物はそれほどでもなかったし、長期シリーズ化予定なのかね?

 良くも悪くもいつも通りの内容……と言いたいところだが、今回は最後のバトル展開がひときわひどい。本来ならウォーライクの経験値もその持ち主であるロードの実力も敵の方が確実に上回っているはずなのに、主人公ペアはなんだかよくわからないけど何か特別らしいってだけで勝利って、なんじゃそら。どれだけご都合主義なんだ。べつに主人公コンビにチート臭い特別な秘められた力があるというならそれはそれでかまわないが、それならもっと早い段階でそのへんのことがうかがえる伏線をはるぐらいできなかったのか。

 あと戦いの最中、伊織の口調が変わるのはクリスの血の影響でやや暴力的になっているからなんだろうけど、単に下品になっているだけみたいな印象でいまいち。ズバッと容赦なく切り捨てるような普段通りの冷徹な口調のままの方がいいと思うのだが。

烙印の紋章 2 (2) (電撃文庫 す 3-16)烙印の紋章 2 (2) (電撃文庫 す 3-16)
杉原 智則
アスキー・メディアワークス 2008-11-10

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帝都凱旋! 英雄への道を歩む剣闘士オルバの物語。

 初陣で勝利を飾り帝都へ凱旋したオルバ。都では皇帝の専横が目立ちはじめていた。反皇帝派の不穏な噂を耳にしたオルバは、真相を探るため建国祭の大剣闘大会に出場することになる。ガーベラからの使者ノウェ、ビリーナに敵意を燃やす皇太子の義妹イネーリ、オルバを操ろうとするフェドムなど、帝都は様々な思惑の坩堝と化す。
 そんな中、オルバは皇太子と剣闘士、二つの役割の間で揺れ動く。一方、ビリーナはオルバへの複雑な想いと、異国の姫という立場の間で思い悩む。はたして二人の関係と帝都を舞台にした政争の行方は──!?
 一巻で顔見せと初期配置が終わり、この二巻になっていよいよ本番開始といった感じで、いろいろな動きが出てきて面白かった。途中もっと後味の悪い結末になるのではないかと心配したが、最終的には無事に収まるべきところに収まってくれて一安心。この二巻で新しく出てきた魅力的な登場人物のうちの何人かは、今後も引き続き出番があるようで楽しみ。

 それにしてもビリーナはあまりヒロインらしく見えませんな(笑) 復讐者やら身代り皇子やら剣闘士やら、いろいろなものを背負っているオルバに対して、いまいちビリーナはこれといったアピールポイントに欠ける印象なので。オルバがビリーナを特別に意識しているよう描かれているのはわかるけど、それが単なる話の都合でしかないように見えてしまうのが困りもの。もう少し特別視するに足るだけの魅力が読者側にも伝わってくるような要素があればいいのだけど。現時点ではどちらかというと小悪魔系傲慢娘としてあれこれ場を引っかき回してくれそうなイネーリの方が気になるところ。もっとも次からはイネーリの出番は減りそうなのがちょっと心配。次の巻が楽しみだけど、一巻と二巻の刊行間隔からするとかなり先になりそうだなあ。

二人で始める世界征服 (MF文庫J)二人で始める世界征服 (MF文庫J)
おかざき 登
メディアファクトリー 2008-11

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第4回新人賞<審査員特別賞>受賞作!
わたくしの世界征服、手伝ってください!


僕こと赤尾竜太は、高校の入学式当日に、クラスメイトの女の子に声をかけられる。「あの、覚えてませんか? 幼稚園のときおもちゃの指輪を探してもらった、千紗です」そう名乗った気弱そうな彼女は、地味だけど笑顔が可愛い、スタイル抜群の美少女だった。声をかけられたことで仲良くなり、幼馴染みのありす、委員長の高槻もまじえて楽しい学園生活をスタートさせたが、ある日、千紗の両親が亡くなってしまう。「僕にできることがあったらなんでも言って」とはげますと、千紗はとんでもない“お願い”をしてきて……!? 問答無用のぽややん世界征服、始動!
 評判が良かったので読んでみた。素朴で読みやすい文章と、ほのぼのとした作風なのがいいですな。千紗やありすといったふたりのヒロインもいいけど、個人的には委員長な高槻さんが気になるところ。ただのわき役で終わらず、この子もデーモンテイルの仲間になってほしい。空手をやっているというのは戦力になる伏線かと思っていたのだけど。受賞作ということでこれ一冊で全ての伏線が消化されているのがもったいなく思えた。ぜひ続きが読んでみたい。

鋼殻のレギオス11  インパクト・ガールズ (富士見ファンタジア文庫)鋼殻のレギオス11 インパクト・ガールズ (富士見ファンタジア文庫)
雨木 シュウスケ
富士見書房 2008-12-20

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リーリン・マーフェス。誰よりもレイフォンをよく知る少女。彼女の存在がフェリやニーナとレイフォンの関係にも変化をもたらし――? 二人の出会いも語られる、最強学園ファンタジー最新刊!!
「パンピー・ホット・ダッシュ」「ザ・インパクト・オブ・チャイルドフット01~03」ほか書き下ろし「おれとあいつのモーニングタイム」「おれとあいつのランチタイム」「おれとあいつのディナータイム」「おれとあいつのナイトタイム」「ハッピー・バースデイ」収録。短編集。時系列的にはリーリンがツェルニについた後で、7巻の後、9巻の前の出来事(8巻が短編集というのがややこしい……)。

「おれとあいつの~タイム」は「パンピー・ホット・ダッシュ」で出てきた一般男子生徒が語り手の日常の一コマを描いた話。「ザ・インパクト・オブ・チャイルドフット」3話を挟むようにして配置されている。本気でどうってことのない意味なしな内容で何のためにこんなのを入れたのやら。「ハッピー・バースデイ」はおなじみの面子がタイトル通りバースデイパーティーを開こうとしている裏で、ちょろっと意味ありげにレイフォンとリーリンが拾われたときの出来事が語られるという話。

 文章がまわりくどくて読みにくい。今回に始まったことじゃないけど、ラブコメ日常ネタが中心の時は特に読みにくい気がする(今回も「ハッピー・バースデイ」はそれなりにすっきり読めたし)。心情描写がいまいちなのかな。

 話の内容の方も今さらこんなベタベタでぬるいラブコメ話なんてされてもなあ……という印象。特にメイシェンなんて今後捨てキャラになるのはわかりきっているし、今さら出番がまわってきてもなあ(カバー表紙イラストや口絵三枚目でも露骨に扱いが悪いし。というか、口絵三枚目では扱ってもらえてすらいない。あわれな……)。「ハッピー・バースデイ」は本筋に関わってそうでちょっと興味深かったが、これだけではちょっとした小ネタでしかないし。

 というわけで今回はいまいち。アニメ化などで忙しいのだろうけど、どうも本編の方の質が落ちてきている印象で困る。ここらでがつっと本編の方をしっかり進めてほしい。

人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫)人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫)
山 透
小学館 2008-12-19

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チキンも走り出す最新刊!!
わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は"妖精さん"のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の"調停官"であるわたしのお仕事。里の娘さんがたからは、先生と呼ばれたりもしてます(恥ずい)。「妖精社」製の妙な品々が里に出回るのと前後して、走るチキンを目撃してしまったわたしは、祖父と助手さんとともに「妖精社」の工場視察に向かったのですが……。数か月でクスノキの里を、世界一の妖精人口過密地帯にしてしまったわたしの出張報告とともに、クニクニどうぞ。
「妖精さんの、ひみつのこうじょう」「妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ」「七月期報告」収録。

 主人公の髪形があっさりもとに戻ってしまってちょっと残念。今回のカバー表紙イラストからして短い髪形も似合っていると思うのだが。食糧危機になろうとも無人島暮らしになろうとも妖精さんがいれば何とかなっていいなあ。もっともその分、必ずトラブルも一緒につきまとうようだけど(笑)

 あとがきによるとこのシリーズも来年は新展開があるかもしれないそうだけど何だろう? やはりアニメ化とかかね? でもこのシリーズの独特の雰囲気を上手くアニメ化するのはかなり難しい気が(まあ最近はアニメに向いている作風かどうかなんて関係なく、ある程度人気のある作品はなんでもアニメ化しているような印象だけど)。

コードギアス 反逆のルルーシュ R2  TURN―3― (角川スニーカー文庫)コードギアス 反逆のルルーシュ R2 TURN―3― (角川スニーカー文庫)
岩佐 まもる
角川グループパブリッシング 2008-11-29

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ギアスの力は世界を滅ぼす!?人気アニメ「R2」ノベライズ第3弾!!

力あるものは俺一人でいい――。ルルーシュは王の力「ギアス」の存在を世界から無くすため、ギアスを研究する嚮団の殲滅に乗り出す。そこで不思議な空間に迷い込んだルルーシュは、自分にギアスを与えた謎の少女C.C.の過去と、ギアス能力者でもある宿敵・ブリタニア皇帝の姿を目撃する! C.C.の能力を使った恐ろしい計画が、今まさに実行されようとしていたのだ! いよいよ物語りは佳境へと突入!! 人気アニメ「R2」ノベライズ第三弾。
 アニメでいうと第14話「ギアス 狩り」~第18話「第二次 東京 決戦」あたりまでを収録。どちらかというとルルーシュ視点から離れてナナリー視点を中心にアニメ本編では描かれなかった裏の出来事を描いていた前巻までと違い、ほぼアニメ本編の流れに沿った内容。

 補足的な情報や内面描写はそれなりに楽しめたものの、基本的にはアニメ本編をそのままなぞっているだけでもの足りなかった。今回収録の範囲ならもっとC.C.やV.V.の過去などを掘り下げたり、あるいはシュナイゼル視点を中心に描いたりしても良かったと思うのだが。そのへんはまた別メディアで補完ということなのかね。最後に意味ありげに重要っぽい登場人物が出てきたけど、アニメ本編では出てこなかったよな? たとえ出てきていたとしても全然記憶に残らない程度の扱いでしかなかったわけで、そんな人物を意味ありげに登場させられても盛り上がらなくて残念。

ぴにおん! (MF文庫J)ぴにおん! (MF文庫J)
樋口 司
メディアファクトリー 2008-11

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第4回新人賞<佳作>受賞作!
木元二葉、15歳 超能力が使えます


俺の名前は佐々木与四郎。何の変哲もない高校生だ。……すまん、何の変哲もないというのは嘘だ。実は超能力が使える。その力を使って、俺は日夜仲間たちと共に悪の組織との戦いを繰り広げている。……やっぱり嘘だ。超能力が使えたからって良いことなんか何も起きないし、楽しくない。……そう思っていたんだけれど――「木元二葉です。佐々木与四郎と3年後に結婚します」高校の入学式の日、自己紹介でこんな爆弾発言をしたヤツがいた! それからというもの可愛い女の子たちに次々に求婚されて――いったいなにが起きてるんだ!? 第4回MF文庫Jライトノベル新人賞<佳作>受賞、独特のテンポで送る新感覚超能力コメディ、スタート!
 あらすじからするとハーレム型ラブコメっぽく思えるけど、そういう印象ではなかった。しいていうならちょっとおかしなドタバタ日常もの? これ一冊で完結だと思うが、そう思っていたら続いた作品なんていくらでもあるし、この作品はどうなるだろう。

 主人公の一人称語り口調がうっとうしい。特に実は嘘だというパターンを何度も繰り返されたのはナメてんのかと腹が立った。作者としては面白おかしい愉快な一人称のつもりなのかもしれないけど、残念ながらまったくの逆効果としか思えなかった。おまけに最後の大きなトラブルもなにそれって言いたくなるようなオチだし。

 方向性がでたらめでまとまりがないかと思っていたが、最終的にそれなりにまとまっていたのは上手かったと思う。でも、美少女たちに迫られるハーレム的な状況でありながらニヤニヤできるような描写は薄く、迫ってくるのは打算一本槍なのがまるわかりだからヒロインたちにも魅力を感じづらく、MF文庫J作品らしいエロ要素もほとんどなく、超能力をいかして問題解決するわけでもなくて、どこを楽しめばいいのかわかりづらい作品だった。個人的にはマイナス印象でしかなかったが、主人公の語り口調を受け入れられる人なら楽しめるかも。

乙女革命アヤメの! (MF文庫J)乙女革命アヤメの! (MF文庫J)
志茂 文彦
メディアファクトリー 2008-11

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アヤメが“姫子”!?
バレたら終わりの身代わりコメディ!!


ふと気がついたら美しい女の子になっていたのでびっくりした――。どういうわけか瓜二つの容姿を持つ、花時雨学院のアイドル的存在である姫子と記憶喪失のアヤメ。品行方正、成績優秀で誰からも慕われている姫子だが、本当は学院の支配をたくらむ腹黒の陰謀家だった!! そのことを偶然知ってしまったアヤメは、記憶を取り戻すのに協力してもらうかわりに姫子の影武者として利用されることになってしまい……。右も左もわからぬまま「姫子」にされたアヤメの運命やいかに!? 波乱が波乱を呼ぶ体当たり的スクランブル身代わりコメディ第一弾!「失敗したら──許さないわよ」
 この一冊だけで終わっておらず、シリーズ化前提の作品。本編の他、巻末にはちょっとしたおまけも収録(笑)

 主人公の素性も含めて、まだわからないことが多過ぎてどう判断したものか困るな。主人公はもとは男なのか女なのかすらわからないので、TSものなのか、それとも真性百合ものとして見るべきなのかわからず落ち着かないし。終盤の展開も唐突に路線が変わったような印象でついていきづらかった。ああいう展開にしたいのなら、もっと序盤からわかりやすい伏線を入れておくべきだったかと。それでも文章はすっきりしていて読みやすかったし、舞台が女子高ということで登場人物も女の子ばかりで華やかだったし、イラストも好みに合っていて良かったので、次も読んでみるつもり。